教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/15 TBS系 世界遺産「古代遺跡の島!5000年前の巨石文化」

スコットランドの巨大ストーン・サークル

 イギリス北部のスコットランドの北にある70の島々からなるオークニー諸島。ここは驚くべき古代遺跡ストーン・サークルが多数残っている。遺跡があるのはオークニー諸島最大の島であるメインランド。


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 この地に最古の文明が栄えたのは5000年前。メインランドの西部の湖に挟まれた狭い立地の手前にあるのが巨大なストーン・サークルであるリング・オブ・ブロッガー。直径104メートルのサークルに巨大な石が並ぶ。当初の60本の内の27本が今も立っている。高さは4メートルもある。周囲には堀が築かれており、岩盤に岩が立てられている。何らかの儀式が行われていたと考えられる。

 対岸にあるストーンズ・オブ・ステネスも世界遺産。ここは直径30メートル。今も4本の巨石が立っている。高さ5メートル以上の砂岩が立っている。これらの石は海岸から輸送されたものだという。ここも儀式の場と考えられる建設されたのは紀元前3100年頃で、実はストーンヘンジよりも古い。

 

 

石積みの墓に住居跡も見つかった

 さらに直径35メートルの丘のようなものはメイズハウ。これは石を積み上げて作ったお墓で、内部には広い空間がある。薄い板状の石を器用に積み上げて内部に石室を作って死者を埋葬している。東西に伸びた通路から当時になると日の光が差し込むようになっている。

 5000年前の村の遺跡も見つかっている。バーンハウスと呼ばれる石で作られた住居の跡がある。またスカラ・ブレイは8軒からなる村であり、通路でつながった住居で家畜を飼って作物を育てて定住していたという。内部には石で作られた調度も見つかっている。また石で出来た加工品も見つかっている。ここの住民はイベリア半島やフランス西部からブリテン島を経由して渡ってきたと考えられるという。定住したのは5800年前と推測されている。

 オークニー諸島最北の島・パパ・ウェストレイ島の海辺ではもっとも古い住居跡が見つかっている。ここは二つの建物が通路でつながっている構造で、建物の構造はメインランドのものと類似している。5000年前、この地域には1万人が住んでいたと考えられる。

 メインランド島のストーン・サークルがある細長い陸地では最近になって巨大な遺跡も発見された。ネス・オブ・ブロッガーと呼ばれる巨大遺跡は今も発掘中である。ここには巨大な集会所と思われる建物跡が存在している。神殿のような場所だったのではないかと考えられている。巨石文化はアイルランドにも存在しており、ここを中心にして交流があったのではという。出土した大量の土器の欠片からは5000年前の人の指紋も見つかっている。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・イギリス北部のオークニー諸島には5000年前の巨石文化の遺跡が多く残る。
・メインランド島にはリング・オブ・ブロッガーという直径104メートル巨大ストーン・サークルとストーンズ・オブ・ステネスという直径30メートルのストーン・サークルが存在する。
・またメイズハウと呼ばれる薄い石を積み上げて作ったドーム状の墓地も見つかっている。
・さらに5000年前の村の跡も見つかった。この地の人々は家畜を飼って農業を行い定住をしていた。人口は1万人ぐらいが居住していたと推測されている。
・また先のストーン・サークルの中間に巨大遺跡が見つかっており、この地を中心とした巨石文化が広がっていたと推測されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・こうして考えると、あの有名なストーンヘンジはこういう巨石文化の末裔ってことでしょうか。後の世らしく、技術的にはここのストーン・サークルよりもストーンヘンジの方が高度な気がします。

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