教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/5 TBS系 世界遺産「標高2150mの山頂!天空のピラミッド」

山頂の巨大ピラミッド

 トルコのネムルト山は、標高2000メートルを超える山頂の円錐形のピラミッドとそれを取り巻く巨大な顔の石像が存在している。これは19世紀の終わりに発見された。ピラミッドは高さ50メートルで直径150メートルもあり、60万トンの小石を積み上げて作られている。ピラミッドの東側には石像が並ぶテラスがある。ここには高さ7メートルもある神像が並んでおり、ゼウスやヘラクレスなどの神が掘られている。その中の一つの台座にはアンティオコスの名が掘られており、アンティオコス1世が作らせた墓であることが分かる。


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 ネムルト山の麓の高原地帯には2000年前に繁栄した王国の遺跡があり、山頂の離宮の跡が残っている。古代ギリシアとペルシアが混ざった独特の文化を持つこの国は、アンティオコス1世が支配したコンマゲネ王国である。紀元前2世紀、ギリシアからトルコ、ペルシアを結んだ高原地帯に成立した国家であり、国土の東の端には岩山の城の遺跡も残る。しかし未だにその名の由来も分からない謎の王国でもある。

 

 

ギリシア風とペルシア風が混合した謎の遺跡

 ネムルト山の麓にはもう一つのピラミッドの墓がある。これはアンティオコス1世の妻と子の墓だという。このピラミッドも小石を積み上げて作ってあり、丸みを帯びたこぶし大の石が使用されている。これらの石は分析の結果、近くのジェンデレ川から運んだものであることが判明した。一方、ネムルト山のピラミッドは山頂付近で切り出した角張った石を使用しており、石像を切り出した際の破片を使用したと考えられるという。このような小石を積み上げたピラミッドは、穴を掘ろうとすると崩れるので盗掘が防止できるという効果がある。しかしそのために発掘調査が困難で、未だに玄室が見つけられないという。

 ピラミッドの西側のテラスの石像はペルシア風とギリシア風が入り交じった奇妙な姿の石像がある。ペルシア調のとんがり帽子を被りながら、ギリシア調のあごひげをはやした神像である。実際にこれらの神像にはギリシア名とペルシア名の両方が刻まれている。またアンティオコス1世もこの両方の血を引いているのだという。この遺跡はこの独自の文化が評価されて世界遺産に指定された。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・トルコの標高2000メートルを超えるネムルト山の頂上に、小石を積み上げて作られた円錐形のピラミッドが存在している。
・近くにはゼウスやヘラクレスなどの神像も設置されており、アンティオコス1世がそれらと並ぶが、このピラミッドはアンティオコス1世の墓である。
・紀元前2世紀、ギリシアからペルシアへと続くこの高地にアンティオコス1世のコンマゲネ王国が存在したが、未だに多くが分からない未知の王国である。
・神像はギリシア風とペルシア風が入り交じった独得のものであるが、アンティオコス1世自身も両方の血を引いた人物であったという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・山頂のピラミッドは確かに注意してみれば人工物であることが分かるが、近くにあからさまな人工物である巨大神像がなかったら、遠目では見落とす可能性がありそうです。19世紀の終わりになって発見されたというのは、そういうところもあるのかも。

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