教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/7 NHK-E サイエンスZERO「生命の法則を利用!難病治療の大革命"核酸医薬"」


今回のポイント

・今まで根治療法がなく対症療法に頼らざるを得なかった指定難病に対し、核酸医薬という新しい技術が注目されている。
・この核酸とはいわゆるDNAなどの遺伝を司るもの。核酸医療とはmRNAに働きかけて、作られるたんぱく質の種類や量を調整することで、細胞の機能不全を修正する医療技術である。
・急性肝性ポルフィリンという激しい腹痛に襲われる難病(国内患者数推定35.5人)は60年前からヘモグロビン内のヘムを合成するタンパク質に問題があることが分かっていたが、今までは根治療法がなかった。しかし核酸医薬を使用することで、症状を起こす原因となっていたヘム合成時の有害な中間体を抑えることが可能となった。
・核酸医薬の作用機構は、RNA干渉という作用を用いてRNA内に取り込まれることで、有害なタンパク質の合成を抑制するように働くのだという。
・一方、脊髄性筋萎縮症は神経伝達に関わるタンパク質が不足することで発生することが分かっている。この分野に対しても2015年に核酸医薬を用いた治験が開始されることになった。
・この場合、mRNA内のスプライシングと呼ばれる冗長性の解消の不備を、核酸医薬が除去することでタンパク質合成が正しく機能するようにするのだという。
・核酸医薬は患者数の少ない病気に対して、原因となる遺伝子変異が分かっていればそれを解消するためのオーダーメイド治療が可能で、これは従来の医薬品よりも劇的に開発スピードが早いという。
・この医療によって今まで歩けなかった8歳の少女が、半年で歩けるようになったという劇的な症例も生まれている。

 

 

遺伝子疾患に対する特効薬

 核酸医薬とはDNA(デオキシリボ核酸)と同じ成分であり、要はDNAやそれをコピーして機能するmRNAを直接編集して、遺伝が原因になる病気についての治療を行うという医薬品のようである。遺伝子に原因がある疾患は、今までその根治は不可能であったが、これを使えば疾患部分を狙い撃ちできるということのようである。受精卵などの遺伝子編集によって新たな機能を持つ生物を誕生させるなんていう研究は普通にされていたが、成長を遂げた生体の遺伝に起因するバグを修正しようという技術のようである。

 ただ何でもかんでも遺伝子に作用すると危険極まりないから、まず問題の原因となっている遺伝子が特定されているということが最重要なように思われたが、それから考えると全く未知の病気だと使いようがなく、今まで研究はされていろいろ分かっていたが、それに対する医薬が開発できなかった病気という、かなりピンポイントな対象に限られるように思われるので、そこが難点だろうかという印象を受ける。

 

 

それにしてもかなり難しい内容だったな

 正直、今回の内容はかなり難解であったなという印象である。番組中でなるべく分かりやすいイメージになるように工夫して説明をしていたようであるが、それでも説明内容はかなり難解で、一応理系の素養のある私でも、ザっと一回流し見しただけでは「?」だった。結局はもう一度見たうえで、さらにはネットでの検索も加えてようやく「こんなものなのかな・・・」という認識が上のもの。番組中では井上咲楽嬢は「はいはいなるほど」という調子で理解していたようだが、本当に理解していたんだろうか?

 この番組、最先端の科学をきっちりと紹介する番組なんだが、時折あまりにきっちりしすぎているが故に内容が極めて難解になることがあるんだよな。それって正確に説明しようという良心のようなものなんだが、今回のような難解な内容だと一般向けには正確さは端折って「要は、DNAなどにある欠陥を狙い撃ちで修正しようという医薬なんです」ぐらいに説明を丸めてしまった方が一般人には理解しやすそう。

次回のサイエンスZERO

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