教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/16 NHK あしたが変わるトリセツショー「ツボパワー解明!肩こり・腰痛・疲労&美容SP」

WHOも認めたツボの効果

 今回はツボに関して。どうもツボによる治療というと胡散臭さを感じる人もいるようであるが、実はWHOでツボに関しての場所の統一のための会議が行われ、361のツボが認定されるなど、今や世界基準の治療法と認定されているというのである。

ツボ治療の効果が認められるようになってきた

 そこで実際のツボパワーの実践例が登場だが、痛みで首が右に曲がらないという女性の首を針で一突きすれば首が回るようになり、デスクワークで腕が上がらなくなったという女性も一突きで腕が上がるように。どころか逆子の治療まで足のツボに一突きで胎内の赤ん坊がゴソゴソと動き始めて姿勢が変化するということに。

 さらに「ツボを押すだけで身体の不調を言い当ている」というゴッドハンドまで登場。実際に町で被験者を募って調べてもらったところ、手足のツボを押してどこが痛いかを聞くだけで、被験者に事前に聴取していた身体の不調をバシバシと正解するということに。結果は7人中5人が完全正解で、後の2人は2つあげた不調のうちの1つを正解という恐るべき的中率。

 

 

ツボの効果の科学的説明

 とは言うものの、未だにツボの効果について科学的な説明はなかなかついていない。それが最近になってその一端をつかんだとの報告が注目を浴びている。その研究者は韓国のリュウ・ヨンヒ氏。高血圧と大腸炎など内臓の不調を持ったマウスの体内に炎症に反応する薬品を注射したところ、ツボに対応する箇所に神経性の炎症が生じていることが分かったという。つまりツボは不調が起こった時に炎症が発生する場所であるというのである。これは不調が脳に伝わった時に脳が不調箇所の勘違いをし、炎症を起こすように指令を出してしまう先がツボなのだという。

 ではツボがなぜ効くかであるが、ツボを刺激した脳の血流がアップすることが分かっているという。これによってオピオイドという鎮痛物質が脳内に分泌されるのだという。さらにツボを刺激することで筋肉の血流量が増加することで柔軟性が増し、筋膜の皺などが解消されるということも分かったという。とは言うものの、まだ未確認のツボは多数あると言う。

 例えば口の中の上の奥歯の歯茎を刺激すると肩こりが解消するという報告などもあるらしい。このツボはWHO未認定のツボだが、番組で実際に被験者の口内のツボを刺激したところ、4人中3人が肩の筋肉の柔軟性が増すという結果が出ている。

 

 

身体の不調解消や美容に良いツボ

 次は肩こり、腰痛、疲労などに効くツボを専門家の投票で決定するという企画。疲労に関しては足三里というひざのお皿の下にある外側のくぼみから指4本分下にあるツボ。ここを痛気持ちいいぐらいのレベルで刺激すると良いという。さらに腰痛には腎兪という腰のツボと委中というひざ裏のツボ。そして肩こりは肩井という首の付け根と肩先の真ん中辺りのツボと合谷という親指と人差し指の骨が交わる場所から人差し指寄りにある窪みのツボ。詳細は番組HPでとのこと。なお病気によっては保険治療も可能だという。

 最後はリフトアップのツボ。たるんだ顔をリフトアップするのだとか。で、被験者が2週間そのツボを刺激してみたところ、実際に頬が上がるという効果が見られたとしている。なおそのツボは12箇所のとのことなのでかなり面倒。例によって詳細は番組HPでということらしい。

 なおツボは人間だけでなく動物にもあり、ツボ治療で椎間板ヘルニアで手術後も歩けなかった犬が、腰のツボに刺激を与えることで歩けるようになったという例を紹介で終了である。

 

 

 以上、ツボについてなんだが、かつてはオカルトに近いところがあったツボ治療についても最近になって科学的に理由が解明されつつあり、またその効果も正式に医学の一部として認められてきたということである。とは言うものの、未だに足裏診断のようなカルトと結びついたような怪しげな連中も多いので要注意である。まあその辺りは各人が判断するしかあるまい。ただ言えるのは「身体の不調を解消する」まではあり得るが、先祖の霊障をとか開運がとか言い出すと100%カルトである。また健康になるとか言っても、ガンが消えるとか言いだしたらそれも100%カルト。こういう連中に関わると根こそぎ生活を破壊されるので要注意。まさにツボはツボでも統一教会の壺なんで。全財産を壺に変えられる羽目になります。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・ツボは今や世界的にも認められており、WHOが361のツボを認定した。
・プロになると手足のツボを押すことで身体の不調まで言い当てることが出来る。
・最近になって判明したツボのメカニズムは、ツボは内臓などに不調が出た時に神経の炎症が起こる部位で、それは脳の誤認によると言う。
・さらにツボを刺激することで脳の血流が増えて、鎮痛成分が分泌されることや、筋肉のツボを刺激することで筋肉の血流が増えて柔軟性が増すことで筋膜の皺などが解消されることなども分かったという。
・さらにWHOに認定されたもの以外のツボも多数存在する。
・番組では披露、腰痛、肩こりに適したツボ、顔のリフトアップに効果のあるツボなどを紹介。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・まあツボに対する「ホンマかいな?」という疑問の解消にはかなりつながった模様。とは言うものの、正直なところまだ全幅に信用する気にならない部分もあるのは事実。

前回のトリセツショー

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