教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/21 サイエンスZERO「未来のインフラ"3次元点群データ"最前線」

3 次元点群データの活用

 今回のテーマは3次元点群データとのことだが、これは何かというとレーザースキャナーを使用して集めた3次元のデジタル地図のデータだとのこと。このデータを様々な分野で活用しようということが考えられているのだという。

 このデータの取得だが、ライダーと呼ばれるレーザーを照射して距離を計測する装置を使用する。このライダーがかなりコンパクトな装置なのでお手軽にデータを集められるようになったのだという。

ライダー(LiDAR) 出典Artec3D社HP

 

 

森林管理や自動運転に活用可能

 森林管理に利用されている例では、今までは1本1本の木の太さを定規で測る必要があったのだが、ライダーを持って森林内を歩き回るだけで良くなったので、1ha辺り30分程度で計測出来るようになったのだという。さらにはスマホのアプリで使用出来るようになったり、ライダーをドローンに搭載して上空から測定したりなどで、樹木のデータや地形のデータまで可視化することが出来るようになったのだという。またコンピュータのデータなので、不要なデータは除去することが可能なので、例えば樹木や建物をなくして地形だけを出すなんてことも出来ると言う。

 特にこのデータの活用が期待されているのが自動運転の世界だという。自立移動ロボットにライダーを搭載して周囲の様子を見ながら走行するのだという。塩尻ではこのシステムを搭載した自動運転バスのテストが行われた。このバスは点群マップと走行経路を定めたベクターマップを利用して走行しているのだという。バスは自分の位置を割り出すのにライダーで収拾したデータと点群データを参照するスキャンマッチングという手法で行っているのだという。GPSは高層ビルなどに弱いという弱点があるので、それを補う方法であるのだという。もっとも同じ形状が続くトンネルの中とかは苦手だとか。また地図の定期的更新も重要であるので、他の車からデータを集めるなども考えられているという。

自動走行バス(出典 塩尻市HP)

 

 

町全体を取り込んだバーチャル静岡

 さらには町全体をデジタル化するという試みもなされており、バーチャル静岡なんてものも作られているという(オープンデータとして公開されているとか)。これを使うと富士山の火口にバーチャルで降りるとか、高圧線の位置などを確認するなども可能だという。また熱海での大規模土石流災害では、国土交通省が2009年に取得したデータと2019年のデータを比較することで、盛り土かが大きく拡大しているのが原因であることが分かったという。また能登半島地震でも震災前後を比較することで被害を見える化するなども行われている。

virtualshizuokaproject.my.canva.site

 

 

 以上、まさにバーチャル世界に町を再現するという3次元点群データについて。まだまだ何に使えるかは検討の余地があるので、画期的な使用法を募集しているという状況だとか。まあ私が思いつくのはバーチャル旅行とかかな。これらのデータを使って、実際に観光地で歩いたり車で移動するのをバーチャル体験するというもの。もっとも皆がバーチャルばかりで済ませるようになったら、観光地は商売あがったりになるが・・・。ああそうなる前に、旅行利権の権化である二階とかに間違いなくつぶされるな。もっとも今の時代の弊害としては、何でもバーチャルで体験したつもりになってしまって、実体験が軽視されつつあるってこともあるので、難しいところではあるが。

 なおドローンとかで上空からライダーで樹木を通した地形のデータを読み込めると言っていたので、今まで飛行機とかを使用してかなり手間をかけて作成していた地形データである赤色立体地図とかが、もっとお手軽簡単に作れるような気がする。こりゃお城クンこと千田氏が大喜びしそう。各地の山の地形データを取得したら、未発見の山城とかが続々と見つかる可能性がありそうだな。また町の中に潜む昔の地形のデータなども見つけることが出来るかもしれないので、歴史学の分野では活用出来そう。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・レーザースキャナーを使って集めた3次元点群データから、地形などを記録した立体地図が作られるようになっている。
・これを使用したら森林の調査なども今までのように1本1本の樹木の太さを測定する必要がなく、1ha辺り30分程度で調査可能である。
・また点群マップを使用して、自動運転の車が自身で測定した点群データと参照することで自車の位置を高精度で割り出すシステムの研究も進んでいる。
・さらに静岡ではバーチャル静岡というデータが公開されており、町丸ごとのデジタル化が進んでいる。このデータは熱海の土石流被害の研究などにも使用された。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・これもコンピュータの能力の向上で実用化されたんだろうな。恐らく基本的な考え自身はそう新しいものではないが、今までは処理速度の関係で実用性がなかったんだと思われる。
・結局はコンピュータが進歩したら、今まで到底不可能であったことが可能になっていくんだよな。その内に人間の脳なんかもコンピュータ内に再現出来るようになるかも。

前回のサイエンスZERO

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