教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/24 NHK 歴史探偵「飛鳥の古墳ツアー」

飛鳥古墳巡りツーリング

 今回の歴史探偵は、古墳オタの渡邊佐和子アナが自転車で飛鳥の古墳ツアーに出るというお話。

 最初は明日香村でも有名な石舞台古墳。この古墳は蘇我馬子の墓と言われている。今では石室の石しか残っていないが、元々は四角形の古墳だったという。同様の四角形の古墳は小山田古墳や菖蒲池古墳などにもあると言う。この2つの古墳は大化の改新こと乙巳の変と関係あるのだとか。

 乙巳の変で滅亡したのは蘇我氏だが、その時に殺された蘇我入鹿と、その後に追い詰められて自害した蘇我蝦夷の墓と推測できるという。さらに蘇我稲目のといわれる都塚古墳も四角形だという。これらの古墳は飛鳥の宮を取り巻くような位置に配されており、蘇我氏の勢力を示すものだという。このような古墳の建造技術は渡来人によるものであるとされており、実際に東アジアには四角形の古墳が多く、蘇我氏と渡来人の結びつきを示しているという。ちなみに小山田古墳は徹底的に破壊され、蝦夷の棺は菖蒲池古墳に入鹿の棺と共に押し込められていたとか。

 

 

天皇関連の八角形の古墳に皇子が葬られた円形の高松塚古墳

 次に登場するのは八角形の古墳である牽牛子塚古墳。今年3月に復元された古墳だという。八角形の古墳は天皇陵と考えられるという。石室は1つの岩をくりぬいて作られており、ここに2人を葬られたと考えられ、日本書紀の斉明天皇と娘の間人皇女を同じ墓に葬ったという記述と合致するという。さらにこの古墳の手前には小さな古墳があり、日本書紀の大田皇女を2人の手前に葬ったという記述とも合致するという。他にも飛鳥時代の天皇の墓は八角形と考えられるという。乙巳の変以前の天皇は蘇我氏の血を引いており、それらの墓は四角形だが、乙巳の変以降の天皇の墓は八角形になっているのだという。

 最後に登場する高松塚古墳は円形である。ここに葬られた人物であるが、壁画に描かれている傘からかなり位の高い人物と思われ、皇太子クラスの人物であるという。当時出土した土器と同じものは藤原京で見つかっており、また壁画に描かれている朝賀の儀式に参加した人物と言うことで忍壁皇子(刑部親王)だと推測している。


 なんか以前にどこかで聞いたことのあるようなネタの集大成のような気がするが、どこで聞いたのかは覚えていない。今回は渡邊アナがひたすら個人趣味に走っていたような感が強く、こうなるといよいよもって佐藤二朗が不要になる。大河の比企能員も退場になったようだし、そろそろこの番組の佐藤二朗もお役御免で良いんじゃなかろうか。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・飛鳥にある四角形の古墳は蘇我氏関連の墓であり、これらの建造には渡来人が関与していると推測され、渡来人との関係の深かった蘇我氏の権力を示すものとなっている。
・一方、乙巳の変後は天皇家の墓は八角形の墓が作られるようになる。牽牛子塚古墳は日本書紀の記述から斉明天皇の墓ではないかと推測されている。
・また高松塚古墳は円形であるが、これは壁画の内容などから刑部親王の墓ではないかと推測されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・何か明日香村観光案内って雰囲気がなきにしもあらずで、あまり感心するようなネタでも無かったな。

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