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8/12 BS11 歴史科学捜査班「古写真で分析!幕末・明治の東海道 驚きの姿」

 ガラス基板に撮影された高精細の古写真を解析するシリーズ。以前には東京について扱ったが、今回は東海道についてとのこと。

鶴岡八幡宮や小田原城の姿

 最初に出てくるのは鶴岡八幡宮の写真。ここには巨大な仏塔が写っているのだが、これは当時は神仏習合で鶴岡八幡宮内に寺院があったからだという。今はこの仏塔は残っていないことから、廃仏毀釈テロで破壊されたのだろう。

 次に登場するのは小田原城の写真だが、ボロボロになった櫓が写っている。これは二の丸の櫓らしいが、当時の小田原藩は地震や富士山噴火で藩財政が困窮しており、城を直す資金がなかったようだ。実際にこの写真をよく見ると、城の堀までが田んぼにされているのが分かる。廃城令が出たのは明治5年だが、小田原藩ではその前の明治3年に既に廃城届けをだして廃城にしているという。余程財政状況が悪かったらしい。東海道の要衝を抑える藩にしてこの始末とは・・・。なるほど、7/24のヒストリアで箱根の関が林忠崇の軍勢に呆気なく落とされた話が出ているが、そもそも小田原藩は戦どころでなかったわけか。

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箱根の温泉と芦ノ湖の三途の川信仰

 次に登場するのは箱根であるが、ここには東海道の様子やら温泉街の様子が写っている。なお東海道は石畳が有名であるが、実はあの石畳は路盤用の石であり、本来は歩きやすいように土が被せてあったのが、雨などで土が流されて路盤の石が剥き出しになったのだとか。そう言われると納得できる。確かに石畳の道はゴツゴツとしている上に滑りやすいので非常に歩きにくい。道路としての整備なら明らかに間違っていると感じていたので。

 箱根を越えると芦ノ湖であるが、ここに芦ノ湖岸の仏像を写した写真がある。この当時は芦ノ湖を三途の川に見立てて多くの石仏がここに置かれていたという。しかしこれらも廃仏毀釈テロでことごとく破壊されるか芦ノ湖に沈められたとのこと。ただ写真に写っていた仏像は、銅製のためになかなか破壊できなかったとのことで、今でも小田原の寺に残存していた。

 最後は富士の写真であるが、これは須走の登山口を撮ったものだとか。ここに石碑が写っているのだが、これは当時富士を信仰対象として登山を行っていた富士講の者が立てた石碑であるとのこと。富士講の登山の目印のための丁目石というのが整備され、かつてはここの登山ルートに設置してあったらしい。


 以上、幕末から明治にかけての風俗を伝える古写真についてだが、今回もやたらに廃仏毀釈テロ絡みのが多かったですね。あれは今から考えても日本の文化を破壊しただけの百害あって一利なしなテロ活動でしたから、どうしてあんな愚行をやっちまったんだろうと思われるものです。当時は世の中がゴチャゴチャしていて、ヒステリーみたいな連中もいたんだろう。しかしそもそも考えてみれば、伊勢神宮でさえ本地垂迹の神仏習合なんだから、神仏分離なんて全く不可能なことは分かりそうなもんなんだが・・・。まあ現実を無視した原理主義勢力みたいなもんだったんだろう。

 それと私はむしろ「意外と当時の面影が残ってるもんなんだな」と驚きました。今回は現地の資料館の館長なんかに取材してましたが、古写真を見たらその場所が大体分かっていたのには感心しました。

 


忙しい方のための今回の要点

・ガラス原板の高精細古写真によって幕末・明治の東海道を検証。
・当時は鶴岡八幡宮には神仏習合で仏塔があった。
・既に小田原藩は困窮のために城を修理する余裕さえなくなっていた。
・箱根温泉は当時から賑わっていた。
・芦ノ湖には三途の川に見立てた石仏などが多数あったが、廃仏毀釈で破壊された。
・富士には富士信仰の富士講による石碑が建てられていた。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・あの時代の写真であんなに高画質な映像が撮れてるんですね。銀の粒子レベルの写真だから超高精細ということですか。こうなると数十年前のビデオで撮影されている映像が一番解像度も低い上に経年劣化でひどいことになっているんですよね。実はそれ以前の白黒映像の方が品質は高いぐらい。こういった記録を残すには、どういった方法を使うかが難しいところです。今多く残しているデジタル記録にしても、下手したら再生するための装置がなくなって無意味な01データが残るだけってことになりかねませんから。装置依存も結構問題です。今のコンピュータ世界を見ていたら、それは想像つくことです。今時、例えばMOとかにデータが残っていても読み出すことも出来ませんから。ましてやZIPやJAZとかだったら・・・。こういうことを考えると、実はアナログデータこそが最強かもしれないんです。