教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/4 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「医療の進化が命を救う!ガン治療の最前線2022」

初の国産手術支援マシンhinotori

 日本人の死因の第1位となったガン。現在は4人に1人がガンで死亡するという。しかしガン治療の技術も進化している。その最前線を紹介するという。

 まずはガン治療の3本柱、手術、放射線、抗がん剤から手術について。これについては初の国産手術支援マシンが登場しているという。それはhinotoriというマシンで、小柄な日本人の体型に合わせた手術ロボットだという。腹腔鏡手術を遠隔で行うことが出来るのだという。わずかな手の震えは手ぶれ防止機能のようなもので抑制するようになっており、細かい作業が可能。現在保険適用で治療できるのは腎臓ガンや前立腺ガンなどの泌尿器系のガンだという。さらに30キロ離れた位置での遠隔手術の実験なども行われているという。なお欠点はやはり触覚がないことだという。

 ガンはステージがあるが、まずは表面に留まってリンパ節などへの転移がないのがステージ0、さらに広がっているが筋肉の層で留まっているのがステージ1、筋肉の層を越えるとステージ2になり、リンパ節への転移が見られるとステージ3で、がん細胞が血液に乗って全身に広がってしまうとステージ4だと言う。大腸ガンの場合、ステージ1だと生存率は95%だが、ステージ4になると20%まで低下するという。

 

 

患者に負担の少ない放射線治療に新しい抗がん剤

 次の放射線治療だが、現在は呼吸などによる患部のズレを考えて、ガンの周囲の10~20ミリの範囲に照射するために健康な組織にも影響があったが、新技術はその範囲を3ミリまでに狭めることが出来るようなったという。それはMRリニアックという手法で、リアルタイムで放射線照射中にMRIの測定を行い、体内の照射位置を修正するのだという。正常細胞に影響を与えることが少ないため、照射量を増やすことで回数を減少させることが可能だという。課題は放射線が効果が出ないことがあることと、専用設備と慣れが必要であることだという。

 3つめの抗がん剤治療は、免疫チェックポイント阻害剤を紹介。これは自らの免疫細胞を活性化する方法だという。保険適用できるのは非小細胞肺がん、頭頸部がん、胃がん、食道がん、尿路上皮がん、メラノーマなどだという。注目の新薬がニボルマブで、これはノーベル賞を受賞した本庶先生が発見した抗がん剤である。キラーT表面のPD-1ががん細胞とくっつくのを阻害することでがん細胞への攻撃を活性化するのだという。今まで抗がん剤が効かなかったメラノーマに効くのが特徴だが、100%効果があるというわけではないというのが問題点で、副作用もあるので使い方が重要とのこと。

 

 

 以上、ガン治療に対する最前線。この分野はまさに日進月歩なので、私も聞いたことがないような手法が登場していますので知識のアップデートは必要不可欠。最初の手術ロボットはダヴィンチとかの国産版でしょうが、やはりあれの神髄は遠隔手術でしょう。「宇宙兄弟」で地球から衛星軌道上の患者を遠隔手術する話がありましたが、そのようなケースや僻地医療などにも適用できそうです。まさにさらに技術革新をすれば、AIによる自動手術なんてものも考えられるところ。

 放射線治療もありますが、あれはやはり患者に対する肉体的負荷が大きく、高齢者などは一気にやつれたりすると言います。だから患者の負担を軽減するのは重要。抗がん剤も同様に効果を上げることもさることながら、副作用の軽減がポイントでもあります。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・ガン治療の最前線を紹介。
・まずは国産手術支援マシンのhinotori。これは小柄な日本人の体格に合わせた手術ロボットで、内視鏡手術などを遠隔で行い、また手ぶれ防止機能で細かい作業も可能だという。
・放射線治療では、がん細胞を狙い撃ちにするために周辺の細胞への悪影響を減らしたMRリニアックが登場。放射線照射を行いながらリアルタイムでMRIの測定を行うことで、照準を調整するのだという。
・抗がん剤では本庶先生が発見したニボルマブが注目されている。これはキラーT細胞のがん細胞への攻撃を活性化する薬であり、今まで抗がん剤が効かなかったメラノーマにも効果があることで注目されいる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・本当に次々と新技術が登場するところです。後はいかに早期に発見するかがポイントなので、手軽で精度の高い検査法も求められます。

次回の健康カプセル

tv.ksagi.work

前回の健康カプセル

tv.ksagi.work