砂漠と古代文明の関わり
今回は砂漠と古代文明に纏わるオムニバス構成となっている。
『世界遺産』2/14(日) 砂漠が生んだ絶景と古代文明【TBS】
アフリカの赤い砂漠とメキシコの火山と砂漠
アフリカのナミブ砂漠は赤い砂漠だが、これは砂粒に付着した鉄分が酸化したものである。その赤い砂漠の中にある白い平らな大地。実はここはかつて河床だったのだという。風で動いた砂丘が川をせき止め、干上がったのだという。
メキシコのカリフォルニア湾沿岸のピナカテ火山とアルタル大砂漠は、砂漠と火山が隣接している奇妙な地域である。火山の最も高い頂は1206メートル。あちこちにあるクレーターのような穴は水蒸気爆発で生じたものである。噴出した溶岩の傍らに広がる砂漠がアルタル大砂漠である。この砂漠には星形砂丘という独特の砂丘が形成されている。よく変化する風のせいでこのような砂丘が出来たのだという。
かつての交易路に栄えた都市の遺跡
アラビアのワディ・ラムは奇岩の地だが、かつては緑豊かな地で、川が流れていたという。今でも当時の川の跡が残っている。ここはインド洋と地中海を結ぶ交易ルートで、その頃の都市の跡がサウジアラビアのアルヒジュルである。ここに2000年前、都市が存在したのだという。岩山を削って作った建物が並び、内部のガランとした空間にはかつて死者を埋葬した。このような墓が100以上並ぶ。400年に渡って繁栄したこの都市は、通行料で潤っていた。そして豊かな人々は自らのために巨大な墓を作ったのだという。
中国のタクラマカン砂漠は、シルクロードのラクダのキャラバンが渡った。鳴沙山という砂山にある三日月型の泉は水が涸れることのない月牙泉である。冬になると湖面は凍り付く。砂漠を流れる川もシベリアからの風でマイナス40度にもなる冬には凍り付く。川の畔に続く断崖には敦煌の莫高窟が連なる。崖にある無数の穴は人が掘った石窟である。そして九層楼という岩を掘った巨大な楼閣まで存在する。そして石窟内は壁画などで飾られており、中には大仏が存在する石窟もある。中は極彩色のお堂となっているのだという。雨が降らないのでカビが生えず、そのおかげで今でも鮮やかな色彩を保っている。
盗掘で崩されたスーダンの古代ピラミッド
アフリカのスーダンのメロエの古代遺跡群は、紀元前8世紀から1000年以上続いた王国の遺跡である。歴代の王を葬るのに250ものピラミッドが建造されている。周囲から切り出した砂岩を積み上げて20メートルのピラミッドを作っている。ビラミッドの先端が崩れているが、これは自然のものではなく、19世紀にイタリアの探検家が財宝を探すために崩したのだという。ピラミッドからは多くの金製品が見つかったという。
ここからナイル川を下るとエジプトの三大ピラミッドが存在する。だがこの巨大ピラミッドをどうやって作ったかは未だにハッキリとはしていない。
忙しい方のための今回の要点
・アフリカの赤いナミブ砂漠の中に白い平らな大地が見えるが、これはかつての川が風で動いた砂丘にせき止められ、河床が干上がったものである。
・メキシコのピナカテ火山とアルタル大砂漠では火山と隣接する砂漠という風景を見ることが出来る。砂漠には複雑な風のために生じた星形砂丘が存在する。
・アラビアのワディ・ラムの奇岩の砂漠はかつては緑豊かな地であった。交易ルートだったアルヒジュルはかつて反映した王国の首都であり、岩を削った巨大な墓が存在する。
・中国のタクラマカン砂漠はシルクロードの交易路だった。川の沿岸の崖には敦煌の莫高窟が連なっている。これらは岩を掘って作ったお堂で、内部は今でも鮮やかな壁画が残っている。
・スーダンのメロエの古代遺跡群はかつての王国の遺跡である。250ものビラミッドが残されているが、これらの頂上は財宝を探すために探検家によって破壊された。ここからは多くの金製品が見つかったという。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・スーダンのメロエの話が出て来ましたが、特にエジプト周辺の遺跡は古代より盗掘との戦いなんですよね。特に野蛮な西洋人は世界中に広がって各地で盗掘を繰り返しました。そのことによる文化的損失はいかばかりか。だから黄金が豊かだった文明の遺跡はほぼ壊滅していて、残っているのは石が中心だった文明の遺跡ばっかりなんです。
次回の世界遺産
前回の世界遺産