教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

11/21 TBS系 世界遺産「地中海の火山島!マグマが生んだ純白の谷」

4万本の六角形の柱

 イギリスの北アイルランドのコーズウェイ海岸には、4万本もの石の柱が林立している。しかもそのほとんどが六角形。これらは火山によって生まれたものである。


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 よく見ると地層が三層になっているという。まず柱の林立する表層、その下にある赤い岩のそう、そしてその下になるゴツゴツした岩の層である。

 この柱生成の謎は200年前に地質学者によって解明された。岩の層は玄武岩であり、マグマが吹き出したことによって出来たのだという。マントルプルームと呼ばれるマントルの上昇流が地殻の隙間から吹き出して膨大なマグマが表面に出てきたのだという。この溶岩が六角形になった謎だが、溶岩がゆっくりと冷えることによって収縮時の亀裂で六角形になるのだという。1200℃の溶岩がゆっくりと冷えて六角形の柱となり、やがて周囲の岩が削られて六角形の柱が表に現れたのである。これを柱状節理という。

 

 

大地を引き裂く巨大地殻変動

 実はこの地殻変動は今日も続いており、それが大地を引き裂いて大西洋を生んだのだという。そして今はその活動の場はアイスランドにある。ここで大地が裂かれているのだという。

 スコットランド沖の無人島・スタファ島はコーズウェイ海岸と同じ六角形の柱が見られる。この島はジャイアントコーズウェイの延長線上にあり、かつて巨人がこの島に渡ろうとしたという伝説が残っている。そして圧巻がフィンガルの洞窟である。奥行きは70メートルもある柱の洞窟である。

 となりマル島も同じ火山の噴火によって生成した島で、やはり柱状節理が見られる。海岸の最近に溶岩が崩れた後からは、溶岩樹形という溶岩で大木が燃えた跡が残っている。太さ1メートルもの大木が溶岩に飲み込まれたらしい。6000万年前はこの辺りは巨木が鬱蒼と茂る森だったのだという。

 このような大噴火は何度も繰り返されたという。柱の下の赤い層は鉄分が酸化したことで出来たという。このような風化は火山活動が収まったことによって出来たのだという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・北アイルランドのコーズウェイ海岸には六角形の石の柱が4万本も並んでいる。
・これらの柱は溶岩によって生まれた。溶岩がゆっくりと冷えることによって収縮、その時の割れ目によって六角形になったのだという。これを柱状節理という。
・この噴火は地下のマントルがマントルプルームという巨大な流れで吹き出したことによる。これは大陸を引き裂いて大西洋を生む激しい地殻運動であり、今日でもアイスランドで続いている。
・6000万年前は、この地域は巨木の茂る鬱蒼とした森林だった。その時に巨木が溶岩に飲み込まれた跡も残っている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・柱状節理というのはよく聞く現象です。それにしてもこれだけ大規模に存在するのは圧巻ではある。
・フィンガルの洞窟ってメンデルスゾーンの曲のタイトルでは知っていたが、あんな洞窟だったんですね。初めて見た。

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