教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/30 TBS系 世界遺産「山と海の間に作られた大都市リオデジャネイロ」

実は人工的に作られていた美都・リオデジャネイロ

 今回の舞台はブラジルの美しい都市リオデジャネイロ。美しいビーチで知られる都市だが、この海岸線は実は人工的なものだという。


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 リオデジャネイロは風光明媚な湾に位置し、周囲には基岩がそそり立っており、そこにはロープウェイで登ることが出来るという。有名なコパカバーナ海岸は実は人が作ったものだという。元々の波打ち際から100メートルぐらいを埋め立てて現在の形になったことで大リゾートとなったのだという。

実は人工ビーチのコパカバーナビーチ

 元々リオは大規模な埋め立てによって出来た都市で、その前は湿地だらけで人が住める状態ではなかったのだという。500年前にこの地を植民地にしたポルトガルは、人が住めるように湿地を埋め立てたのだという。全長270メートルの水道橋は離れた水源から水を運ぶためにつくられたものである。この地は金の積み出し港などとしてポルトガルにとっては重要な土地であった。

 

 

奴隷達が産み出した音楽

 20世紀になるとリオの人々であるカリオカによって旧市街とは違う新たな土地の埋め立てが始まる。市街に残る石の壁はかつての堤防の跡だという。今では400メートルも内陸にある。緑豊かな公園が作られて世界遺産となっている。100年ほどで今の美しい姿が作られたのだという。

 海から奥に入ったところにあるのがヴァロンゴ埠頭であり、これも世界遺産である。アフリカから運ばれた奴隷達が、ここから上陸してコーヒー農園なので使役されたのだという。この地域には今でも彼らの末裔が暮らす。彼らがアフリカから持ち込んだ音楽がサンバ。リオのサンバ熱はカーニバルで熱狂的に盛上がる。そしてそこからさらに洗練された音楽としてボサノバが発展した。ボサノバの生みの親はアントニオ・カルロス・ジョビンはリオの裕福な若者だったという。彼らが産み出したボサノバは「ニューウェーブ」という意味だという。ボサノバは世界を席巻する。このような芸術の源泉になったこともリオが世界遺産になった理由の一つだという。

 街の裏のコルコバードの丘には登山列車で登ることが出来る。ここにあるのがリオのシンボルで世界遺産でもある巨大なキリスト像。ブラジルの独立100年を記念して建造され、高さは38メートルもある。このキリスト像は巨大な十字架に見えるように作られているという。周辺の森は実は人工のもので、コーヒー農園として伐採されていた森に元の植物や動物を移植して再現したのだという。現在は自然観察が継続されている。

コルコバードのキリスト像

 

 

忙しい方のための今回の要点

・世界遺産であるリオデジャネイロは、元は湿地をポルトガルが埋め立てて人が住めるようにした土地だという。
・この地は金の積み出し港としてポルトガルには重要な土地で、またここにあるヴァロンゴ埠頭でアフリカからの奴隷が上陸させられ、コーヒー農園などで使役された。
・今でも周辺には彼らの末裔が暮らすが、彼らの祖先がアフリカから持ち込んだ音楽が元になったのがサンバだった。
・さらにそのサンバをリオの裕福な若者だったアントニオ・カルロス・ジョビンが都会的な洗練された音楽へ変化させ、それがボサノバとして世界を席巻する。
・コルコバードの丘には巨大なキリスト像が立つが、周辺の森は実はコーヒー農園として伐採されていたものを、元の植物や動物を移植して再現した人工のものである。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・リオって思いの外の人工的な土地だったんだな。これは初めて知った。それにしても一度破壊された植生を復元するってのはすごいわ。日本ではまずやらんだろうな。

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