一夜にして滅んだ古代ローマの都市
世界で最も危険な火山と言われるヴェスヴィオス山。2000年前の大噴火では麓の町を火山灰が飲み込んだ。そうして滅んだ都市がポンペイ。灰の中から町が発見されたのは18世紀で、古代ローマ時代の都市の様子を伝えるタイムカプセルとなった。発掘は現在も続いており、新発見が続いている。
発掘は250年以上前から続いているという。町の1/4がまだ未発掘であるが、町の構造は徐々に明らかになってきた。富裕層の邸宅では鮮やかな壁画が見つかっている。ポンペイレッドと呼ばれる鮮やかな赤色が火山灰の中から発見された。火山灰が乾燥剤代わりなって色彩を残したのだという。また地下からは犠牲者の姿が火山灰の中に穴として見つかり、金の装飾品なども発見されている。
屋敷の壁画はフレスコ画であり、これ以外にはモザイク画などで床が飾られたものも見つかっている。また見つかった居酒屋の容器の中にはワインが貯蔵されており、2000年経った発掘時にもブドウの匂いがしたという。
随所に残っていた当時の人々の暮らしの跡
道路は石で舗装されて車道と歩道が分かれていた。道路沿いには居酒屋なども存在した。またローマ人には不可欠の公衆浴場も見つかっている。大理石の浴槽に水道で水を引いて湧かして流していたという。サウナでは天上に溝を掘って湯気が落ちないように工夫されていた。またパン屋の窯も見つかっており、黒焦げになったパンも発見された。
ポンペイは火山の噴火で一瞬にして滅んでしまった。果樹園で息絶えた人々の姿が遺体が腐敗して消滅することで火山灰の空洞として残った。そこに石膏を流し込んだ石膏像が多数造られている。
またヴェスヴィオ山の噴火が西暦79年8月24日に起こったという今までの通説を覆す発見もなされた。木炭で描かれた10月17日の日付が見つかったのだという。消えやすい木炭の文字が残ったのは書かれてすぐに灰に埋もれたからだと考えられるという。さらに10月に収穫されるオリーブやザクロが見つかっていることから噴火は10月だったのではという説が浮上しているのだという。
忙しい方のための今回の要点
・2000年前、ヴェスヴィオス山の噴火で一夜にして滅んだ古代ローマの都市がポンペイ。18世紀に遺跡が発見されてから、未だに発掘作業が続いている。
・発掘作業の結果、古代ローマの先進都市の様子が浮かび上がってきた。道は石で舗装され、貴族の邸宅は鮮やかな壁画で彩られていた。
・壁画にはポンペイレッドと呼ばれる鮮やかな赤色が目立つが、火山灰が乾燥剤となって今日までその色彩を保ってきたと考えられる。
・公衆浴場の遺跡も発見されており、天井には水滴が落ちてこないように溝が掘られていた。
・火山灰に埋もれた遺体が腐敗して消滅することで、火山灰の中に多くの人の姿が残されており、そこに石膏を流し込んで型どりした石膏像が多数造られている。
・今まで噴火は西暦79年8月24日に起こったとされてきたが、最近に10月17日の日付を記した落書きが見つかったことと、8月には収穫されないオリーブやザクロが見つかったことから、噴火が10月だったという説が浮上している。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・ポンペイに関しては以前にポンペイ展に行ってますが、豪華な装飾品や壁画も印象的ですが、最後の瞬間を留めた石膏像から何とも表現しがたい感銘を受けます。死者からのメッセージが聞こえてくるようで。
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