教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/18 TBS系 世界遺産「アルプスの絶景!イタリアの白い山脈」

アルプスの白い岩山

 今回はイタリアのアルプス山脈のドロミーティ。白い山脈と言っているから雪山かと思ったら、そうでなくて岩肌が白い。巨岩の峰が林立する絶景である。


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 切り立つ岩山には植物も茂らない。3000メートル級の奇岩の絶壁が並んでそびえ立っている。この壮観は氷河によって生まれたという。今でもドロミーティ最高峰の標高3343メートルのマルモラーダの山頂には氷河が残る。かつてはドロミーティ一帯がすべて氷河に覆われていたのである。氷河は流れる時に岩肌を削る。そしてその浸食は今でも続いている。えぐられたような鋭い地形が崩れずに残っているのは、岩盤が固いからである。

 ドロミーティの麓は緑の山々となり、そこにはいくつものトレッキングコースがある。氷河が削ったシルトのために緑色をした湖などが存在する美しい風景である。

 ドロミーティの山々は他のアルプス山脈とは形態が異なる。絶壁の岩山が連なるのがドロミーティ。この白く固い岩山は通常よりも硬い石灰岩で出来ている。この石灰岩はドロマイトと名付けられ、それがドロミーティの名の由来となった。この岩の生成の秘密は岩の中から見つかるメガロドンなどの浅瀬に住む貝の化石で分かる。ここはかつては海の底だったのである。浅瀬の海に貝などが積もって石灰岩が生成、6000万年前に海底が隆起、この時に海水中のマグネシウムを石灰岩が取り込んで硬いドロマイトとなった。

 

登山家達の聖地

 ドロマイトは5つの柱という意味のチンクエ・トーレなどの奇岩を生みだした。ここはロッククライマーの世界的聖地だという。多くの登山家を魅了するドロミーティの標高3221メートルの岩山クリスタッロで生まれたスポーツがヴィア・フェラータという登山である。山頂へリフトで登ると金具がついたロープを装備して、これを鉄のワイヤーにかけて岩肌を登るのだという。ヴィア・フェラータというのは「鉄の道」という意味で、あちこちにワイヤーが張られているのだという。経験の浅い登山者でもワイヤーのおかげで安全に岩壁の登山が出来るわけである。また標高3000メートルを超える天空の吊り橋も存在する。ここは実は第一次大戦中、オーストリアとの激戦の舞台であり、イタリア軍が移動のためにワイヤーを張り、橋を架けたのだという。それが戦後に登山ルートとして整備されたのだという。

 

忙しい方のための今回の要点

・イタリアのアルプス山脈のドロミーティは鋭い白い奇岩の岩山が続く絶景である。
・この岩山はドロマイトと呼ばれる硬い石灰岩が氷河で浸食されることで生まれた。この地はかつて海底であり、海底で生成した石灰岩が隆起の際に海水中のマグネシウムを取り込んで、硬いドロマイトが生成した。
・ドロミーティのクリスタッロでは鉄のワイヤーが張り巡らせてあり、これに安全装置を引っかけることで経験の浅い登山家でも安全に岸壁登山が出来るようになっている。このワイヤーはかつて第一次大戦中にオーストリアの戦いのためにイタリア軍が張り巡らせたものを、戦後に観光用に整備した。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・安全装置があるから岩山でも登れますと言われても、私は御免ですね(笑)。何とかと煙は高いところに登りたがると言いますが、私は高いところは天敵ですので。

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