火山の島・済州島
今回の世界遺産は韓国の済州島。韓国の一大リゾート地である。この島は火山島で火山が作り出した独得の地形が見られる。
日本の大阪府ほどの面積の済州島。中央には標高1950メートル、韓国最高峰の漢拏(ハルラ)山がそびえる。火山の数は360も存在する。秋には中腹の森は紅葉に彩られる。山頂には直径550メートルの火口が。最後の噴火は2万5千年前だという。大量の溶岩によって出来た地形が周囲に広がる。噴火は山の周囲でも起こり側火山が多数存在する。あちこちにその火口が残っている。
海岸にある不思議な地形が城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)。巨大な王冠に見えるこの地形も側火山。直径600メートルの火口が残るが、海の浅瀬で起こった噴火が火口だけが残ったのだという。また沿岸には波で削られたミルフィーユのような地形は、火山灰が何層にも積み重なった物だという。
火山が生み出した巨大洞窟
また火山が作った地底の巨大洞窟も2005年に発見された。全長3.4キロの長大な洞窟の先には巨大な地底の湖が存在する。全長は800メートルで、真水と海水が混ざり合っていることが分かった。溶岩が流れる時に表面だけが冷えて洞窟状になった物だという。溶岩が海に流れ込んだ地域では柱状節理などもみられる。海底も溶岩で覆われている。海中にも柱状節理が見られる。洞窟もあり、これらは地上で出来た物が海中に沈んだと考えられる。
洞窟内の天井からは白い氷柱のようなものがあるが、実はこれは鍾乳石だという。なぜ溶岩の洞窟に石灰岩でないと出来ないはずの鍾乳石があるのか。それは海岸の石灰質の砂が内陸に飛ばされ地表を覆い、その下に洞窟があるので、これらが雨で染み込んで鍾乳石を生んだのだという。世界有数の溶岩洞窟である万丈窟(マンジャングル)は全長7キロで、流れた溶岩が残した波のような模様が残っている。溶岩台地は春になると菜の花に覆われる。
忙しい方のための今回の要点
・韓国の済州島は火山島であり、360もの火口が残っている。
・中央の山が韓国最高峰のハルラ山だが、その周辺に多くの側火山が存在し、これらが多数の火口を残した。
・また溶岩で出来た巨大洞窟も発見されている。これらの洞窟は溶岩が流れる時に、周辺部は冷えて出来たものである。海中にも存在し、地上で出来たものが水没したと考えられる。
・また洞窟内の天井には氷柱のようなものがみられるが、これは実は鍾乳石。洞窟の上を覆った海岸から飛来した石灰質の砂が、雨で溶けて染み込んだのだという。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・洞窟の天井から鍾乳石と言われると、あまりに自然なものだから違和感を持たなかったんですが、確かにここは鍾乳洞ではなくて火山洞窟だから、本来は鍾乳石が生成するはずがないんですよね。こういうことも改めて言われないとなかなか気がつかないものだな。
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