教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/13 NHK ガッテン「"新原因"発見!衝撃の肩・首のこり改善SP」

肩こりと首こりの区別

 西洋には「肩こり」という言葉がないので西洋人は肩こりを知らないという俗説がある。番組ではいきなりこの俗説を来日外国人に確認しているが、実際はやはり肩こりはあるとのこと。それどころか肩こりであるstiff shouldersと首こりに当たるstiff neckを使い分けている。何でも肩こりの一言で括ってしまう日本よりもむしろ詳細である。今回はこの肩こりと首こりの区別というのが一番大切なポイント。実は肩こりと首こりでは原因が違い、最近はこの首こりに悩まされる人が多いのだという。

 番組では最初にこの首こりに悩まされていた主婦が登場。彼女は激しい首の痛みに苦しんでおり、肩こりと考えていろいろな対策を行ったが全く効果がなかったのだという。しかし実は首こりであることが判明して、その対策を行ってところ劇的に症状が改善したとのこと。

肩こりと首こりでは原因となる筋肉が違う

 次ははり治療の現場を取材しているのだが、肩こりと首こりでは針の打ち方が違うという。肩こりでは1センチ程度の浅いところに針を打つのに対し、首こりでは2~3センチの深いところに針を打つのだとか。

 ここで番組お得意の模型が登場して、東大リハビリテーション部の粕谷大智氏が説明してくれるのだが、肩こりは僧帽筋という肩の後の最上層にある筋肉が血行不良などを起こすことが原因なのに対し、首こりはこの僧帽筋よりも2層下になる後頭下筋群と呼ばれる8つの小さな筋肉が硬直することで起こるのだという。またこの筋肉が硬直すると、ここを通っている頭に続く神経が圧迫されるので頭痛などが起こったりもすると言う。なおここで説明のボードを模型の頭部に刺そうとした小野アナの背が届かなくて、代わりに粕谷氏が刺す場面があったのだが、ここで「必殺」のBGMを流すのは遊びすぎ(笑)。

 

首こりの原因

 ではこの後頭下筋群がこる原因であるが、1つは大体推測できるように「姿勢」の問題。特にパソコン作業のような前のめりになった上で首をあげるような姿勢は、この筋肉に多大な負担をかけるという。そして問題の2つめであるが、これは番組では卓球のラリーを頭を固定して15分見続けるなどという実験で証明しているが、目の動きである。目を動かす時に自然に首が細かく動いてしまうので、この動きで筋肉が凝ってしまうのだという。

 原因が分かったので治療法となるのだが、その前に番組では首こりで苦しんでいた女性をもう一人紹介する。やけに美人が登場したと思っていたら、元々バレリーナだった方らしい。彼女は首のこりでうまく踊ることが出来なくて苦労したとのこと。姿勢も良くて体も柔らかい彼女は首のこりなんて起こしそうに見えないのだが、実はバレエのようなピッと伸びた姿勢は首に非常に負担がかかっているのだという。しかもその上にいろいろな方向に動かすわけだから、負担はかなりのものになっていたとか。で、彼女が行ったのがはり治療。このおかげで現在の彼女は首こりが全くなく、バレエの指導に活躍している。

 

首こりの対処法

 ただし番組でははり治療ではなくて、誰でも家庭で出来る方法を紹介する(これこそがガッテンの真髄)。ただその前に、実際にこの方法を実践した被験者が首の回りが良くなったという実験を示してその効果のほどをアピールする。いつものパターンである。

 その後にやっと登場する方法は、首の筋肉をほぐす運動。まず最初はイヤイヤ運動と言って、目を閉じて(目が動くとどうしても後頭下筋群が動いてしまうから)首を左右にゆっくり小さく動かす。この時に動かしすぎると浅いところの筋肉が働いてしまうので、あくまで小さくがポイントとのこと。これを20往復1セット。次はうなずき運動で、これは目をつぶって首を前後に動かす。少し上を向いてうなずくのがポイント。これは20回1セット。そしてアゴ引き運動、これはアゴを引いて後頭部をストレッチする。これは3秒×10回で1セット。以上を1日3セット行うとのこと。

 最後はこの運動を横になって行う方法を紹介しているが、この際にはうなずき運動とアゴ引き運動の時にはタオルを畳んだ薄い枕を頭に当てて行うとか。


 例によっての実用性タップリの紹介でした。首こりと肩こりを区別して考えることは私もしてませんでしたが、確かに長時間のコンピュータ作業の後、首がガチガチに凝って頭痛がするというのは私にとってはほとんど職業病となっています。今までは肩に湿布を貼って誤魔化していたのですが、この方法を実践した方が効果がありそうです。

 


忙しい方のための今回の要点

・肩こりと首こりを日本人はあまり区別していないが、実はこの両者は全く別物。肩こりの対策を行っても、首こりには効かない。
・肩こりは浅いところにある僧帽筋の血行不良などが原因だが、首こりはその下の深いところにある後頭下筋群の硬直などで起こる。
・首こりの原因としては、姿勢の悪さ、さらに目を動かすことで首が細かく動いてしまうことなどによる。
・首こり解消には頭を左右に小さく動かすいやいや運動、前後に動かすうなずき運動などで筋肉のこりをほぐす方法がある。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・やはりこれはOA作業が多くなった現代人の現代病の一つでしょう。私が悩まされているのは、この首こりだけでなく、目の疲労から来る眼精疲労もあります。この辺りが根本的な解決法がなくて困っているところです。

 

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