教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/23 NHK あしたが変わるトリセツショー「血糖値も下げる!?命を守る口内フローラ改善術」

万病に影響する口内フローラ

 最近になって、口内環境があらゆる病気に影響するということが知られてきたが、その口内環境である口内フローラの改善で健康につなげようという話。

 口の中には100~300種、1000億個以上の菌がバランスを保って存在している。口内フローラとはそのような環境を指すのだという。

 番組では糖尿病の診断を受けた患者が登場するが、彼が医師から言われたのは歯医者に行って口内の状態を整えるようにとのこと。彼はかなり重度の歯周病になっていたという。歯周病は口内フローラが乱れた状態であるという。歯周病は実は糖尿病の状況に対する影響が強いのだという。

 糖尿病以外にも脳梗塞、心筋梗塞、さらにはがんや認知症や動脈硬化など口内の細菌が関与しているのだという。虫歯菌が微少脳梗塞の発症を増加させることも分かっているという。

 

 

歯周病の恐怖

 番組ではここで街角調査。唾液から口内環境を調査したところ、落第点がゾロゾロ。そこで特に悪かった5人の口内チェックをしたところ、歯周病の指摘が続々で全員歯周病を発症している。なお47.9%が歯周病だという調査もあるとか。

歯周病は万病の元

 口内フローラが健康に保たれていると外からの雑菌が入り込む余地はないが、口内フローラが乱れると菌の塊であるデンタルプラークこと歯垢が発生する。このプラークは水で洗ったぐらいでは落ちず、アルコールでもマウスウォッシュでもダメだという。歯垢のバイオフィルムは簡単には壊れず、12時間で歯垢自体が大きく成長するという。

 そして菌が増えすぎると病原性スイッチが入って酸を出して歯を溶かしたりするのだという。さらにはプラークで密閉されることでジンジバリスなどの嫌気性細菌が活発化し、これが歯茎を破壊して血を餌にして増殖するのだという。さらにジンジバリスが血管内に侵入すると、全身に回ってあちこちで毒素をばらまくことになるのだという。この時に炎症物質もばらまかれるので、これがインスリンの働きを阻止するのだという。

 なお歯周病は動物園で飼育されている動物でも発生しており、餌を食べられなくなると命に関わることから、それの防止は飼育上の課題になっているとか。

 

 

改善のための歯磨き方法

 で、口内フローラの改善方法だが、プラークを根こそぎ落とすことが重要だという。その方法は当然ではあるが歯磨きになる。この時に大事なのは歯と歯の間を磨くこと。歯ブラシを大きく動かすとブラシの先端が歯の間に入らず磨き残しが増えるので、歯に斜めに当てて細かく動かすということになる。なおフロスを使う場合、歯磨き前に使用するのが効果的であるという。そして先ほどの歯周病5人衆が正しい歯磨きを1ヶ月行ったところ、歯周病が大幅改善して目出度し目出度しというオチ。なおどうしても磨き残しはいくらか出るので、定期的に歯科医でのケアをとのこと。なお高齢者の場合はとくに歯磨きが重要であり、健康状況に直結するという。

結局は正しい歯磨きが大事


 以上なんだが・・・特に新しい情報はなかったという印象。全て私にとっては常識レベルという認識なんだが、一般ではそうでもないのか? まあこの手のネタは定期的に注意喚起する意味はあるんだが・・・。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・口内の細菌バランス、口内フローラの状況は全身の健康に関わる。口内フローラの悪化で糖尿病、脳梗塞、認知症、がんなどにつながる危険が指摘されている。
・歯周病は口内フローラが悪化した状態。歯垢の発生で嫌気性のジンジバリスなどが歯周ポケット内で繁殖すると、歯茎の破壊が進み、さらには菌が血管内に入ることもある。
・菌が血管内に入り込むと、全身に毒素が回ってさまざまな病気につながる。
・口内フローラを良好に保には歯垢を除去すること。それには正しい歯磨きが重要。さらにはそれでも磨き残しはどうしても生じるから、定期的な歯科医でのケアも必要。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・内容的にはまあ妥当なんですが、今回に関しては個人的には特に学ぶべき内容はなかったですね。この番組的にも同じようなことは何度かやっているような気もするし。

前回のトリセツショー

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