教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/30 BS-TBS にっぽん!歴史鑑定「織田信長 戦国レジェンドの休日」

織田信長の実像に迫る

 織田信長と言えば合理主義者で冷酷無比な統治者の印象が強いが、今回はその信長のプライベートの顔に迫ろうという主旨のようである。なお信長については宣教師のルイス・フロイスは「時々激昂したが、平素はそうではなかった」と記しているとか。と言っても時々激昂するだけでもヒステリー持ちでかなりヤバい性格と私などは感じるのだが・・・。

 また信長の体格だが、等身大の木造からの推察では身長166~169センチと、当時の男性平均よりは大きかったようである。また睡眠時間は短くて早起きで、4時に起きると自己の鍛錬と馬の調教を兼ねて、4キロ先まで馬で往復していたとのこと。また食生活は質素であり、好んだ料理は簡単に食べられる湯漬けで、これに焼き味噌(クルミ入り)を添えるのを好んだという。なおこの番組では言っていないが、尾張出身だけに味の好みは濃い口の田舎味で、京の料理人を「まずい」と言ってクビを刎ねようとしたなんていう逸話も残っている。さらにかなり潔癖症で掃除にはかなり力を入れていたという(ハタキが標準装備の某兵長を連想するな)

 

 

好奇心旺盛でパリピ気質

 また好奇心が旺盛で、南蛮人とはよく接触していた。なお様々な献上品をもらっていたが、機械式時計については「複雑すぎてダメにしてしまうだろうから」と受け取りを断ったという。ただマントなどの服飾品は大好きだったらしい。実際に馬揃えで南蛮帽子を被って現れたなどという話もあり、そういうもので目立とうというところはあったようである。

 またお祭り好きで領民と一緒に盆踊りを楽しんだなどというエピソードも残っているという。またサプライズ好きで、1人の宣教師が日本を離れることになった時に、その思い出作りとして安土城をライトアップするなどという派手なこともやっている。いわゆるパリピ気質であったことは想像が付く。

 

 

信長の趣味と最愛の女性

 また多彩な趣味を持っていた。趣味の1つは鷹狩りだが、信長の鷹狩りはかなり実戦的で、明らかに合戦の演習を兼ねていたという。また信長の鷹狩り好きは有名で、外交交渉において鷹を贈り物にもらうことも多かったという。なお猫や鶏を鷹の餌にするので、奈良の人たちが「安土に猫が持って行かれる」と寺に隠したとかいう話もあるとか。

 さらに信長と言えば相撲好きである話は有名。相撲と称して家康をボコボコにして「俺の白兎」とよだれを垂らしていたのは大河の捏造として、実際に相撲大会の類いを主催することも多かったとか。そして成績優秀者には商品を出したらしい。これは領内に溢れている牢人の鬱憤晴らし及び人材発掘という側面もあったという。

 そして信長が力を入れていたのが茶の湯だが、これは単純に趣味とだけは言い難いほどに政治と不可分である。名物を集めては自身の権威を示すと共に、部下に褒美として与えていた。その時に茶会を開く権利なんかも与えられるので、家臣は領地よりも茶道具を与えられることを望んだとか。滝川一益が「茶入れを望んだのに領地になってしまった」とぼやいているのが残っている。ちなみにこの時に滝川一益がもらったのは関東の領土で、それは結局は本能寺の変後のドタバタで失っている(ほとんど身1つで逃げてきた)

 最後に信長が愛した女性はという話だが、信長には正室の帰蝶こと濃姫がいたが、そもそもこれは政略結婚であり、斎藤道三が討たれて美濃との同盟が事実上決裂した時に離縁したのではないかとされている。信長には8人以上の側室がいたが、その中で一番最初に側室となった吉乃ではないかという。彼女は長男の信忠、次男の信雄に長女の徳姫を出産していたが、体調を崩してしまったという。信長は彼女の養生のために御殿まで建てたようだが、ほどなく病死、ショックを受けた信長は三日三晩泣き続けたとか。

 

 

 以上、人間信長の実像について・・・と言うことだが、やっぱり私が以前から感じているヒステリー持ちという印象は変わらんな。第六天魔王などと言うほどの禍々しい人格ではないようだが、かと言って沸点が低すぎていきなりキレるヤバい人という印象はあり、その辺りはパリピ気質と矛盾しないような気もする。

 なお信長の最大の特徴とされる先進性だが、それについても最近の研究では何も信長オリジナルというわけではなく、いずれも先達がいて信長はそれを取り入れたというのが実態であるらしいということも分かってきている。まあその方が信長の実像に近かろう。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・信長のプライベートについて紹介。
・信長は質素で実用的な食事を好み、湯漬けに焼き味噌を好んだという。
・好奇心は旺盛で南蛮人との接触を好んだ。
・祭などが好きで、サプライズで安土城のライトアップも行うなどのいわゆるパリピ気質であった。
・多趣味であったが、鷹狩り、相撲、茶の湯を好んだ。ただし鷹狩りは実践の演習、相撲は人材発掘、茶の湯は部下の恩賞など実益も兼ねている。
・信長がもっとも愛した女性は最初の側室の吉乃と考えられ、彼女の亡くなった時は三日三晩泣き暮らしたと言われている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・信長という人格で一番分かりにくいのは、非常に冷静な計算と激しい感情が入り交じっている点。かなり計算尽くと思われる行動が多いのに、その一方で感情的な振る舞いも垣間見えて、この辺りが彼の複雑さ。

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