教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/30 TBS系 世界遺産「カナダの大秘境!ナハニ国立公園」

カナダの大秘境

 カナディアンロッキーの端の大秘境がナハニ国立公園。ナイアガラの2倍の落差の滝やら断崖が存在する景観の地だという。


www.youtube.com

 国立公園には水上飛行機で行くしかないという(道路がないということか)。高さ1000メートル以上の断崖が続くという。全長563キロに及ぶサウス・ナハニ川の沿岸が国立公園。原始の姿をとどめた手つかずの秘境である。ここにはあるヴァージニア・フォールズが落差92メートルでナイアガラの倍である。高さ120メートルのメイソンズロックが膨大な水流を二つに割っている。ここを境に緩やかな流れが急流にと変わって大渓谷が始まるのだという。

 

 

海底から隆起した石灰岩の台地

 この大渓谷からは海洋生物の化石が見つかっており、6000万年前は海底だったことが分かっている。隆起した大地が浸食されたのが現在の姿だという。削られた石灰岩が針の山のような景観を作っている。この大峡谷は北緯60度以上にありながら、氷河に浸食されなかった地でもあるという。1万年前の最終氷河期に北米大陸の東西両側から広がった氷河が、ここの奥地には届かなかったのだという。ここの山々の頂上がテーブル状で平らなのが、氷河に浸食されなかった証拠だという。

 世界遺産エリアからはずれた北部のラゲット山脈が氷河に浸食された地形であるが、鋭い切り立った岩山になっていて2000メートル級の絶壁が続く。実はこの山脈の存在が、ナハニ沿岸で雪があまり降らずに氷河に覆われなかった理由だという。ちなみにラゲットとはギザギザという意味だという。ここには未だに氷河が残っており、ここの水を水源にしているのがサウス・ナハニ川だという。

 

 

温泉が作った先住民の聖地

 針葉樹に覆われた異様な丘が国立公園内にあり、ここは先住民にとっての神聖な場所だったという。そのために入るためには儀式が必要で、裸足で入るのだとか。石灰岩の丘で高さ30メートルで直径は60メートル。中央には穴があって、この穴の深さは1000メートル、ここから温泉が湧いているのだという。この温泉に含まれる石灰分が沈殿したのがこの丘で1年に厚さ2.7ミリの層が出来るのだという。ここは石灰華の丘なのである。

 公園の東側には陥没地形があるが、これ石灰岩の台地が凍土から溶け出した水で浸食されて、こうして生じた地中の空洞が陥没したのだという。またまだ陥没していない鍾乳洞も点在するという。

 公園北部にあるエメラルドグリーンの湖があるが、ここにはブリトネル氷河からの茶色い水が流れ込んでいる。これは氷河が削った土砂が含まれている。この中の極細かい粒子は沈殿しないの光を反射してエメラルドグリーンになるのだという。こうして神秘の湖が生まれた。またここには氷河に削られた山などがそびえる。ナハニとは先住民の言葉で精神を意味するという。この地は彼らの崇拝の対象でもあった。夏になるとオーロラが空を彩る。原始の地形を伝えるこの地はカナダで最初の世界遺産となった。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・カナディアンロッキーの端にナハニ国立公園の大秘境がある。
・ここは元々は海底であり、6000万年前に隆起した石灰岩の地形が浸食されて今日の景観が形成された。
・この地は氷河による浸食を受けていない。かつて氷河が北米大陸に広がった時も、この地は北部のラゲット山脈のせいで雪があまり降らず、氷河に覆われることがなかった。
・国立公園の中には温泉の石灰分が蓄積して出来た石灰華の丘が存在する。ここは先住民にとっては聖地であった。
・また石灰岩が永久凍土から溶け出した水で浸食されて陥没した地形も存在している。
・公園北部には氷河が迫っており、そこには氷河に削られた細かい粒子のためにエメラルド色になった湖が存在する。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・以前にヒューマニエンスで、人間は文字を読む労力を軽減するために作業を自動化するので早とちりをするようになっているって言ってましたが、実は今回のナハニ国立公園。関西人の私は最初に見た時に「ナニワ国立公園」と読んでしまって「?」になりました。

tv.ksagi.work

次回の世界遺産

tv.ksagi.work

前回の世界遺産

tv.ksagi.work