
今回のポイント
・戦国末期最高の名医として知られる曲直瀬玄朔が記した医学天正記から、当時の偉人たちが患っていた病気を通して、歴史の裏側を読むという企画。
・文禄・慶長の役での苦戦の裏には、派遣軍の1/5に当たる3万の軍勢を率いる毛利輝元が持病のライター症候群(反応性関節炎)が悪化して動きが取れなくなったことが影響しているという。
・ライター症候群とは感染症がきっかけとなる免疫異常によって、自らの細胞を破壊する疾患で関節などに痛みを生じるものだという。
・さらに毛利軍には冬の厳しい寒さによる凍傷や凍死も増加していたという。秀吉は輝元を帰国させて自ら前田利家や蒲生氏郷を率いて援軍に出ることを考える。
・しかしその蒲生氏郷が病に倒れる。氏郷の病は大腸か肝臓ガンの末期だったと思われるという。そして氏郷は間もなく亡くなる。これで秀吉の構想はとん挫する。
・医学天正記を分析したところ、衛生環境の悪さから来る胃腸の病気が多いが、上位にはインフルエンザなどの発熱疾患、マラリアなどがあるという。
・また藤堂高虎が江戸城築城の際に水に入ったせいで体調を崩したとか、加藤清正と黒田長政が飲み過ぎによる体調不良で受診した記録もある。また小早川秀秋はアルコール中毒から肝硬変を患ったことが記録されているという。
・さらに茶々は鬱で苦しんでいたという記録もあり、かなりのストレスを背負っていたことも分かるという。
・豊臣家滅亡につながった事件が関白秀次の切腹である。秀頼の誕生で秀吉が邪魔になった秀次を排除したと言われているが、秀吉と秀次の間で不和が生じていた様子はないという。
・秀次が体調を崩して玄朔が駆けつけようとしていた時、ちょうど後陽成天皇も体調を崩したが、玄朔は症状から食あたりと診断して薬を使者に託して、秀次の治療に駆けつけたのだが、これが後に問題になる。
・秀次の病気は喘息発作と考えられ、大人になっての発症はストレスが絡んでいるという。これは命にもかかわる可能性がある病気であり、そのために玄朔は秀次の元に駆けつけたのだが、天皇よりも秀次の治療を優先したことが秀次の「謀反」とされ、秀吉も秀次を処分せざるを得なくなったという。
・秀吉は秀次に高野山での謹慎処分を言い渡すが、自らの将来を悲観した秀次はそこで切腹したという。
これって「偉人たちの健康診断」では?
偉人たちの抱えていた病気から歴史の裏側を推測するのが今回・・・ってことだけど、これって内容的には以前あった「偉人たちの健康診断」ネタですね。実際に医学天正記はあの番組に何度も登場している。それだと佐藤二朗要らないから渡辺あゆみを出すべきですね(笑)。まあそもそも実際にこの番組での佐藤二朗の不要感は半端ないんだが。
で、最初のネタは秀吉の朝鮮出兵にまつわるネタですが、重要人物であった輝元の病で毛利軍が動けなかったのが戦線硬直の原因になったという分析。まあこれもありそうだが、実際には元々無理筋の侵略なんですよね。朝鮮だけを相手にするならともかく、その背後の明は軍勢も多いし意外に精強、しかも向こうは海を渡る必要がない。それに対して日本側は補給路に難があるうえに、大名寄せ集め軍だから統制も弱い、現地の民心は当然侵略者に反抗するし、地の利はないうえに朝鮮の冬は日本よりも厳しいと来てるんだから、秀吉は朝鮮をなめ過ぎていたとしか言えない。
補給線が不安定で、元々一般兵の防寒装備なんて不十分、そりゃそんなところでは疫病が流行しますというわけで、疫病が日本側の体力を削ったというのは十分にあり得ること。
それにしても戦国武将のアル中の多さよ
戦国武将というととにかく酒をガバガバという連中が多かったようです。まあいわば全員体育会系みたいなもんですから。そのために酒が原因のトラブルも多かったですが、酒で命を縮めた武将も少なくない。まあその最たる者が今回は登場していないが上杉謙信でしょう。なんせ戦闘中も馬上杯で酒をガバガバやって、ラリったまま先頭切って敵陣に突っ込んでいくので部下も命がけでついていかざるを得ず、これが越後バーサーカー軍団無敵の秘密だったと。もっとも謙信はそのおかげで便所で脳溢血で倒れてそれっきりになっちゃいます。
小早川秀秋が出てきましたが、まあ本人にすれば飲まずにいられなかった境遇のようです。幼い頃は秀吉の後継者候補として大事にされたのですが、秀頼が生まれたことで不要とばかりに小早川家に養子に出され、関ケ原の合戦では家康について勝利したものの、裏切り者と陰口を叩かれる境遇。本人も結果として秀吉を裏切った形になってしまったということには忸怩たる思いもあったと思われ、これが飲まずにいられようかってところだったんだろう。結局は若くして死んじゃいます。まあ不幸な人です。
最後は関白秀次ですが、この番組では秀吉は秀次を殺すつもりはなかったという解釈ですが、いや殺すつもりだったろうと私は思ってます。本当に殺すつもりがなかったら、高野山での謹慎を命じてから秀次を呼び出して「今回は帝の手前、お前を処分しないわけにはいかないが、遠からず必ず呼び戻すからそれまで私を信じて大人しくしていてくれ」と言い含めるぐらいはするのではと思います。それに秀次が自決した後、妻子や縁類を皆殺しにしているというのはどう考えても異常。やはり秀吉は秀次が邪魔になって排除にかかり、秀次もそれを感じて自決した(これも実質的に自決を強要された可能性もあると思っている)のではというのが私の説。今回の話はどうもしっくりこないし、これだと処罰を一番先にされるのは、曲直瀬玄朔じゃないかという気もするんだが。
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