教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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4/4 BS-TBS にっぽん!歴史鑑定「鎌倉殿の敵か?味方か?北条時政の野望」

頼朝に賭けた時政

 今回の主人公は北条政子の父で鎌倉殿の13人の1人だった北条時政。しかしこの人物、何かと陰謀の噂のつきまとう人物である。

 まず政子と頼朝の関係であるが、時政は政子を別れさそうとしたが、政子が頑として
それを拒んで駆け落ちしてしまったために、仕方なく政子のことを考えて頼朝との仲を認めたとされている。しかし実際はどうだったのか。番組の推測では、頼朝と結びつくことで血筋に箔が付くし、まあもしかしたら大当たりがあるかもと計算したのではないかとしている。

 次の頼朝を暗殺しようとしたのではという疑惑。これは曾我兄弟の敵討ちの際、1人が頼朝の元に向かおうとしたことから、これは時政が計画した頼朝の暗殺計画だったのではという話である。実際にこの頃の時政は亀の前事件の影響で頼朝と距離を置いており、また北条氏の勢力は御家人勢の中でも決して大きなものではなかったから、頼朝は時政を重用していなかったとされている。だからいっそのこと頼朝を殺そうと画策したのではという話。

 しかしこの頃はまだ息子の頼家は12才と将軍職を継ぐには若く、下手をすると鎌倉幕府崩壊につながりかねないので時政もさすがに頼朝の暗殺まではこの時点では考えないだろうとのことである。

 

 

ライバルを排除して権力を握った時政

 次が有力御家人の失脚・殺害であるが、これは頼家の代になってから将軍を補佐する13人の間での確執である。まず梶原景時が最初に失脚するが、これは時政が画策したと言うよりも、景時以外の12人の総意だったと考えられるという。要するに景時が人望がなかったのだという。

 しかし次の比企能員の排除については、明らかに時政が画策したものだとされている。比企能員は頼朝の乳母の比企尼の一族であり、能員の娘が頼家の妻となっていることから、頼家は時政よりも比企能員の方を信頼していた。そして頼家が病で倒れた時にその後継を定める件で両者が対立する。能員は自分の娘と頼家の間の息子である一幡(6才)、時政は自分の孫である千幡(後の実朝12才)を推す。結局は御家人の合議の結果、折衷案として一幡が将軍として東国を千幡が補佐として西日本を治めるという形に決着がついたそうだが、これに不満を持った能員が時政を排除するべく頼家と画策したので、時政が先手を打って能員を誘い出して殺し、一族を殲滅したという。だが実は能員が時政を排除しようとしていたのはでっち上げっぽいという。

 

 

ついには将軍の殺害を計画するが

 なおこの後、頼家は奇跡的に回復するのだが、既に千幡を擁立して頼家は時政にとっては不要となっており、結局頼家は無理矢理に出家させられた挙げ句に殺害されたという。

 そして最後は時政が実朝の暗殺を計画していたというものである。実朝が将軍に就任すると時政は政所の別当に就任して権力を掌握するのだが、実は時政は後妻を寵愛していて、先妻の子である政子や義時と関係が悪化していっているという。そこで時政は自身の後継者に義時でなく、娘婿の平賀朝雅を選んだという。そしてさらに実朝を殺害して、朝雅を将軍にすることまで計画したという。しかしこれは政子や義時に察知され、時政の方が追放されることになる。というわけで、最後の最後にはとうとう本当に鎌倉殿の敵になってしまったわけである。

 

 

 で、この時政を追放した息子の義時が次回の主人公のようだが、この義時もいろいろな噂のある人物である。大河ドラマでは主人公フィルタのおかげで善人として描かれているが、実はこの時代一の悪という噂もあり、実朝を暗殺した黒幕は彼であると言う説まである。果たして次回、その辺りはどうなるのだろうか。

 北条家の初期はかなりドタバタがあるのだが、そもそもの北条家は伊豆の小領主だったので、それが天下を差配する立場にまで出世したことで舞い上がってバタバタした部分もあるのではという気がする。また権力を持ったら持ったで、それを守るにはライバルたちを先に蹴落とす必要があるので、そうなったら権謀術策なんでもありにならざるを得ない面もあったかもしれない。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・北条時政は政子と頼朝の関係を娘を思って認めたとされているが、実際は頼朝の血筋の良さにある種の賭けに乗ったのではという。
・また曾我兄弟をけしかけて頼朝を殺害しようとしたという噂については、この時点で鎌倉幕府の解体につながり兼ねないことはさすがにしないと推測している。
・将軍より家の元で、他の御家人の排除を画策するが、梶原景時の追放については時政の一存というよりも、景時以外の全員の合意だという。ただ比企能員の殺害は明らかに時政が権力獲得を目指しての陰謀だという。
・さらに実朝を殺害して娘婿の平賀朝雅を将軍にしようと画策するが、これは政子や義時の知るところとなり、鎌倉から追放されることになる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・まあ頼朝の早い死とかいろいろ不審な点もあるので、北条黒幕説は何だかんだで登場します。私は北条義時黒幕説ですね。

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