世界遺産条件の4つを満たす砂海
アフリカの大西洋岸には骸骨海岸と呼ばれる多くの船を座礁させてきた海岸がある。その背後にあるのがナミブ砂海である。その面積は東京都の14倍もあるという。海岸から何もないナミブ砂海が続く。朝になるとここに美しい風紋が見られる。この自然の美しさが世界遺産登録の理由の一つとなっている。
内陸には乾燥で涸れた湖に枯れた木が乾燥のために腐らずにアートのように立っている。この砂漠にはサソリを始めとして固有の生き物が多く住んでおり、これも世界遺産登録の理由となっている。砂漠にはカメレオンもおり、体色を変化させて獲物を狙う。また固有種のトカゲや蛇なども様々生息している。またゴミムシダマシなどの昆虫もいる。砂に潜って熱さを避けたり、速く走ることで体を冷やす。また体色の白い種もいる。
特別な砂漠に特殊な生態系
寒流が沿岸を流れるナミブ砂海は雨が少ない。しかしここに巨大な砂海が出来たのは独得の理由があり、これも世界遺産登録の基準に合致するという。海沿いの砂は白いが、内陸の砂は赤くなっている。ナミブ砂海の砂は大陸の反対側のドラケンスバーグ山脈から運ばれたものだという。2億年前に砂岩層の上に溶岩層が出来、それが雨で削られて砂粒となってナミブの沖に運ばれて地面に噴き上げられたのだという。さらに内陸に運ばれる過程で砂の表面に鉄分が付着することで赤い色が付いた。ナミブ砂海は4500万年前に生まれた世界最古の砂漠だという。
体長10センチほどの固有種のヤモリのパルマトゲッコーは水かきのついた手足でシャベルのように穴を掘って日中はその中で暑さを凌ぐ。乾燥と灼熱に対応して進化した特別な生態系が世界遺産の4つめの登録基準を満たしている。寒流で冷やされた空気が朝霧を頻繁に発生させるが、実はこれが砂漠の生き物の命綱になっているという。さきほどのパルマトゲッコーは巨大な目についた水滴を舐めることで水分を補給する。またゴミムシダマシの一種も身体の表面についた霧の水分を身体を傾けて前に集めて飲むのだという。また植物も独得で内陸ではクイバーツリーという巨大なアロエの一種が生える。幹の中に大量の水を蓄えるのだという。さらにはその名も奇想天外(正式名称ウェルウィッチア)という奇妙な草も生える。地下30メートルまで根を伸ばして地下水を摂るのだという。寿命は1000年以上もあるのだとか。受粉はカメムシが行うのだという。
忙しい方のための今回の要点
・アフリカ西岸のナミブ砂海はその美しい自然景観が世界遺産登録の理由の一つとなっている。
・さらに多くの固有種が生息しており、これも世界遺産登録の条件を満たしている。
・この砂海の砂は大陸の反対側のドラケンスバーグ山脈から運ばれたもので、4500万年前の世界最古の砂漠なのだという。このような独得の地形も世界遺産登録の理由である。
・そして朝霧から水分を補給する独得な生物種が多く生息しており、このような独自の生態系も世界登録の理由の一つとなった。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・やっぱり特異な環境には特異な生物が生息するってやつです。それにしても目についた朝霧を舐めて水分補給って大概な生態だな。相当節水仕様の身体になってるんだろうな。
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