教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/16 TBS系 世界遺産「絶景の地中海!イタリア断崖の町」

北イタリアの断崖の町

 今回登場するのはイタリアの海岸の断崖に存在する町、ポルトヴェーネレとチンクエ・テッレ。この断崖の海岸には5つの町(チンクエ・テッレとは5つの土地の意らしい)があり、半島の先端にはポルトヴェーネレが存在する。鉄道が通るまで海岸に点在する町は陸の孤島だったという。


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 一番南の町がリオマッジョーレ。断崖にカラフルな建物がひしめいている。川の河口の港の周辺の渓谷の斜面に町が作られ、町の中は坂道に階段だらけである。

 高さ100メートルの絶壁の上にある町がコルニリア。絶壁上に密集する建物に下の港から上がるには延々と石段を登る必要がある。

 一番北の町がモンテロッソ・アル・マーレ。防波堤が船着き場となっており、ここには美しいビーチもある。

 

 

海洋国家の要塞都市が白ワインの里に

 5つの町は3キロごとに点在しているという。これらの町に人が住むようになったのは1000年前で、段々畑を築いて葡萄を栽培してきた。段々畑の石垣の総延長は6700キロにも及ぶという。およそ12キロの断崖のほとんどが段々畑で覆われているという。水はけが良い畑は葡萄栽培に最適なのだという。人々はロープに身を預けて断崖を削り、命がけで畑を作ってきたとのこと。しかし石垣はすぐに崩れたりするので常に修復が必要だという。セメントなどで固めると丈夫にはあるが水はけが悪くなるので、崩れやすくても石を積み上げるだけにしてある。

 チンクエ・テッレの真珠と言われる美しい町ヴェルナッツァには岸壁に謎の塔があるが、これは沖を行く船を見張るためのものだという。同様の要塞はポルトヴェーネレにもあり、ポルトヴェーネレは要塞都市だという。この港は海洋都市ジェノヴァの砦だったのだという。12世紀にこの街を支配下に置いたジェノヴァは海洋都市ピサに備えて要塞化したのだという。

 やがて争いは終わり平和の時代となると、これらの町は白ワインで知られることになった。今では白ワインの里と呼ばれているという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・北イタリアの断崖の海岸にチンクエ・テッレと呼ばれる5つの町と、半島先端の港町ポルトヴェーネレがある。
・これらの町は鉄道が通るまでは陸の孤島だった。断崖には段々畑が築かれ、葡萄が栽培されている。
・この地に人が住むようになったのは1000年前で、海洋国家ジェノヴァの要塞都市としてピサに対抗するために築かれた。
・平和となった後には段々畑で収穫された葡萄から作る白ワインで知られることとなっている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・それにしても凄いところに都市を築くものだ。しかもどう考えても便利とは思えないあの都市にまだ人が住んでいるのも驚きだ。ワインが余程儲かるのか、それともそれ以外の産業も何かあるのか(観光とか)。日本だったらすぐ人がいなくなって、ヨーロッパの石造りと違って木造の日本の建築は、すぐ朽ちてしまうところだが。

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