世界最大水量のイグアスの滝
世界で最も水量が多い南米イグアスの滝は、大河イグアス川から突然に落下する構造になっている。その水量は毎秒4万5000トンにもなったという。全長3キロに渡って大小275の滝が連なっており、イグアスの滝というのは実はその総称だという。その一番の奥に悪魔の喉笛と呼ばれる最大の滝がある。幅150メートルのU字型で高さ80メートルを毎秒7000トンの水が流れ落ちる。滝壺からは濛濛たる水煙のために詳細は全く見えない。
全体の8割の滝はアルゼンチン側に、残りの2割がブラジル側に位置する。大河イグアス川は1000キロの上流の標高1300メートルの高地から端を発し、ジャングルの中を悠々と流れてくる。降水量も多いことから最大幅3700メートルもの大河になっている。この水が一気に落下するのである。落下した水は急流となって流れ落ち、やがては大西洋に注ぐ。
地層の影響と水煙が育む豊かな生体系
よく見ると多くの滝が二段になっているのだが、これはこの地の地層のためである。この地は1億3000万年前、南アメリカ大陸がアフリカ大陸から別れた時に噴き出した溶岩が固まった玄武岩の台地で出来ている。上層の玄武岩は溶岩がゆっくり噴出して出来た多孔質の地層で脆く、下の地層はもっと古くて硬くて割られにくいのだという。そこで上の層の方が早く浸食されたのだという。
滝の水煙は凄まじいので満月の前後になるとルナレインボーと呼ばれる夜の虹が架かる。水煙は高さ150メートルにも及び、周囲の密森を包み込む。1キロ先までもその水は届く。そこでは2000種の植物が生える。ヤシの一種パルミートは1年中実を付けるので、この地の動物たちの貴重なエサとなっている。さらには滝の裏に住み着いている鳥がいる。オオムジアマツバメは天敵から身を守るために滝の裏を寝床にしており、夕方になると滝に突進する。このように滝は多くの生き物を育んでいる。
忙しい方のための今回の要点
・南米のイグアスの滝は最大で毎秒4万5000トンの水が流れる世界最大水量の滝である。
・滝は全長3キロに渡って275も存在し、イグアスの滝というのはその総称である。
・よく見ると2層になっている滝が多いが、それは上層は南米とアフリカが別れた時に噴き出した溶岩で出来た多孔質の玄武岩で脆く、下層はそれよりも硬い玄武岩なので浸食の度合いが違う。
・滝から湧き上がる水煙は周囲の密林に豊富な水を与え、多くの植物が育ち、豊かな生態系をなしている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・本当に見ていると引き込まれそうな滝です。何かボートで滝壺見学なんてことも出来るようですが、私は御免蒙りますね。あんなのは遠くから眺めるに限る。
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