命にも関わるのどの衰え
衰えると命に関わる臓器だが、実は気付かないうちに衰えていることが多いというのが喉。ちなみに衰えのチェック法だが、水100ミリリットルを普通に飲んでタイムを計測するのだとか。これが10秒以上かかったり、途中でむせる場合は危険だという。楽勝に思えるが、番組で200人ほどに試してもらうと半分ぐらいは超えてしまい、年代別だと50代以上の平均がこれを超えているという。なおこれ以外でも食事中にむせるとか声がかすれる、錠剤が飲みにくいという症状は喉の衰えの象徴だという。
のどの衰えは40代から50代にかけて起こるという。そこでのどが強い人としてコーラス歴40年の60代の男性が登場しているが、なんと先ほどの水飲みは1秒ほどで一気という強者。番組ではのどに不安のある男女が集まって調査している。
なおのどの衰えが命に関わるというのは誤嚥性肺炎が発生する危険があること。実はこの誤嚥性肺炎は日本の死亡原因の6位で高齢者を中心に年間5万人が亡くなっているという。
のどの衰えの3つのサイン
そしてこののどの衰えを示す3つのサインの1つが「食事中にむせる」。これは喉仏の働きが悪いのだという。喉仏とは喉頭を保護する甲状軟骨が隆起したもので、一般に男性の方が目立つが実は女性にもある。食事をするときには喉仏が上に上がることで喉頭蓋が倒れて気管を塞ぐことで誤嚥を防ぐのだという。この時に重要になるのが喉頭拳上筋群という喉仏を動かす筋肉だが、これが衰えると喉仏が上がりきらずに食べ物が気管に入る誤嚥が発生するのだという。これを防ぐのにメンデルソン法というトレーニング法がある。これは唾を飲み込むときに喉仏が上に上がるので、その時に喉仏を押さえて3秒その状態をキープするのだという。これを1日に10回を3セット行うのだという。
次のサインが声のかすれ。これは声帯に問題が出ているのだという。先ほどのコーラス歴40年の男性の声帯は発生の際にキチンと閉じているのに対して、のどに不安があるというかすれ声の男性の場合、声帯が閉じずに隙間が空いてしまっている。これは声帯の筋肉量が減ることが原因だという。声帯を開け閉めしている内喉頭筋が衰えることで声帯が閉じられずにかすれ声になるのだという。なおのどの衰えと相関するのが握力だという。握力は全身の筋肉量を測る指標なのだという。握力が衰えるのは全身の筋肉量が衰えているということで、のどの筋肉も衰えているのだという。
最後の3つめは痰がからむというもの。食後に痰がからむ場合は既に食事の際に誤嚥をしている可能性が高いという。この場合に重要なのは咳の力。咳で誤嚥した食べ物を吐き出せないと誤嚥性肺炎につながる危険がある。そこで医療現場では吹き戻し(吹いたらピュルと伸びるオモチャ)トレーニングなるもので咳の力を鍛えているという。ただこの吹き戻しって普通の家にはないので、番組提案は500ミリリットル柔らかいペットボトルを使用してこれを加えて息を吸ってへしゃげさては、次は吹いて膨らますの繰り返しの運動を提案している。
むせた時の対処方とのどに潜む大病
なおむせたときの対処法だが、水を飲むとか背中を叩くは御法度、むせているときに背中を叩くと食べ物がそのまま気管に落ちることがあるし、水などの液体を飲めばさらにむせる可能性が強い。正しい対処法は上半身を前屈みして身体をなるべく水平に近づけて咳で食べ物を吐き出すのだという。
またのどの大病の事例を紹介。のどの違和感があるとして受診した患者が咽頭ガンだったというケースが多いのだという。重症化すると治療後に嚥下機能や発声などに問題が出る場合があるという。近年は咽頭ガンの発生は増加しており、口の中に出来るガンはこの30年で3倍になっているという。その原因はヒトパピローマウイルスというウイルス感染だという。多くの人が感染するウイルスで90%は自然に治癒するが、まれにウイルスが残って長期間潜伏することで咽頭ガンなどの原因になるという。のどの違和感が3週間4週間など長期化する場合には専門医の診察を受けた方が良いという。
以上、のどの衰えについて。実は私も最近になって嚥下が怪しくてむせることが若い頃と比べてかなり増えたのですが、目下のところ水は5秒程度で飲めます。なお以前に風邪をひいた後に声が出なくなるという症状が出て耳鼻咽喉科の診療を受けたのですが、その時はのどが腫れているとのことでした。間もなく声は出るようになりましたが、往時よりも明らかに音域が狭まってしまい、歌手生命を絶たれることになりました(笑)。
誤嚥性肺炎は高齢者の場合は侮れません。私の父がどうしても若い頃からのくせでガツガツとほおばって食べるせいで、食事中にむせることが度々でとうとう誤嚥性肺炎を起こして入院することになってしまいました。高齢者の場合はそのまま亡くなる事例が多いといいます。
忙しい方のための今回の要点
・40代から50代ぐらいでのどの衰えが始まる。これは誤嚥性肺炎につながる危険があるが、日本人の死因の第6位は実は誤嚥性肺炎である。
・のどの衰えとは喉仏を動かす喉頭拳上筋群の衰えで、ここが衰えると食べ物を飲み込むときに喉頭蓋が気管を塞ぐ働きが弱くなり、気管に食べ物が入る原因となる。
・のどの衰えのチェック法として、100ミリリットルの水を飲むのにどれだけかかるかがある。途中でむせたり、10秒以上かかる場合は要注意。
・またのどの衰えのサインは食事中にむせる。のどを鍛える方法にはメンデルソン法というトレーニング方法がある。
・2つめは声がかすれるで、これは声帯の筋肉が衰えて声帯に隙間が出来るせいだという。握力は全身の筋力の指標になるので、握力が低下している人は要注意だという。
・最後のサインは「食後に痰がからむ」というもので、これは既に誤嚥が始まっている証拠だという。咳の力を鍛えるのに吹き流しを使用する方法がある。
・むせたときの対処だが、背中を叩くとか水を飲むはより悪化させる可能性があるのでNG。上半身を前屈みにしてなるべく気管を水平に近づけて咳で吐き出すのが正解。
・またのどの違和感が咽頭ガンなどの症状だった事例もある。のどの違和感が長引く場合などは診察を受けた方が良い。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・自分ではのどの衰えがかなり気になっていたんですが、今回のチェックを見る限りでは、私はまだそう本格的には衰えていないようです。やはり親父と同じでガツ食いのクセの方が問題なんだろうか。
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