ネパールの古都を巡る
世界の屋根ヒマラヤを臨む国ネパール。ここは異なる神が息づく信仰の土地でもある。ヒンドゥー教の極彩色の寺院に巨大な塔を頂く仏教寺院など、様々な風景が見られる。そのようなネパールのカトマンズ盆地の3つの古都を紹介する。
まずはボダナート。ここには高さ36メートルの世界最大の仏塔がある。この塔には仏陀の骨が祀られており、人々はマニ車を回して五体投地の祈りを捧げる。しかし2015年の大地震でこの仏塔は甚大な被害を受けた。そして他の文化遺産も大きな被害を受けた。だがあれから9年、古都は復活しているという。バクタプルでは地震で由緒ある寺院が崩壊して、半年後には土台しか残っていない状態だった。しかし9年が過ぎて綺麗に復活していた。
カトマンズでも倒壊した寺院や王宮などがかつての姿を取り戻していた。旧王宮がよみがえったことで、ようやく町に明るさが戻ったという。カトマンズがこんなに繁栄したのは流通の拠点だったからだという。北からは岩塩が南からは香辛料が持ち込まれた。カトマンズの名の由来となったカスタマンダップ寺院(世界遺産)は元々印度やチベットの商人のための無料の宿泊所だったという。15世紀以降盆地に王国が3つも生まれ、それぞれの地域で王宮や寺院が建ったのだという。
古都を守る独自の信仰の人々
パタンではダルバール広場に立ち並ぶ美しい寺院が世界遺産である。これらはレンガと木材を組み合わせて建造されているが、これらを建てたのは古くからのこの地に住むネワール族である。多くは仏教徒だが、ヒンドゥー教の寺院なども手がけ、今も彼らが修復などを行っている。16世紀の中頃に建てられたヒンドゥー教寺院のナラシンハ寺院(世界遺産)では修復作業中である。劣化したレンガを交換している。かつては赤レンガのものに漆喰が後に塗られたのだが、当初の姿に戻すとか。修復に使うレンガは手作業で製造されており、熟練の職人でも一日30個作るのが精一杯だという。サイズの異なる600種以上のレンガを作るのだという。レンガの建物を木材が支える構造で、向かいの寺院では屋根の垂木の交換作業が行われていた。創建当時の柱に新たな垂木を打ち込んでしっかりと固定する。そしてそこに神を彫り込んだ柱がはめられる。これらの彫刻の修復も職人達によって行われている。
ネパールには生きている神が存在する。少女の神クマリは地に足を付けることも話すこともしない。ネワールの仏教徒の中から選ばれ、初潮を迎えると人間に戻るのだという。このクマリは実は町や村ごとにいるのだとか。カトマンズには特別なクマリのための館があり、ここには王制のクマリが住んでいたのだとか。
忙しい方のための今回の要点
・ヒンドゥー教や仏教が溶け合ったネパールの古都を紹介。
・ボダナートには高さ36メートルの世界最大の仏塔がある。ここは2015年の大地震で甚大な被害を受けたが、現在は復旧されている。
・同じく地震で大きな被害を受けたカトマンズも王宮や寺院などが復旧している。カトマンズは古くから交易の要衝として繁栄した町である。
・パタンでは美しい寺院が世界遺産となっているが、これらはこの地に古くから住むネワール族によって建てられたものである。彼らは今でも独自の信仰を守りつつ、これらの寺院の修復に携わっている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・ネパールの被害は甚大でしたが、もうかなり修復しているんですね。財力や技術力で難しいのではなどとも言われていたんですが。それに引き替え、日本の能登はどうなってるんでしょうか? やはり政府が復旧に本気かそうでないかの違いが露骨に出ているようです。
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