日本発のフリマソフト開発
今回は日本発の世界を変えた画期的アプリを紹介・・・って要はメルカリらしい。世界を変えたね・・・うーん。
インターネット黎明期の1990年代、日本でもベンチャービジネスが注目されていた。そんな中に1人のシャイな大学生・山田進太郎がいた。インターネットが特技だった彼は、同級生の川島優志はコンピュータ仲間だったが、山田は彼のバイタリティに圧倒されていた。その川島は2000年に突然に大学を辞めてアメリカに旅立つ。その行動力を見た山田は自分も起業の道を選ぶことにする。
ネットの世界なら何かが出来そうに考えていた山田だが、6年間めぼしい成果のないまま20代が終わってしまう。ようやく2009年に山田が産み出したヒットが携帯電話で自分だけの街を作る「まちつく!」。ユーザー数は500万人を越えた。そしてアメリカのゲーム大手から山田のアイディアを会社ごと買収したいと持ち掛けてくる。自分のゲームが世界に出ると山田は買収を受け入れるが、子会社になって間もなくアメリカ本社はゲーム開発の中止を決定。山田は数十億の買収資金と引き替えに夢を砕かれる。山田は会社を去り、ともに開発に携わった仲間たちも解散する。
スマホ上で市場を再現することを思いつく
その頃、川島はGoogleに入社して活躍していた。夢を失った山田は世界を旅することにする。そこで様々な人を見て、実は自分は恵まれていたと感じるようになる。帰国後の山田が目にしたのはスマホの爆発的な普及だった。ここで山田はどこの国にでもあった市場を思いだし、あの自由な雰囲気をスマホ上で作れないかと思いつく。個人売買の発想だった。そんな山田に賛同したのが、起業を経験していた石塚亮。アメリカで育ってシリコンバレーで起業した石塚が日本進出を目指した時に、親身に日本の関係者の紹介をしたのが山田だった。もう一人は富島寛。動画検索事業を立ち上げたがYouTubeに敗北して撤退した過去があった。彼らが山田のアイディアに惹かれて集まる。彼らは世界を目指していた。
アプリ開発は六本木の雑居ビルで始まった。山田が資金を出してエンジニアを雇い、3ヶ月でのアプリ完成を目指した。多くの若者が山田の元に集まった。そして2013年7月サービス開始。しかし初日に取引された額は2万円、ダウンロード数400という惨憺たる結果だった。突破口を開くために山田はmixiの上場を手がけた小泉文明を引き入れる。Facebookに市場を奪われた小泉は見返したいと考えていた。小泉はテレビCMで一気に認知度を上げるべく資金集めに奔走する。小泉は40社以上を回って40億5000万円を調達、CMが放送される。そして創業から2年でダウンロード数は1000万を突破する。
アメリカ市場で大苦戦、さらに国内でも問題発生
その裏で世界進出を目指していた山田だが、アメリカ市場開拓に乗り込んだ石塚と富島は苦戦していた。アメリカでは配送料が高いために些末な中古品を売っても採算が取れない上に、ガレージや倉庫が多いのでガラクタを転がしていても邪魔にはならないという日本とは異なる事情があった。また日本のように広告を打とうにも、広告費の桁が違った。山田は人員の8割をアメリカ版アプリの開発に当てたが日本のような普及にはならなかった。
そして創業5年目で日本で大問題が発生する。金に困っている者をターゲットにして現金を売るヤミ金の手口が横行した上に、さらに領収書の転売などが行われて犯罪を助長しているとの批判を受けるようになり、会社が窮地に陥る。100人を超えるスタッフが24時間体制で現金の出品を削除に当たったが、今度はチャージ済みのICカードが出品され、挙げ句の果ては1万円札を折ってオブジェとして出品する愉快犯までが登場する。批判の矢面に立たされる社員達に山田は申し訳ないと感じていた。以降、AIなどを導入して監視と本人確認を強化する。
