インカ帝国の天空都市マチュピチュ
今回はこの手の番組には必ず登場するド定番中のド定番のマチュピチュ。実際にこの番組でも何度か登場しているはず。正直なところ今更新たな切り口もない。
マチュピチュは550年ほど前にインカ帝国が築いた山中の石造り都市である。発掘は続いているが未だに全貌は明らかになっていないという。
マチュピチュはペルーの山中にある。玄関口となる町は標高3400メートルのクスコ。15世紀にインカ帝国はここを拠点に辺りを支配したが、16世紀にはスペインに滅ぼされてしまう。現在の町はインカの石積みの上にスペインが築いたものだという。町を見下ろす高台には砦の石組みの後が残っている。
マチュピチュへはここから3時間の鉄道旅となる。列車はウルバンバ川の流れに沿って下流に向かう。実はマチュピチュはクスコよりも標高が低い。渓谷を縫うように進む列車の脇の断崖には石組みの砦の跡が残る。インカは渓谷沿いにこのような砦を多数築いた。多くの遺跡が残ることから聖なる谷と呼ばれるようになっている。
インカの技術を伝える天空の遺跡
終点は人口3000人のマチュピチュ村。ここから遺跡へはバスで九十九折りの道を進むことになる。標高2400メートルにあるのが天空の遺跡・マチュピチュである。ちなみにマチュピチュとは先住民の言葉で「年老いた峰」という意味だとか。多くの建物は東向き斜面に階段状に建造されている。石積みの壁にかつては漆喰が塗ってあり、屋根は草葺きだったという。
町の中心は太陽の神殿で、天然の洞窟を使用した二層構造になっている。二階の儀式の場は冬至の朝に日が差し込むようになっている。また太陽の洞窟には冬至の日と夏至の日に光が差し込むようになった穴が作られている。インカは天文学の知識に長けていたのである。またマチュピチュを建造した大量の石材は実はマチュピチュ内の石切場から切り出されたものである。ここでは良質の花崗岩を産した。それを高度な土木技術で精密な石組みに組み上げたのである。インカの高度な土木技術はマチュピチュのあちこちに観察できる。
インカはさらに全長4万キロに及ぶインカ道という道を巡らせた。これらの道は石のブロックで建造されている。これらの道は縦横に走っており、渓谷には縄で編んだ橋を架け、これらの橋は現在でも修復されながら使用されている。この道は物流の経路で、温泉から作った塩田も存在する。また宿場町なども途中に築かれている。繁栄した帝国の象徴だったのだ。
忙しい方のための今回の要点
・マチュピチュは550年前にインカ帝国が築いた天空都市である。
・マチュピチュへはかつてインカ帝国の中心地だったクスコから3時間の鉄道の旅の後に、バスで遺跡まで登ることになる。
・町は高度な石積み技術で建造されており、それらの石材はマチュピチュ内の石切場から切り出されている。
・マチュピチュを中心に全長4万キロのインカ道が建造された。これらは物流ルートであり、塩田やら宿場町なども存在する。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・インカの歴史って、大航海時代のヨーロッパがいかに侵略的で野蛮な国家だったかの証明でもあったりするんですよね。
・以前にヨーロッパの歴史学者が「事実を知れば嫌になってくるが、歴史的事実を直視する必要がある」と言ってましたね。日本とかだったらすぐに歴史捏造して「インカの方から植民地にされることを希望した」とか「インカのインフラを整備してやった」とか言い出すところだろうけど。
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