教養ドキュメントファンクラブ

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6/13 コズミックフロントNEXT「ザ・プラネッツ 運命を分けた姉妹惑星 火星」

 かつては運河があって知的生命体が生存しているとさえ思われていた火星。しかし現在では生命が存在しないことは分かっている。探査機の観測の結果、表面には荒涼とした砂漠が広がっていることが確認されている。

火星に生命の存在した可能性

 火星に探査機を送り込む際の問題点は、火星は空気が薄いために探査機を着陸させる時に十分に減速できないことがある。そのために火星に着陸したキャリオシティには巨大なパラシュートだけでなく、ロケットの逆噴射も使用したという。かつて湖の底だったと思われるゲールクレーターに着陸したキャリオシティの観測によると、現代でも土壌にわずかに水分が含まれていることが分かった。

 40億年前の火星は多くの水に覆われていたと考えられる。当時の火星の気圧は地球と同じぐらいか高いぐらいで、温度は25度ぐらいだったという。また有機物も発見されており、この時代に火星では生命が存在した可能性があるという。

大隕石群の襲来

 一方39~38億年前に火星や地球は宇宙からの試練にさらされたことが月のクレーターなどの観測から分かっているという。この時期は後期重爆撃期と呼ばれ(すごい名前だ)、海王星が移動してエッジワースカイパーベルトの小惑星の軌道を乱したことで、内惑星に多量の隕石が落下したのだという。もし火星に生命が誕生していたら、彼らはこの試練にさらされることになる。ただし地球で生命が誕生したのはこの頃だとのことで、もしかすると火星でもこの時期に生命が誕生した可能性もあるという。

火星の寒冷化

 しかし35億年前に火星に破局が訪れる。気温がドンドンと下がって水は凍り付いてしまう。一方火山活動はさかんになり、これによって氷が溶けて高さ4キロもの巨大な滝が出現するなどの劇的な光景も見られたという。

 このような火星の寒冷化の原因は火星の内部の現象が原因だという。この頃ぐらいに火星の内部の対流が停止したことで火星の地場が消失してしまったのだという。地場は太陽風から大気圏を守護する役割を果たしており、これを失った火星では大気が減少し、温室効果がなくなることで寒冷化が進んだのだという。またこの過程で地表の水は蒸発してしまったのだとか。

 火星がこのようになってしまったのは、火星が地球よりも小さいことが影響しているという。つまりは火星の体積が小さいことが内部の冷却を早く進めてしまったということのようだ。これが地球と火星の運命を分けることになったとのこと。

 地球と火星の運命がかなり紙一重で分かれたということが示されていて興味深い内容。しかしそうやって考えると、逆に地球の現在の環境はかなり危ういバランスで保たれているということであり、人類の活動がそのバランスを崩してしまう可能性はかなり高いということが覗える。宇宙を学ぶことで地球の現状が見えてくるというわけである。温室効果問題や廃プラスチックの問題などにもっと真剣に取り組む必要があるということが実感でき、そのためにはあのアメリカの馬鹿大統領をさっさと引きずり下ろす必要もありそうだ。

 


忙しい方のための今回の要点

・40億年前の火星は表面は水に覆われ、気温は25度程度であり、生命が生まれても不思議でない環境であった。
・39~38億年前には内惑星は後期重爆撃期という小惑星の大量飛来をくぐり抜けている。しかし地球で生命が誕生したのはこの時期であり、火星でも同様のことが起こった可能性は否定できない。
・35億年前から火星表面の急激な冷却が起こるが、これは火星の地場の消失によって太陽風の影響により大気を失ったことによる。
・火星の地場が消失したのは、火星の体積が小さく内部が冷却しやすかったことによる。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・火星はオリンポス山のような超巨大火山があることが知られていますが、今回は高さ4キロというあり得ないような滝の登場です。火星の地形はグランドキャニオンなんかよりも遥かに壮大なようですが、これは重力が小さいことが影響しているでしょう。なお火星の大気の消失については、私は以前には「重力が小さいため」と教わっていましたが。