一方のアメリカの苦戦は続いた。必死で広告を打ってユーザーを増やしても赤字が続いた。アプリの改良を続けたがユーザー数はなかなか伸びなかった。入社3年目、2人は「他に後任が見つかればトップを降りても良い」という覚悟を決める。アメリカでの成功は無理なのか、山田は悩みを川島に打ちあける。川島は山田にFacebookの幹部を務めていたジョン・ラーゲンを紹介する。山田はジョンを口説き、日本贔屓のジョンは山田に協力、石塚と富島はトップから身を退く。ジョンは月間流通総額をそれまでの2倍の1億ドルにする目標を掲げる。ジョンは「ストーリーが必要」とメルカリを売るためのアプリとして広告を絞り込む。さらに物流会社で梱包を代行するサービスを導入して、CMで勝負を賭ける。半年後3000万ダウンロードを突破、2020年についに目標を突破、翌年初の四半期黒字を達成する(ただしその後壁にぶつかってまだ奮戦中とか)。
以上なんだが、先のシリーズに比べてとにかくネタがショボいと言われている新シリーズだが、その中でも極めつけにショボいネタが来たなという印象。そもそもメルカリが世界を変えた? 嘘つけというのが本音。しかも今回の内容だけでも全く成功してない話になっている。せいぜいが「未だに奮闘中」。ジョンが頑張ったアメリカ市場開拓も頭打ちで、このまま行ったらジリ貧が見えている。また結局は石塚と富島は会社を去って共に現在充電中という印象だが、正直なところ体の良いニートに見えた。そもそも山田自身も起業家ニート期間がかなり長い。
どっちにしろ「彼を見習って自分も起業してみよう」という夢を若者に抱かせる内容でなく、むしろ親たちに「見てみろ、やっぱり起業なんてなかなか上手く行かなくて、結局行き着くところはニートじゃないか」と息子達を思いとどまらせる内容である。結局は平成以降、日本では様々な分野で成功がほぼなくなってきている(主に政治の問題が影響している)ということを改めて示しただけ。
次回ははやぶさが登場のようだが、多分新シリーズの本命はこれだろう。平成以降の日本のプロジェクトで明確に成功を謳えそうなものってこれぐらいだから。だけどこれを出してしまったら、後はどうするんだろう? ああ、これを最終回にして秋の番組改編で終了か?
忙しい方のための今回の要点
・インターネット黎明期の90年代、ネットが得意だった学生・山田進次郞は起業を目指す。
・しかし6年間ヒットは出ず、ようやく2009年に携帯アプリでヒットを飛ばすが、アメリカのゲームメーカーに買収後開発が中止、山田の世界進出の夢は断たれる。
・山田は世界を単身旅行で回って様々な人達を見ていく。そして帰国後、スマホが爆発的にヒットしていたのを見て、スマホ上であの世界で見た市場のような雑多な取引を実現出来ないかと考える。
・山田のアイディアに起業経験のある石塚亮と富島寛が参集、山田が資金を出してアプリの開発が始まる。しかし当初は全く世間に相手にされない状況に陥る。
・山田はかつてmixiを上場した小泉文明を引き入れる。彼は40社を回って資金を集め、CMを大々的に打つ。そしてダウンロード数は1000万を突破する。
・しかしアメリカ市場開拓を託された石塚と富島は、流通コストが高いなどの日本とは異なる事情に大苦戦していた。
・また日本でも現金が出品されたり、領収書が転売されるなどの犯罪が続出、会社に批判が集まることになり、対応に追われる羽目になる。
・アメリカで完全に行き詰まった石塚と富島は身を退く決意をし、Facebookで幹部だったジョン・ラーゲンにアメリカ市場が託される。ジョンはメルカリを「売るためのアプリ」と位置づけてCMを打ち、アメリカでのダウンロード数が3000万を突破する。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・正直、キツいなショボいなという印象しかないし、全然成功してないやんとツッコミを入れたくなる。メルカリが今後どうなるかは分からんが、10年後に会社が影も形もなくなっていても特に驚かん。
・実際今回も、完全に敗北したmixiとか出てくる。メルカリがこの轍を踏む可能性も十分にある。
・しかも今回の内容、ドラマとしても全く見所がないし、特に学ぶべきところもないんだよな。言ったらなんだが、やっぱりIT関係の業界人は人間的に浅いわ・・・。
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