教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/1 TBS系 世界遺産「純白の絶景!世界一美しいビーチ」

世界最大全長2300キロのサンゴ礁

 今回は恐らくこの番組に既に何回も登場していると思われるオーストラリアのグレート・バリア・リーフ。全長2300キロの世界最大のサンゴ礁である。オーストラリアの北東部の海岸を守るかのように位置し、まさにバリアである。


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 沖合30キロに行くと多くのサンゴ礁が広がっていることが分かる。これらはすべて小さなサンゴが長年をかけて生み出したものである。グレート・バリア・リーフには多くの島があるが、中でもホワイトヘブン・ビーチは世界で最も美しい砂浜と言われる。潮の満ち引きで複雑な模様ができた砂浜はさながらアートである。

 沖合60キロに出るとそこだけ白波の立つ海がある。この波はサンゴ礁の縁にそってできている。ここがサンゴ礁の一番端で、海面ギリギリに迫るサンゴ礁が突然垂直に落ち込んでいる。これが壁となって波を作っていたのである。ここはかつての大陸の海岸だったのだが、2万年前に氷河期の終わりと共に海面が上昇、海岸は奥地へと遠ざかった。そして取り残されたサンゴ礁は光を求めて上へ上へと成長し、バリアのようになったのである。そしてバリアの内海は生態系の宝庫となっている。3000ものサンゴ礁の集まりがグレート・バリア・リーフである。

 

 

サンゴと森が育んだ独自の環境

 穏やかな内海では1500種以上の魚が暮らす。そしてあちこちに350もある純白の島は、波で砕かれたサンゴや貝の欠片であるサンゴ砂が潮の流れで積もってできたものである。島の中には植物の種が育って緑が茂る島もある。サンゴの上のジャングルである。

 一方、600ある起伏に富んだ島はかつて標高の高い土地が残ったもの。これらの島は花崗岩でできている。ウィットサンデー島のホワイトヘブン・ビーチは、花崗岩の中の石英の粒が堆積したものである。

 海岸に面した鬱蒼とした森も世界遺産となっている。クイーンズランドの湿潤熱帯地域。1億8千万年も続く世界最古の森である。ここは珍獣たちの宝庫であり、木登りをするカンガルーなどが棲息し、水辺には生きた化石カモノハシが暮らす。そして飛べない鳥であるヒクイドリが闊歩する。この森は土砂が海に流れ込むのを防ぐ役割も果たしている。そうやって守られてきたサンゴ礁だが、近年は温暖化による白化現象が心配されている。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・オーストラリアのグレート・バリア・リーフは全長2300キロの世界最長のサンゴ礁である。
・かつては大陸の海岸沿いにあったのだが、2万年前に氷河期の終わりと共に海面が上昇、その結果として海岸から離れた場所にバリアのように存在することになった。
・サンゴ礁内に350もある純白の島は、サンゴや貝の欠片からできたサンゴ砂が蓄積したものである。
・さらは600もの起伏のある島が存在するが、これはかつての高地が取り残されたもの。これらの島は花崗岩からできていて、その中の石英による白い砂浜が存在する。
・また海岸の森は1億8千万年続く世界最古の森で世界遺産となっている。ここは珍獣の宝庫であると共に、サンゴ礁へ土砂が流れ込むことを防いでいる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・グレート・バリア・リーフと言えば、アメリカのイエローストーンなどと並んで世界遺産の定番中の定番です。まあ規模とかもとんでもないですし。この番組でも既に何巡目でしょうかね?

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