こちらはより露骨にNHKのイベントの宣伝です
先の英雄たちの選択が、明らかに東京国立博物館でNHK主催で行われている「国宝」展の宣伝企画でしたが、こっちはそれよりもさらに露骨なもろに宣伝です。いかにもこの番組らしい。この番組ってNHKのイベントか大河の宣伝が内容の過半数だから。
まず東京国立博物館には、全国の国宝1131件の内の89件が収蔵されているという(国宝の中には姫路城のような持ち運び不可のものも多いので、かなり国宝が国立博物館に集中していると言える)。で、今回の展覧会ではそれらがすべて展示されるという宣伝から始まり、今回はその中から代表的な作品を3つ紹介するという。
王の姿をかたどった埴輪・挂甲の武人
まずは古墳時代の国宝である埴輪・挂甲の武人である。高さは130センチほどで群馬県で見つかった6世紀の埴輪だという。挂甲という小さい金属板を縫い合わせた鎧を装着した武人の姿を詳細に再現しているのが特徴である。
番組では埴輪職人にこの埴輪の再現を依頼している。1ヶ月ぐらいはかかる作業とのことでかなりの手間と技術が駆使されて製造されているとのことだが、まあそんなものはわざわざ復元までしなくても想像はつく。
番組ではこの像が誰を描いたものかということを推測している。この像が発見されたのは100年前で、しかもその古墳は完全に壊されているので手がかりがないのだという。で、良く似た埴輪を調べたらそれが王の生前の姿だったらしいから、挂甲の武人も王の姿だろうとの結論・・・なんだけど、そもそもあんな立派な鎧を着れるのなんて王ぐらいしかいないだろう。説明が回りくどすぎ。
平安時代の名刀の秘密
次に登場するのは平安時代の刀。国宝・太刀 銘 三条。刃紋の中に三日月のものがあるのために三日月宗近の異名を持つという。天下五剣の中でもっとも美しいと言われているとのこと。その特徴は反りであるが、反りのある刀が登場したのは平安時代中頃で、この刀はその初期のものであるという。
なぜ刀に反りがあるかを居合抜きの達人にテストしてもらっているが、直刀に比べて反りのある刀は斬りつけた時の衝撃が小さく切れ味が良いという。叩き切りと引き切りの違いのようなものである。また反りがあることでつばぜり合いの時に相手の刀を受け流すことが容易であるのだという。戦いに適した形に刀が進化したのだという。
また鎌倉時代の刀は長い太刀であるのに対し、戦国時代の足軽の刀は短い打ち刀に変わったという(刀の刺し方も逆であり、足軽の刀は抜いてそのまま返しなしで使えるようになっている)。これは戦い方の変化によるという。
見返り美人図の秘密
最後は江戸時代の国宝である見返り美人。浮世絵の祖である菱川師宣の名作である。このような身体をひねった姿勢を描いているのは髪型や帯の結びなどを見せるための構図だと考えられるという。
師宣の代表作である「立ち美人」を科学分析して絵の具を調査したところ、着物の赤は水銀を用いた辰砂を使用、黄色の部分には金泥が用いられていることが判明したという。かなり高価な絵の具を用いた艶やかで格の高い絵であるという。師宣は価値が低いと見られていた浮世絵を芸術作品として格の高いのもにしたのだという。その一方で安価な白黒浮世絵版画も制作しており、浮世絵を広げることになったとする。
以上、国宝展の宣伝として国宝3品についての紹介だが・・・中身が薄いな。いかにもこの番組らしいわ。薄い中身を佐藤二朗の中身のない話でさらに薄めてしまっている。ホント、いらないわ、佐藤二朗。
忙しい方のための今回の要点
・NHK主催の国宝展の宣伝で、国宝3点について紹介。
・古墳時代の代表作の埴輪・挂甲の武人は王の姿をかたどったものと推測できる。
・また平安時代の太刀 銘 三条は沿った刀が登場した初期の名刀。刀の反りは斬りつけた時の衝撃を減らして切れ味を上げると共に、相手の刀を受け流しやすくする効果があり、それまでの直刀よりも実戦的であった。
・菱川師宣の肉筆浮世絵は、かなり豪華な絵の具を使用しており、価値が低いとされていた浮世絵の格を上げることを試みている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・本当に毎度のことながらこの番組の無駄の多さと中身の薄さに嫌になる。佐藤二朗を外して抜本的に番組のあり方を変えて欲しいところ・・・と前回に言ったのだが、今回も全く同じこの話に尽きる。
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