教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/18 TBS系 世界遺産「不思議な動物の宝庫!スマトラ島の森」

オランウータンが暮らす熱帯のジャングル

 インドネシア、スマトラ島の熱帯雨林はオランウータンが暮らす森である。彼らの生態や不思議な生物を紹介する。


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 スマトラ島には3つの国立公園があるが、ここでは200種以上の哺乳類に580種の鳥類が暮らしている。グヌン・ルセル国立公園ではジャングルの中で様々な猿が暮らしているが、森の人オランウータンがここで生息している。今ではスマトラ島とボルネオ島にしか存在しない。彼らは長い足を駆使して樹上を高速移動する。

 彼らは葉っぱや果実を食糧とする。さらに樹液などもなめたりすると言う。彼らが落とした種は森を豊かにするのに貢献している。彼らは毎日木の上に葉っぱや木の枝でベッドを作り、日が高くなるとここで一休みしたりする。また彼らは雨の気配を察知すると葉っぱを傘にして身体が濡れるのを防ぐ。彼らは毎日寝る場所を変えるという。

 オランウータンは単独行動するが、子供は7年ほど親と共に暮らす。これは野生動物では珍しいぐらい長い。母親は子供を見守りながら生きる術を躾ける。オランウータンの雄は巨大で、顔のフランジと呼ばれる膨らみは、自分が周りより強いと感じるとホルモンの作用で発達するのだという。通常はオスからメスにアピールするのだが、番組ではメスからオスに迫るという珍しいシーンが目撃されている。

 

 

ジャングルに暮らす多くの絶滅危惧種

 このエリアには珍しい動植物が生息し絶滅危惧種も多い。絶滅危惧種の巨大鳥セイランや華やかなサイチョウ、トーマスリーフモンキー(固有種かつ危急種)、ビワハゴロモ(固有種)などを番組では見つけている。また1万種以上の植物が棲息しているが、その中でも開花は数年1度という巨大なショクダイオオコンニャクを発見、開花の撮影に成功している。高さは2メートル、直径1メートルに及び強烈な悪臭を放って虫を引き寄せる。受粉に成功すると赤い実をつけるのだとか。

強烈な悪臭でも知られるショクダイオオコンニャク

 この島は今まで何度も噴火を繰り返して来ており、今も火山ガスが噴き出す火山なども存在する。その麓の深い森の中で近年、新種のオランウータンが発見された。タパヌリオランウータンは以前から存在は認識されていたが、2017年に新種と認定された。縮れた毛が特徴だという。実はオランウータンの中でもっとも古い種だとか。7万5000年前の巨大火山噴火で森が寸断されて孤立して暮らしてきたのだという。生息数は800ほどで絶滅危惧種でもある。森の開拓などで存続が懸念されている。

 親とはぐれたオランウータンなどを保護する施設も作られており、森を守るためにオランウータンを守ると取り組みも実施されている。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・インドネシアのスマトラ島は多くの絶滅危惧種などが生息しており、その代表がオランウータンである。
・彼らは常に樹上で暮らし、子供は親と7年間一緒に暮らすとか。
・これ以外にもこの地域には様々な固有種や絶滅危惧種が生息する。番組では巨大なショクダイオオコンニャクの花も紹介。
・最近になってタパヌリオランウータンが新種であることが明らかとなったという。彼らは実はオランウータンでは一番古い種であるとか。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・日本人は熱帯のジャングルと言えば豊かな生態系というイメージがあるが、実はその環境基盤は極めて貧弱で、ちょっとした開発などで容易に破壊されてしまって回復不能になるとか。だから最近は開発についての見直しが必要となっているのだが、途上国に対して「環境保護のために開発するな」というのも先進国のエゴでもあり、なかなか難しい問題ではある。

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