前回はあまりにひどすぎてどうしようもなかったですが、今回は一応は美術番組をしています。恐らく複数制作班の中でも比較的まともな班が担当したんでしょう。
表題作の「炎舞」は速水御舟の傑作だが、彼の言葉に「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い。」というものがあるという。速水御舟は何度も自分のスタイルを変えながら真の美を追究した芸術家であり、それがその言葉とこの作品にも現れているという。
この絵は彼の詳細な炎の観察と、それに昔の仏画などの伝統的な炎の描写を融合させたものだという。だから炎の芯の部分はいかにも作り物っぽさのようなものがあるのに、炎の周辺はリアル極まりないということになり、トータルとして非常に説得力のある炎になっているのだとか。
なお彼がこの作品を描いていた軽井沢でのエピソードとしては、彼の絵がアトリエの窓から見えた時に、そのあまりのリアルさに実際に炎が上がっていると間違われて大騒ぎになったということがあったとのこと。
内容的にはまあ普通の美術番組だったのですが、とってつけたような田中麗奈のシーンが余計で無意味でした。こういう作りにするのなら田中麗奈の必要性はないというかむしろ邪魔なんですが、これを除けると以前の美の巨人たちに戻ってしまうのでタブーなんでしょう。つまりはどう転んでも、今の作り方を続ける以上はろくな番組にはならないということが、今回で余計にハッキリした気がする。
で、次回はまた貫地谷しほりとのことですが、どうせまた「すごい」しか言えないんでしょう。本当にこの番組のゲストは何のために出てるんでしょうか? 「すごい」しか言えない貫地谷しほりに、無理矢理文化人っぽいことを言おうとしてはその度に滑る又吉直樹、豆腐を積んだり藁を括ったりと美術とは無関係なことしかしない要潤に、いかにも美術には興味がなさそうで台詞を読んでます感が満載の田中麗奈、誰一人として番組にプラスになっている者がいない。
忙しい方のための今回の要点
・「炎舞」は炎をリアルに描いた速水御舟の代表作。彼はこの作品に自身の生まれ変わりや再生の意味を込めたのではと考えられている。
・炎の描写には非常にリアルな表現と伝統的な表現を組み合わせており、全体として非常に存在感のある炎となっている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・私もあきらめが悪いというか、決断力がないというか、いつまでもこの番組につきあいすぎてきた気がしますね。
・この作品が「炎舞」のように生まれ変わって再生するという姿勢がない以上、もう見極めるべきでしょうね。先週のでかなり決定的に愛想が尽きていますので、次回も相変わらずの観光ガイドをしているようなら、さすがにもう切りますかね、この番組。