教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/27 NHK ガッテン「人類共通の"欠点"が原因!?おしっこの悩み大改善SP!」

おしっこのトラブルにつきまとう、人体の大欠陥

 おしっこのトラブルとしてよくある、尿漏れ、残尿感、下半身の違和感など。年だからと諦めがちのこれらの症状には人体が根本的に抱える欠陥が原因にあるとの話。その欠陥とは何か・・・と番組ではここでわざわざモザイクをかけて焦らすのですが、正直なところちょっと見ただけで骨盤なのは明らかです(笑)。

 で、その欠陥というのは骨盤の形。そもそも人類の体というのは間に合わせの集大成のようなもので、体のあちこちに欠陥を持っているが骨盤の形もその一つ。人間の骨盤は直立歩行を始めた時に、内臓を支えるべく横に広くなったのだが、その際に内部の空洞も広くなってしまったのだという。

 なぜこうなったのかと言えば、それは出産のため。出産時には巨大な頭がこの骨盤の中を通る必要がある。だから頭が通れる穴が必要となったのである。なお番組では説明していないが、出産の必要のない男性の場合、この骨盤の穴は女性よりも狭いという話を聞いたことがある。

骨盤の穴を支える骨盤底筋

 しかし骨盤に穴が開いていると、当然ながらそこから内臓がずり下がってしまう。それを防いでいるのが骨盤の底にある骨盤底筋。しかしそこが弱ってしまうと、内臓がずり下がってくることになる。先ほどの尿漏れなどで悩む方は、膀胱がずり下がってくることで圧迫されたり、栓をする機能が弱まってしまっているのだという。

 これの対策の先進国はフランスとのことで、番組では唐突にフランス取材しているが、そこで取られていたのは風船を膨らませる方法。とにかく骨盤底筋を意識して鍛えることが有効なのだとか。

 

骨盤底筋を鍛える体操

 番組提案の骨盤底筋を鍛える方法だが、内蔵リフトアップ体操なるものを提唱している。それはおならを我慢する時に使う筋肉を意識して、3秒間締めるという方法。姿勢は立っていても座っていても良いが、まずは筋肉をリラックスさせてから、次に3秒筋肉を締めてから緩める。これを10~20分1セットで1日3セット行うとのこと。いつでもどこでもできるので、料理をしながらなんてのをお勧めしている。

 ちなみに番組では尿漏れなどに悩む方6人に、10回1セットで1日2セット以上を1ヶ月してもらったところ、全員が症状が改善したとしている。なおこのデータだけでは信憑性がないことを番組も当然了解しているようで、海外でのデータも出しているが、こちらは6ヶ月体操を継続すると半数の方で症状が改善したと報告されている。ただ神経などが大幅に傷ついているような場合では体操の効果が出ないので、手術などをした方が良いとのことなので、つまりは「ためらわずに病院で相談しましょう」ということ。

尿漏れ予防法

 さらに予防であるが、骨盤底筋を傷めるのは腹圧を上げること。というわけで要注意は便秘(いきむのが長くなる)、花粉症など(咳をすると腹圧が上がる)、そして肥満(どうしても腹圧が上がる)、出産(骨盤底筋が傷つくことがある)、前立腺の除去(男性の場合)などらしい。対策として、たとえばいきむ時にはかなり腹圧が上がるので、その際に両手を上に上げることで腹の空間が広がって腹圧が下がるという。また荷物などを持ち上げる時も、背中を丸めずに背筋を伸ばすことで腹の空間が広がるので腹圧が下がるとのこと。つまりはとにかく背筋を伸ばすのが良さそうだ。

もう一つの尿漏れ原因

 なお最後に骨盤底筋と無関係の尿漏れの原因としては過活動性膀胱というのもある。これに対する方法は、とにかく数分でも良いから尿意を我慢するようにすることとのこと。これを繰り返していると膀胱が鍛えられて症状が改善してくるらしい。ただ膀胱の症状はいろいろなるので、何はともあれ「病院へ」である。


 特に女性に多い下半身のトラブルの対処法紹介。ただ男性の尿漏れの場合は若干事情がまた変わってくると思うのだが、対策は同じで良いのだろうか? その辺りのコメントも欲しかったというのが本音である。

 


忙しい方のための今回の要点

・人間は二足歩行するために骨盤の穴が大きくなり、骨盤底筋で内臓を支えるようになった。そのために骨盤底筋が弱ると膀胱などがずり下がって、それが尿漏れ、残尿感、下半身の違和感などの原因となる。
・症状の改善には骨盤底筋を鍛える内蔵リフトアップ体操が効果的。海外の報告では半年で半数の症状が改善している。
・なお突然に尿意を催してしまうという症状には過活動性膀胱もあるので、その場合は数分で良いから尿意を我慢して膀胱を鍛えるという方法がある。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・大昔に「人間の体は進化の過程での間に合わせの集大成だ」ということを書いた本を読んだことがあります。今回は骨盤が挙がってましたが、腰の骨自体が進化の間に合わせの最たるもののようです。だから人間は宿命的に腰痛に悩まされるようになった。また気管と消化管が一緒になっていて誤嚥してしまうなんてのも、間に合わせ進化の結果。本来ならこの両者は完全分離していてしかりなんですが、そうならなかった。その他諸々「なんでこんなことになってるの?」と言いたくなる欠陥が目白押しのようです。もし人間を神が作ったというのなら、神は相当雑な仕事をしたようです。

 

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