教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/29 TBS系 世界遺産「大砂丘!湿地!動物の森!スペイン最大の国立公園」

スペイン最大の国立公園

 スペインのドニャーナ国立公園は大西洋岸に広がるスペイン最大の国立公園である。海岸には砂丘が広がり、奥地には湿地、さらにその奥地には貴重な生物が生息する森が存在する。


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 海辺の大砂丘を生んだのは風と海流である。砂丘を空から見ると縞模様になっているが、塩分に強い低木が生えているのが海岸、そしてもっと奥には砂丘に挟まれるように細い森が存在する。ここに生えているのは乾燥に強いイタリアカサマツ。そしてこれらの砂丘の奥は湿地となっている。

 ここはかつては湾だった。しかし6000年前に砂州が湾を閉じてしまったことで、奥は湿地となった。また海岸の方は風と海流が運んだ砂が積み上がって砂丘はドンドンと高くなる。そしてその背後は下降する風が地面を抉り窪地が出来る。ここが森となった。そしてこれが繰り返されることで縞模様の砂丘となった。この砂丘は今も広がっており、400年で300メートルも広がったことが分かっている。砂丘は風や動物が種を運んでそれが森となっている。

 

 

水鳥の楽園の湿地とオオヤマネコが生きる森

 内陸に行くとまず広がるのが大湿地。これが国立公園の大部分を占める。太陽が照りつけるとところどころで陸地が現れるが、雨が降ると水に没する。ここでは300種の鳥が生息している。多くの鳥の繁殖地でもある。

 さらに奥には森が存在する。砂丘にもあったイタリアカサマツが巨大に成長している。ここに生息する貴重種がスペインオオヤマネコ一時は40頭と絶滅寸前まで追い込まれたが、保護活動が功を奏して今は94頭ほどに増えている。繁殖センターでは今でも数を増やすための試みが続けられている。近親交配を避けるために他の地域のスペインオオヤマネコと交配させる試みもなされている。生息環境のチェックを続けると共に、主食であるアナウサギの繁殖のために、人工のウサギの巣を設置するなどウサギの数を増やす試みもなされてきた。

 この地の豊かな自然が守られてきたのは、実はこの地がスペイン王家の狩猟場だったからだという。皮肉なことだが、狩猟場としての環境を守るために現在の自然が維持されてきたのだという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・スペインのドニャーナ国立公園は、スペイン最大の国立公園である。
・大西洋岸の海岸には縞模様の砂丘が広がる。砂丘の背後が森となっているために縞模様になっているのだとか。
・砂丘の背後は広大な湿地であり、ここでは多くの水鳥が生息している。
・湿地の背後にはイタリアカサマツの森林がある。ここで暮らすスペインオオヤマネコは希少種で、現在は繁殖のための試みがなされており、一時は40頭まで数が減ったのが、94頭にまで復活した。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・ここは王家の狩猟場だったから自然が守られたというが、皮肉なことだが権力者が囲い込んでいたおかげで環境が維持されたという例は結構多い。日本でも皇室の御用林になっていたおかげで守られた森林などもある。

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