教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/22 TBS系 世界遺産「ハワイ!太平洋のホットスポット」

世界で最も活発な火山

 太平洋の楽園ハワイ。その最大の島であるハワイ島には活発な火山が存在する。キラウエア火山は今も噴火を繰り返しており、地球で最も活発な火山である。この火山域がハワイ火山国立公園となっている。


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 キラウエアには火口がいくつもあるが、山頂の巨大なカルデラの中にハレマウマウ火口、東の山腹にはプウオオ火口などがある。2018年、このプウオオ火口で異変が発生した。上昇してきたマグマが火口にあふれ出して溶岩の湖である溶岩湖が出来たのである。数日後にこの溶岩湖が陥没して大量の火山灰が噴き上がった。そして火口に東側の山腹で噴気が上がる。さらに東に30キロ離れた住宅地に割れ目が出来て割れ目噴火が発生した。7キロに渡る割れ目噴火で川のように流れ出した溶岩は町を飲み込んだ。そしてプウオオ火口の溶岩湖が消滅、さらに山頂のハレマウマウ火口などが大きく陥没した。これらはすべて一連のつながった現象だという。マグマ溜まりが山頂カルデラやプウオオ火口などすべてにつながっていたのだが、プウオオ火口の溶岩湖の陥没でマグマは東に移動して噴出したのだという。そしてマグマ溜まりからマグマが大量に流出したので、山頂カルデラも陥没したのだという。

 

 

ハワイの火山の源・ホットスポット

 ハワイがこのような活発な噴火をするのはホットスポットの存在が原因だという。これは地底深くからマグマが湧き出す決まった場所であり、そこに島が出来る。そしてプレートは動くので次々と島が出来ていくわけである。2018年の噴火でハワイ島は3.5キロ平方メートル広がったという。現在ハワイ島もホットスポットからズレつつあり、南東の海底に海底火山が見つかっているという。このようなホットスポットは地球上の各地に存在する。

 ハワイの溶岩は粘性が低いので、溶岩が作った60キロもの洞窟が存在する。流れ出した溶岩の表面がまず固まり、中の溶岩が流れて行くと洞窟が残るという塩梅である。そしてこの溶岩に地衣類が発生し、そこに植物の根が張り、やがてその根が溶岩を砕いて長い時間をかけて豊かな大地が生まれていくのである。ハワイ島は大地が生まれる瞬間を示しているとして世界遺産となった。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・ハワイ島は世界で最も活発な火山である。
・ハワイの火山がこんなに活発なのは、地底から決まった地点にマグマが噴き出すホットスポットがあるからである。プレートの移動と共にその位置はずれ、それによって島が次々と生まれてきた。
・さらにハワイの溶岩は粘性が低いので、流れ出た溶岩の表面だけが固まり、内部の溶岩が流れ去ることで出来た全長60キロもの溶岩洞窟も存在する。
・こうやって地上を覆った溶岩は、やがて植物の働きによって豊かな大地へと変貌を遂げていくのである。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・それにしても驚くのは、こうなしょっちゅうドッカンドッカン噴火が起こっている島にも住民がいるってこと。火山は天の怒りだから、それで被害が出た時は諦めるしかないんだとか。悟っていると言うか何と言うか。

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