教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/6 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「新たな原因となる脅威が!秋の呼吸器トラブル」

秋に増加する呼吸器の不調

 秋に変わると季節の変わり目と言うことで、気温や湿度や気圧などの変化、夏に増えたダニの死骸によるアレルギー、さらにはウイルスなどによる呼吸器のトラブルが出やすい。しかし最近はこれ以外の新たな原因による呼吸器のトラブルが増加しているという。

秋には呼吸器の不調が発生しやすい

 

 

異常気象、肥満が喘息の引き金に

 まずは異常気象が引き金となるタイプの喘息。実際の患者が証言しているが、元々喘息を持っていたのだが、台風が近づいてきた時に話すことも出来ないような激しい喘息発作が出て入院する羽目になったという。集中豪雨の時なども悪化するので、気象庁よりも早く反応が出るとか。突然の気温変化や気圧変化が気管支が過敏になっている喘息患者の呼吸器を刺激するのだという。また秋雨のせいで花粉に付着した微少なオービクルという微粒子が花粉本体から離れて浮遊、0.5μmと微少なオービクルは肺の奥にまで入り込むために激しい症状を引き起こすのだという。さらに雨が花粉を破裂させることで、花粉内のアレルゲンが細かい粒子となって飛び散るのだという。

 さらには肥満が原因となる喘息もある。患者はBMI30を超えていた女性で、季節の変わり目に喘息が悪化して訪れた医院で、肥満が原因と言われたとか。肥満になると炎症性サイトカインが増加するので、気管支喘息の炎症を悪化させてしまうのだという。また脂肪のせいで横隔膜が下がりにくくなり、呼吸が弱くなるという問題もあるという。

 

 

新型感染症の恐怖

 さらに肺NTM症という病気が世界的に増加しているという。これは肺非結核性抗酸菌症のことで、肺に非結核性抗酸菌が感染した状態で、これに感染すると菌と共存してしまう状態になり、免疫が健全な時は良いが免疫が低下すると菌が増殖して咳・痰・血痰・喀血などを起こすという。この菌は土や水などの環境に普通にいる菌で結核菌と同じ抗酸菌だという。人から人に感染しないのが結核とは違い、患者が減少している結核と対称的に近年患者が急増しているという。進行に数年かかるために検査で気付かないことがあるという。なお番組に登場した患者が感染したのは風呂とのこと。シャワーヘッド内で繁殖してミストとして吸ってしまうなどの例があるという。ガーデニングの際の水やりなども注意とのこと。なおシャワーヘッドは40度のお湯1リットルにクエン酸大さじ一杯を溶かし、そこに1時間ほどをつけるとのこと。汚れが浮いてきたら歯ブラシなどで落とすとのこと。なお肺NTM症は発症すると治療が長引くので注意とのこと。

 

 

 以上、秋に増加する新しいタイプの呼吸器疾患について。私も軽いぜんそく持ちなので、悪天候の際には症状が悪化するという経験はあります。なおオービクルなる存在は今回初めて聞いた。私は以前から花粉症の原因は花粉自体ではなくてそこに付着した化学物質だと言い続けてきたのだが、どうやらこのオービクルというのがそのもののように思われる。

 肥満が喘息に悪いという話が出たが、それでなくても肥満は炎症を起こしやすいというのは知られていることなので頷ける話。なお太っている者がゼイゼイと息が苦しそうなのはよくある光景でもある。

 最後のは結核菌ではない結核に似た感染症ということのようだ。それにしても身体に共存状態で潜み、免疫力が低下すると発症するというのはそのまんま帯状疱疹と同じである。最近はこういうスパイのような菌がいろいろと分かってきたと言うことか。まあシャワーヘッドを清潔にというのは分かるが、このために風呂の翌日の沸かし直しも避けるってのは、エコの観点からはどうなんだろう。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・秋は季節の変わり目による気温や気圧の変化、夏に増殖したダニの死骸によるアレルギー、ウイルスの流行などで気管支のトラブルが増加するが、最近はこれに新たな原因も加わっている。
・一つは異常気象が原因の喘息。ぜんそく患者は気管支が過敏になっているので、湿度や気圧の急激な変化が刺激になって喘息を悪化させる。
・さらに花粉に付着したオービクルと呼ばれる微小アレルゲンが、花粉が雨で地面に落ちることではがれて浮遊する。オービクルは花粉よりもかなり小さいため、肺の奥にまで入って激しい症状を起こす。また水にぬれたことで花粉が破裂して、中から微小なアレルゲンが出てくることもある。
・また肥満が原因の喘息も増えている。肥満になると炎症性サイトカインが増加することで、気管支などに刺激となる。
・近年増加しているのが肺NTM症。これは非結核性抗酸菌に感染して起こる。この菌は土や水の中に普通におり、さらに症状の進行が遅いので気付きにくい。シャワーヘッドなどの消毒が大事。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・溜水などで繁殖する菌としては以前からレジオネラ菌が知られており、いわゆる在郷軍人病なんかが社会問題となりましたが、今回のNTMとはまたそれとは異なる菌のようです。
・性質的には結核菌と似ているが結核菌ではないということで非結核性抗酸菌ということらしい。もっとも基本的には生息環境がレジオネラ菌と類似しているので、一緒に繁殖していることが多いという恐ろしい話も。
・いわゆる「タンク内の水垢」が怖いとのことで、結局は貯水タンクの類はこまめに徹底して洗浄ということなるらしい。
・それにしても、医学の進歩で今まで原因不明とされていた病気に診断がつくようになったので、この手の病気が増えてきたってことだろうけど、現代人の免疫力が落ちているってことでもある気もするな。野生の動物がこの手の菌でやられるとも思いにくいから。

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