教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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3/6 サイエンスZERO「超難解?でも大丈夫!量子コンピューター徹底解説2022」

量子の重ね合わせ原理を使用する量子コンピューター

 現在のスーパーコンピュータを凌ぐ新たなコンピューターとして注目されている量子コンピューターがいよいよ実用化が始まった。今回はこの難解な量子コンピューターについて誰でも分かるように解説するという。

 まず量子コンピューターが今までのコンピューターとどこが違うかだが、今までのコンピューターは信号を0か1かのデジタルデータで現すのに対し、量子コンピューターではこの中間状態の0でも1でもあるという状態が存在すると言うことで、これは量子の不確定性から生じているものである。この中間状態が存在することで、同じ桁数でも1000倍の計算が出来ることになるという。

 量子コンピューターはその原理から、計算アルゴリズム自体が従来のコンピューターと全く異なるために、量子コンピューターに適した分野というものが存在するという。特に典型的なのが組み合わせ最適化問題だという。

 この組み合わせ最適化問題の例としては、20箇所の配送先に対して配送センターからトラックで輸送する時、どういうルートを通るのが一番効率的か、またトラック何台の時が一番効率的かなどを計算するのだという。従来のコンピューターだとルートを1つ1つ次々と計算して膨大な組み合わせを調査した結果で答えを出すのだが、量子コンピューターだと各ルートを重ね合わせて「こっちの方が有利」とか言うように素早く計算できるのだという(分かったような分からないような話である)。同様に工場の作業工程の設計などに適用可能で、自動運転なんかにも使えるのではという話である。

 

 

量子コンピューターのための量子ビットの開発

 量子コンピューターの原理自体は比較的前から考えられていたが、これを素子として実用化する段階で問題があったという。実はこの量子ビットを開発したのは日本の研究者だという。それが理化学研究所の中村泰信センター長と蔡兆申チームリーダー。彼らは超伝導量子ビットを開発したのだが、元々は量子ビットの開発を目指していたのではなく、超伝導回路の中で量子力学の重ね合わせの原理が観測できるのかを研究していたという。しかしそれが観測できると「これって、実は量子ビットになるんじゃね」ということになったのだとか。これでそれまで夢物語だった量子コンピューターが実用化できるようになったという。ただこの重ね合わせを維持するのが難しいかったのだが、ついにそれに成功したという。現在はこれをさらに素子数を増やす研究をしているという。

 さらに光を使って量子ビットを作る研究もなされている。光はノイズに強いので極低温などが必要でないのがメリットだという。レーザー光を振動の大きさで0と1に分け、さらに重ね合わせたものを作るのだという。そしてこれを二つぶつけることで量子もつれが発生し、量子テレポーテーションでデータを伝達できる・・・というのであるが、コジルリがこの辺りで話が分からなくなったと言っていたが、正直なところ私も良く分からん。まあとにかく今までのものよりも非常に使い勝手の良い量子ビットが出来る可能性が出て来たと言うことのようだ。


 以上、誰でも分かる量子コンピューターの話とのことだったんだが、曲がりなりにも理系の私でも今ひとつ分かったような分からないような話であった。電子スピン云々辺りは知っているんだが、量子テレポーテーションとなれば「なんですか?それ?」の世界である。この番組を担当しているプロデューサーも本当にキチンと理解して作ってるんだろうか? この番組見ているとしょっちゅう「あっ、今適当に説明誤魔化したな」ということがあるんですよね。まあ素人相手に厳密に説明するのが難しいのは理解できますが。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・量子コンピューターが実用レベルを迎えている。今回はその原理やメリットなどを解説。
・量子コンピューターは従来のコンピューターのような0と1のデジタルデータだけでなく、それを重ね合わせた状態のものを使用する。
・そのために扱えるデータが多く、例えば配送ルートを考えるなどの組み合わせ最適化問題などに非常に強いという。
・量子コンピューターは永らくその量子ビットの素子を作るのが困難であったが、日本の研究者が超伝導量子ビットの開発に成功し、量子コンピューターの実用化につながった。
・現在は超低温を必要としない光を使用した量子ビットの開発などもなされている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・情けないことに、結局は「分かったような分からないような」としか言いようがないのが私の本音です。量子力学って感覚的に捕らえるのが難しいんですよね。かのアインシュタインも理解できなかったと言われている分野ですので。

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