教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/25 サイエンスZERO「恐ろしくも華麗な"蚊"秘められたチカラを解明せよ!」

高度なセンサーを持つ蚊

 実は一番多くの人命を奪っていると言われている生物が蚊。この厄介な蚊の持つ能力に注目する。

 蚊が媒介する病気にはマラリアやデング熱があり、これが多くの命を奪っている。ヒトスジシマカなどがウイルスを媒介している。

 そもそも蚊は花の蜜などを餌にしているという。雄の蚊は血を吸わないが、雌でも交配済みの雌が卵を作るために血を吸うのだという。蚊は血液を濃縮してタンパク質を吸い出す。吸血した蚊は1回の産卵で200個ぐらい卵を産むのに対し、血を吸わない蚊だと40~50とそれだけ血液に栄養があるのだという。

 なお人は体毛などがないので蚊からすると格好の標的なのだという。なお巷ではO型ほど刺されやすいなどという話もあるが、これは本当だというが、理由は不明とのこと。

 蚊が人を見つけるのはまずは二酸化炭素。小顎髭という器官で10メートルぐらい先からでも探知するという。3~4メートルぐらいまで来ると触覚で匂いを探知し、1メートルぐらいになると触覚が熱を探知、さらに複眼で観察というように多数のセンサーを持っているという。

 

 

蚊の対策として蚊避けの研究

 なおカバの汗には蚊が嫌がる物質が含まれているという。蚊は足の先にセンサーがあるので、何か蚊が嫌がる味のようなものがあるのではという。また猫がマタタビを体に付けるのは蚊の嫌がるネペタラクトールという物質を付けて蚊避けにするのだとか。ハッカやユーカリなんかも嫌うという。ブラジルでは蚊の対策として遺伝子改良してボウフラが育たなくなった蚊を使っているという。

 さらに日本の化粧品メーカー(登場した研究員の胸にしっかりKaOと書いてます)ではシリコンオイルを使用することで蚊を避けることが出来ることを発見したという。蚊の脚は超撥水性なので、逆にシリコンオイルは馴染んで吸い上げられるので、メニスカスという引き込まれる力が発生し、それが蚊に危険を感じさせるのではという(いきなり脚をつかまれたような感じか?)。

 

 

蚊の能力を使用する研究

 また蚊の能力を使うという研究もなされている。蚊の口の構造を研究した痛くない注射針も開発されている。蚊の針は採血針の1/10と極めて細い上に、蚊の口には複数の針があり、まずはギザギザの針が皮膚を切り裂き、唾液を注入する針、血を吸う針などがあるという。このギザギザの針が回転しながら皮膚を切り裂くことで皮膚をほとんど引っ張らないので痛みが感じられないのだという。この針は糖尿病の患者用の針に使用しよういう。

 さらに蚊の飛行メカニズムをドローンに応用する研究もなされている。蚊は触覚の根元のジョンストン器官で触覚の揺れを感知し、自らの羽ばたきによる気流の障害物による変動をキャッチして障害物を検知しているのだという。この原理を利用して、障害物を避けるドローンの開発も進められているという。

 

 

 以上、蚊について。よく「地球上で一番危険な生き物は」なんていうクイズのようなものを見かけますが、これの解答が「蚊」です。蚊自体は猛獣のような殺傷能力はないですが、とにかく蚊が媒介する病気がやたらに多いのが問題点で、これのために赤道近くの国などでは、蚊の駆除が社会的な課題となっており、ブラジルが遺伝子改良をした蚊まで研究しているのはその一環です。

 ちなみに日本の蚊取り線香なども東南アジアで非常に良く使用されているそうですが、東南アジア向けのものはより強力なように薬剤を強めていると聞いたことがあります。

 ところで蚊と言えばあの独得の甲高い飛行音。モスキート音などと言われますが、老化してくるとあの音が聞こえなくなるので、蚊が近寄ってきているのが分からなくなるんですよね。結局は蚊はあのモスキート音の元になっている気流の反射などを触覚の根元のジョンストン器官で検知して障害物を避けていると言うわけですか。障害物を高精度で検知しようとしたら、音波の波長が短い方が有利でしょう。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・蚊は多くの伝染病を媒介するため、一番多くの人命を奪っている生物でもある。
・そもそも吸血するのは雌のそれも卵を産む状態になっている雌だという。蚊は血液からタンパクを吸収することで大量の卵を産むことが出来るのだという。
・蚊は複数のセンサーで、二酸化炭素、匂い、体温などを検知して人に近寄るという。
・カバの汗には蚊が嫌う成分が含まれているという。またシリコンオイルが蚊の脚に吸い上げられる作用を利用して、蚊避けに使用されている。
・蚊の針には皮膚を刺激しないようなメカニズムが存在する。これを利用しての痛くない注射針の開発も進んでいる。
・また蚊は自らが発する気流の反射などを触覚の根元のジョンストン器官で検知して障害物を避けている。この原理をドローンに応用する研究も進んでいる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・蚊は私も山城攻略でよく悩まされる難敵です。特に夏場の山城攻略では虫除けスプレーは手放せません。ただ山城によくいるタチの悪い虫には小バエやアブもいるんですが、連中にはあれは効かないんですよね。

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