今回のポイント
・カナダのグロスモーン国立公園は様々な貴重な地形で世界遺産となっている。
・大阪府ほどの大地に多くの野生動物が暮らしている。
・ウッディーポイントから車で1時間のところに、美しい湖の渓谷が存在する。高さ600メートル以上の高度から落ちる滝は、強風のために水が吹き飛ぶので滝つぼがない。
・清水の湧きだす渓谷の奥にはコケが群生し、これが水を浄化して美味しい超軟水を生み出している。
・この渓谷は氷河に削られたフィヨルドだが、大地の隆起によって内陸に閉じ込められたことで珍しい淡水のフィヨルドとなった。
・テーブルランズと呼ばれるエリアにはオレンジ色の大地が広がるが、ここはプレートの衝突でその下のマントルが地上に飛び出したものである。マントルをこれだけ直接に観察できる場所は他に例がないという。
・オレンジ色はマントルを構成するかんらん石が酸化したものであり、鉄分を含んでいるのが特徴。かんらん石が水と反応し蛇のウロコのような模様の出来た蛇紋石なども見ることが出来る。
・鉄分が多いうえに栄養が少ないので植物が育ちにくく、それがオレンジ色の大地がむき出しになっている理由である。かろうじて育っているカラマツなどもかなり背が低く、食虫植物などが多い。
・サラセニアは虫を捉えるだけでなく、蚊の幼虫を内部で飼うことでその排泄物を栄養にしているという。
・海辺にはグリーンポイントと呼ばれる縦じまが無数に入った地形が連なる箇所がある。・この無数の縦縞は地層であり、元々水平だった層が大陸の衝突で折れ曲がって地上に押し出されたものである。
・含まれる化石から判明した年代は6億年前から5億7千年前までの3千万年分の地層であることが分かった。そのため1メートルあるけば10万年だという(地形は300メートル続く)。
地形の見本市のような大地
グロスモーン国立公園があるカナダ東部は、かつて超大陸パンゲアが分裂した時に、プレート同士が激しく衝突した箇所に当たり、それが今の複雑な地形を生み出したのだという。
フィヨルドが出来たのはその大陸移動なんかよりももっと後の年代だと思うが、まさに緯度の影響によるものではあると思われる。多分氷河期に氷河に覆われてその時に浸食され、その後の温暖化でそれが完全に溶けた後に浮上したんだろう。それにしても氷河の重さがなくなったことによる浮上で内陸化するとはかなり分厚い氷に覆われていたのだろうと思われる。で、海水が入り込まなくなって流入する雨水などで段々と塩水が薄まって淡水化したか。干上がってしまっていないのも地形によるものだろう。もっと温かい地域なら、完全に干上がって岩塩層が出来ていた可能性もあったと思われる。

マントルによるオレンジ色の大地
で、面白いのはやはりマントルがむき出しになっているオレンジ色の大地か。マントルのかんらん石から出来ていると言っていたが、調べてみたらかんらん石って元々は緑色してるんですよね。

ただ構造がMg2SiO4とFe2SiO4の連続固溶体とのことなんで、鉄をかなり含んでいるんですよね。しかも水の存在下で二酸化炭素と反応して脆い蛇紋岩になって風化するということなんで、最終的なオレンジ色は鉄が酸化した酸化鉄の色でないかというように思いますね。つまり最初は緑色の大地だったのが、みるみるオレンジ色の大地に変わっていったのではないかと。

世界遺産って、文化的価値のあるものや、歴史的価値のあるもの、さらに今回のように地形的に価値のあるものとか様々なものの混合なんで、本当に多彩ですね。