野生動物の宝庫である熱帯森林
今回はタイのドンパヤーイェン山脈の麓にあるカオヤイ国立公園。ここは野生動物の宝庫だという。縦断する道路を進むと象が悠々と歩いている。ここはモンスーンによる大量の雨により熱帯の森が育まれている。森の中には膨大な水が流れ落ちる滝がある。その中で最大のヘウナロック滝は落差が150メートルもある。滝は3段につながっている。
この森には絶滅危惧種のアジア象が暮らす。草原には土がむき出しな不思議な穴があるが、これはアジア象が塩を含んだ土を食べる塩場であるという。生きるのに不可欠な塩を象は土から摂っており、その場所は年配の象が知っているのだという。300頭の象が公園内に生息しているが、彼らは夜も餌を食べて動き回っているので、睡眠時間は3時間ほどだという。
アジアゾウに起こった悲劇が森林保護につながった
絶滅危惧種の多くが生息するこの森では木の実を餌にする鳥やサルたちが暮らす。落ちた果実は地上の生物の餌にもある。絶滅危惧種のマレーグマは餌を取るために木を登ったり降りたりを繰り返す。また木の上で暮らすシロテナガザルも絶滅危惧種。他にもボウシテナガザルも絶滅危惧種。この2種がいるのはこの場所の特徴。
象は昔から神聖な動物としてタイでは祀られてきたという。国立公園の近くの集落では象が現れるので注意との看板が出ている。象は集落内に現れることもあるが、村人と共生してきたのだという。
そのようなアジア象が悲劇に見舞われた。1987年、ヘウナロックの一番の上段で4頭の象が足を踏み外し滝壺に落ちて死ぬという事件が発生したという。原因は森林伐採。伐採された場所を避けようとして岩場を通った象が滝に落ちたのだという。これがきっかけとなって保護が進められることになったのだとか。
忙しい方のための今回の要点
・タイのドンパヤーイェン-カオヤイの熱帯の森林は絶滅危惧種など野生動物の宝庫である。
・ここには絶滅危惧種のアジアゾウが暮らしており、現在300頭が生息している。
・国立公園の近くの集落には象が現れることもあるが、住民は昔から象を崇めており共生している。
・1987年、森林伐採が原因となって象が滝壺に転落して死亡する事件が発生、それが森林を保護する切っ掛けになった。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・一応象と共生しているということは、アジアゾウは比較的気性が大人しいんでしょうかね。アフリカ象なんて猛獣そのもので、とても共生どころではないですが。
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