教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/4 TBS系 世界遺産「ソチカルコの考古遺跡地帯」

メキシコ高地の古代都市遺跡

 メキシコの高原地帯の南部に存在する1300年前の古代文明の遺跡がソチカルコである。ソチカルコ村のから見える山頂にある石の建築物が古代都市ソチカルコ。ここには1万人ほどが暮らしていたという。都市の中には石積みの大ピラミッドが存在している。その上では儀式が行われていたと考えられる。


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 上層部のエリアの北側の箱状の構造には古代の天体観測所があったという。年に4回正午になると天井から太陽光が差し込むようになっており、これで暦を定めたと考えられる。その暦に従って作付けが行われていた。天体観測をしやすいようにと、防衛のために山上に都市が築かれた。

ソチカルコの大ピラミッド

 

 

メキシコの各地の文明の交差点

 ソチカルコが繁栄した7世紀頃は多くの小都市が林立していた。しかしそれ以前はテオティワカンが勢力を誇っていた。ここには10万人が暮らしていた。6世紀には衰退したが、その影響は周囲に及んだ。羽毛の生えた蛇の神殿が特徴的であるが、同じものはソチカルコにも存在する。神殿の周りにレリーフとして刻まれているのが羽毛の生えた蛇である。なお神殿は古い神殿を覆うように新しい神殿が増築されてきた。このような構造はテオティワカンにもある。さらに1000キロ以上離れたマヤ文明とも交流があったことがレリーフから覗えるという。

羽毛の蛇のレリーフ

 マヤからは高度な天文学などが伝わった。また古代のサウナの跡も見つかっているが、これは儀式の場でもあったという。薬草や水を使ってサウナで身体を清めていたのだという。さらに球技場と言われる競技場もある。この球技場はマヤから伝わったのだという。球技場では神に捧げる首切りも行われており、神聖な命がけの儀式でもあったのだという。

 ソチカルコでは東向きの支配者の住居アクロポリスの真ん中で、赤の男と呼ばれる赤く着色された像が見つかった。赤い色は神聖なものを示すという。これはマヤでも見られた特徴だという。この赤の男は太陽神だと考えられている。東向きの住居の中心は太陽が昇る方向でもある。ソチカルコには古代メキシコのあらゆる文化が混淆して存在しており、これが世界遺産に認定された理由である。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・メキシコの高原地帯南部のソチカルコには1300年前の古代都市の遺跡がある。
・都市には大ピラミッドが存在し、さらには天体観測所も見られた。
・7世紀後半にはソチカルコ周辺で多くの都市が繁栄したが、ソチカルコにはそれ以前に勢力を誇ったテオティワカンの羽毛の生えた蛇のレリーフも見られる。
・また1000キロ以上離れたマヤとも交流があったと考えられており、天文学などはマヤからもたらされたと考えられる。
・さらには太陽神と思われる赤の男の像が発見されており、これもマヤ文明と共通するものである。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・羽毛の生えた蛇だのテオティワカンだのと、今年の2月に「古代メキシコ展」で見学した内容を思い出します。あの展覧会はかなり面白かった。

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