赤道直下の氷河へ
アフリカ最高峰と言えば標高5895メートルのキリマンジャロ。赤道下にもかかわらず山頂には氷河が存在するという。しかしこの氷河が現在年々減少しており、消滅が懸念されているという。
キリマンジャロ国立公園はタンザニアの北部にあり3つの峰がある。その中で最も高いのがキボ峰であり、この山頂に氷河がある。登山口からはガイドやポーターなど総勢40名の大部隊で出発。往復8日間の取材のために1トンの資材が必要で、これをすべて人力で輸送するのだとか。
キリマンジャロは標高によって気候が変化する。最初の低地付近では熱帯雨林気候となる。標高3000メートルにかかわらず非常に深い森林があり、湿気が多いのでコケの楽園となっている。この森にブルーモンキーやカメレオンなど様々な動物が生息している。ここに生えている大きな木がエリカだが、これが標高が変化すると姿を変えるのだという。
標高3800メートルに達すると高山草原と呼ばれる樹木のない風景へと変わる。ここに生えるジャイアントロベリアは夜には寒さを避けて閉じている葉が、朝になると一斉に広がるという。粘りけのある液体で凍結を防いでいるのだという。寒冷地に適応した彼らは、大きなものは高さ2メートルにもなるとか。
山頂の氷河は大幅に縮小していた
標高4000メートルなると酸素濃度は平地の6割ほどになる。ここで生えるエリカは大人の腰ほどの高さしかない草の茂みである。標高4200メートルになると寒冷荒原といわれる地域になり、草や木は完全に消滅する。ここの岩は溶岩であり、キリマンジャロが火山であることを物語っている。板状節理と言われる平たい岩などが見られる。
寒さがドンドンとひどくなる中、撮影隊は標高4600メートルの最終キャンプにようやく到着する。ここで食事をとると、翌朝は3時に出発して頂上を目指す。気温はマイナス8度だが、風速が15メートルもあるので体感温度はマイナス50度以下だという。低酸素と極寒の中をなんとか山頂に。低酸素症と闘いながらスタッフは撮影に挑む。
さて山頂の氷河だが、明らかに以前よりも大幅に縮小している。12年前の取材時には15メートルの厚さがあった氷河が7メートルほどになっている。その上に驚くほどに小さくなっており、猛スピードで減少している。この100年ほどで90%減少したと言われているとか。かつては氷河が覆っていた山頂も今は一部に残るのみ。遠くない未来氷河は消滅するだろうと考えられる。
忙しい方のための今回の要点
・アフリカの最高峰、キリマンジャロの山頂には赤道直下にもかかわらず氷河がある。しかし最近その氷河が急速縮小しており、番組ではその現状を調査のために登山した。
・往復8日間の行程はポーターら含めて40名の大パーティーでのものとなった。
・3000メートルの地域は熱帯雨林気候の森林で、湿度も高いコケの楽園となっている。
・標高3800メートルになると樹木のない高山草原となる。ジャイアントロベリアなどの寒さに適応した種が生息する。
・標高4000メートルになると酸素濃度が低下し、3000メートル地帯では高さ10メートルに育っていたエリカが腰の高さまでしか伸びない。
・標高4200メートルは寒冷荒原と言われる草木のない火山岩がゴロゴロする地形となる。
・山頂はマイナス8度。12年前には15メートルの厚さのあった氷河が7メートルまで薄くなっている上に、面積も大幅に低下していることが確認された。遠からぬ将来、氷河は完全に消失すると考えられる。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・地球温暖化の影響がもろに来ているようです。ところで次回はこのキリマンジャロの水に支えられた生態系の紹介をするようだが、氷河が消失したら、その水にもかなり影響するような気がするな。
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