教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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12/25 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「緊急警報!年末年始に急増 冬に危険な事故・病気」

家庭内に潜む事故の危険

 冬になってくると家の中での不慮の事故が増加する。家庭内の不慮の事故で亡くなった人は交通事故の4倍という数字もある。このような冬の事故を防ぐにはどうすれば良いか。それには救急車が到着するまでには平均8.9分かかる(今はコロナでもっと伸びている気がするが)ので、それまでに行う救命措置が生存率に劇的に影響するという。そこで今回は危険な事故の事例を紹介すると共に、救命措置の方法についても紹介する。

 冬に起こる事故と言えばまず上がるのが。これを喉に詰めて窒息する事例は正月に非常に多い。5.5センチもの巨大な餅を喉に詰まらせて救急搬送された事例もあるという。高齢者になると咳反射が弱まるためにはき出せずに最悪は死に至る。窒息の時間が6分を越えると急激に死亡率が上昇する。これは6分で身体の中の酸素を使い切ってしまうから、脳に損傷が生じたりするのだという。

 対処法だがまずは背部こう打法。これは身体を前傾させて顎を支え、肩甲骨の間を掌の付け根でバンバンと強く叩くという方法。これでダメな時には腹部突き上げ法という、鳩尾とへその間を握り拳で押さえて上向きに5回突き上げるという方法を行う。なお調理の際になるべく小さく餅を切るのが予防として重要。なお水を飲ませるのは危険であるので避けること。また掃除機で吸い出す方法よりも先の方法の方が有効だという。

 

 

これ以外に存在する危険

 コンロに潜む危険として、着衣着火がある。これは服や毛が引火する事故で、火が直接触れてなくても熱が蓄積して着火することがあるので要注意。毎年これで100名ほどが亡くなっている。綿やレーヨンのネルシャツとかフリースなどが特に危険だという。起毛している服は燃え広がるスピードが速いので注意。長袖の場合は袖を捲るべきと言う。着火した場合は脱ぐか、流しで水をかけたり水を被る。

 また脱衣場などで起こりやすいのがヒートショック。怖いのが湯船内で意識を失って溺死するケース。寒い脱衣場で血圧が急上昇し、それが湯船に入ることで急激に低下して意識を失うのだという。高齢者の不慮の溺死の実に7割は浴槽内で発生している。発見時にはまず顔を水から出すのが重要。それが出来ない時には浴槽の栓をぬいて直ちに救急車を呼ぶ。

 防止のためにはまず風呂に入る前には家族に一声かけることが重要。また温度差をなくすために脱衣場を暖め、浴槽の温度も40度以下にするなど温度差を減らすのが重要である。

 またこたつ内で寝てしまうことで脱水症状になることもある。こたつに長時間入っていると発汗で体内の水分が減少し、脳梗塞などを発症することがあるという。また室内の電気コードに引っかかって転倒する事故も非常に多い。コードの取り回しには注意が必要である。

 

 

救命に有効なAED

 最後はAEDの使い方について紹介している。倒れている人を見つけた場合は、まず意識の有無を確認してから、通報とAEDを持ってくることを周囲に依頼。AEDを待つ間に胸骨圧迫を行う。これは手の上にもう片方の手を載せてしっかりと握った上で、乳頭と乳頭の間の部分を手の付け根で力強く押す。回数は1分に100回以上なのでかなりのテンポが必要。AEDが到着したら、指示に従いながらパッドを装着する。ショックが終わると胸骨圧迫を再開、心臓が回復しない場合はAEDが再度ショックを与えるという。これで救命率が劇的に向上する。


 家庭内の事故というのは要注意で、実に思わぬ場所で命を落とす人がいる。たかが転倒でも、それで頭を打ってそれっきりになったり、骨折して寝たきりなんて言う事例は非常に多い。またこの時期によく高齢者が亡くなるのは寒い風呂とトイレ。特に高血圧のある人などは要注意だ。かの上杉謙信もトイレで倒れてそれっきりになっている。

 AEDについては職場や学校などで実習があったりするので、1度は経験しておいた方が良い。もっともその程度で実戦で落ち着いて措置が出来るかは分からないが、とにかくそこは度胸のようである。私が研修を受けた時に言われたのは、「どうせそのまま放置したら死ぬのだから」とのこと。だから何事もやらないよりもマシとのことである。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・冬の時期は家庭内での事故が増える。家庭内の事故での死者は実に交通事故の4倍である。
・冬に急増するのが餅による窒息。予防には小さく切ることだが、もし詰めた場合には背中を叩く背部こう打法や、鳩尾とへその間のところを拳で突き上げる腹部突き上げ法などで吐かせる。
・またコンロで多いのが着衣着火。火に直接触れていなくても蓄熱して発火することがある。起毛しているような衣類は燃焼速度が速いので注意。
・風呂で多いのがヒートショック。特に危険なのが寒い脱衣場で上がった血圧が、浴槽内で急激に低下することで意識を失って溺れる事例。温度差を減らすことが重要。
・こたつ内で寝てしまうことで発汗による脱水状態から脳梗塞などを発症する危険がある。
・さらに室内では電気コードに引っかかって転倒する例も多いので要注意。
・倒れている人を見かけたらAED。使用方法を知っている方が良い。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・家族のいる場合は発見してもらえますが、高齢者の一人暮らしなんかだと、倒れたらそれで終わりです。これからの時代はそれが社会問題でしょう。

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