教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/15 NHK 歴史探偵「清少納言と枕草子」

清少納言の枕草子

 例によって今回も大河連携企画。この番組ってこればっかりの気が・・・。しかしさすがに紫式部も藤原氏もネタ切れ感が強いので、今回は紫式部のライバルとも言われる清少納言に注目。清少納言と言えば枕草子なんだが、日本最古のエッセーなどとも言われている。彼女は藤原定子の女房であり、紫式部が彰子の女房なのでそういう点でもライバル関係と言えた。

土佐光起画の「清少納言図」

 枕草子は写本で残ってきたのだが、番組では最古とも言われる藤原定家の写本などを紹介している。さて枕草子と言えば「春はあけぼの」だが、番組ではこれが実際にどんな景色だったのかを追究するところから始まる(どうでも良いような気もするが・・・)。まず定子の館からの風景と考えられるので、定子の屋敷の登華殿のあった場所を探るところから始まる。現在の御所は当時の御所よりも東に移っているので、当時の御所の場所は今は住宅地に埋まっており、登華殿のあった場所も今や高齢者介護施設が建っている。この施設の建設時に柱の跡が見つかったので間違いないという。しかし市街の中なので視界は開けておらず東の山なんて見えない。そこでそこから北にある船岡山に登っている・・・んだが、最初からここに来れば良いだけのような気も・・・。であけぼのだが、東の空がうっすらと明るくなってくる航海薄明という状態からもっと明るくなって日が昇る寸前の常用薄明というのの間になるのだろうとのこと。で、日の出の時刻を調べたのだが、細くたなびきたる雲というのがネックとなって、撮影当日は幸いにして雲が出て紫色に光る姿を撮影できて目出度し目出度し・・・なんだが、もうどうでも良いわ。

 

 

枕草子執筆の目的

 なお枕草子には清少納言の深い目的が込められているという。枕草子の全文解析をしたところ、実に形容詞が多いことが特徴だという。そして「をかし」などのポジティブの言葉と「にくし」などのネガティブな言葉が入り交じっている。特に「をかし」が一番の特徴で枕草子の別名は「をかしの文学」とも言われている。定子周辺の教養と知識に富んだやりとりなどを「をかし」として紹介しているという。さらに「めでたし」も登場するが、これは定子の衣装などをそう評価している。ここで大河の出演者が十二単を体験するというコーナーとなっているのだが、これもどうでも良いところ。とりあえず十二単は重ね着でグラデーションの美しさなどを見せるのが特徴であるという。なお重量は17キロもあると言うので、ちょっとした鎧である。それはともかくとして、枕草子の執筆目的は定子を讃えることであるという。

紫式部は清少納言に嫉妬していた?

 なお紫式部は清少納言のことを日記で「嘘っぽい」とか「教養が浅い」とかなり酷評しているという。これは定子と彰子が対立関係にあったことを反映しているという。定子は後ろ盾を失って御所から出ることになるが、そこでかなり屈辱的な扱いを受けたという。枕草子はそのような定子の没落については記していないが、定子の没落後には「めでたし」が減って「をかし」の方が増えているという。没落しても風流を楽しむ定子のことを「をかし」と讃えているのだという。枕草子が評判になったことで定子の再評価が進んだことから、紫式部はそれを批判したのだという。そこには嫉妬も含まれているだろうという。なお両者は宮仕えした時期がずれているので、直接に対面したことはなかったろうという。

 

 

 以上、清少納言の枕草子についてだが・・・。やっぱり中身薄いな。正直なところ相も変わらずどうでも良いような内容ばかりが多いのがこの番組らしいところ。にしても最近のNHKはあらゆる番組を大河の宣伝に動員しているが、正直それが鬱陶しい。そもそも今回の大河、中身は「平安ラブストーリー」であり得ないような現代語の羅列の宮中が、私のような歴史ファンにとっては耐えられなくて一話途中でいきなり脱落ですから。日頃歴史物なんか見ないような層には受けているらしいが・・・。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・清少納言は枕草子で「春はあけぼの」と記したが、番組ではそのあけぼのの風景を調査している。
・枕草子には「をかし」「めでたし」などの形容詞がよく登場するが、それらは定子を讃えるための言葉であるという。なお定子没落後には「をかし」の方が増える傾向がある。・紫式部は日記で清少納言を酷評しているが、それは枕草子が評判となって定子に対する再評価が高まったことへの嫉妬があるのではとしている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・枕草子ですが、正直なところ私はエッセーというものに興味がないので。また源氏物語も私は和歌を解する風流人でないので、いささかついていけないところがあって、結局はどちらも読んでませんね。私のようなタイプのオタは中国の歴史書の方が好みに合う。

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