教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/13 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「肌・骨・血管がコゲる!~知らないとキケン!糖化の謎」

老化や突然死の原因となる糖化

 今回のテーマは糖化。糖化とはタンパク質が糖と結びつく現象で、こうなるとAGE(何か略称自体がいかにも嫌な名前だ)というものが生じて老化や病気につながってしまうとして最近注目されている。例えば豚の皮で例を示していたが、元々は白くて弾力のある豚の皮が糖化すると茶色くて硬いものに変化してしまう。このように見た目ではシミや皺につながったり、もっと深刻なのは骨を脆くしたり動脈硬化などの原因になったりする。

 番組では50代中盤の女性3人に集まってもらって、その糖化年齢を測定している。判定するのは同志社大学の糖化ストレス研究センターの八木雅之氏。何やら怪しげな装置でピコピコと測定した結果は、糖化年齢40代の人から90代の人まで大きな差が出るということに。実際に肌を比べても90代と言われた人はシミなどが多い。まるで90代と測定された人は明らかにさらし者なのだが、正直なところこの方は見るからに他の2人よりも小太りで、最初から「悪い見本」として呼ばれたのがあからさまです。正直なところ番組スタッフの知り合いか何かではと少々勘ぐってしまうところ。

 

糖化の原因は食生活にあり

 で、この年齢の差が出た原因ですがやはり主に食生活。3人に好物を聞いたところ90才の人は「アイスクリーム、ケーキ」と言った鉄板ネタが出てきて、しっかりと自分がなすべき仕事を果たしています(笑)。当然ですがこれは糖分の取り過ぎが原因。さらに気をつけるべきは高温で調理した唐揚げなどの食品。これは既に食品内でAGEが生成しているとのことである。次の2人目の60代と判定された女性で問題とされたのは酒。かなりお酒の好きな方のようである。アルコールが分解されて生成するアセトアルデヒドもタンパク質と結合してAGEを生成するのでやはり注意とのこと。これに対して40代だった女性は食生活には特に普通なのだが、酢の物が好きでいつも食べているらしい。酢は糖分を摂取した時の血糖値の上昇を抑えるので、AGE抑制には効果があるとしている。

 この後はお約束のスタジオメンバーの測定になるのだが、ゲストの川合俊一氏は実年齢よりも若い結果が、彼はトンカツが好きらしいが、その時にキャベツを多く食べるようにしているということと、ウォーキングの習慣があるのが効果を上げていると考えられるとのこと。食後のウォーキングは血糖値の急上昇を押さえるというのは糖尿病への対処でも重要。で、問題の西尾由佳理氏は42才の実年齢に対して判定結果はアラフィフで「嫌だー!」と大騒ぎというお約束。さらに筧利夫氏は57才の実年齢に対して78才という散々な結果が出るという番組的には美味しい展開。食生活的に串カツや焼肉が大好きというのがネックだろうとのことで、新世界が大好きな者は要注意・・・って私か!

 

とんかつや甘物への対処法

 番組後半はとんかつや甘物が好きな方への救済法。とんかつについては薬味として大根おろしや紅たで(こう言われてもピンとこなかったのですが、刺身に良く添えてあるあれのことらしい)を付け合わせることでAGEの生成を抑止できるとか、唐揚げにはローズマリーとレモンを混ぜてなどを提案。甘物には酸化防止効果があるクロモジ茶(よく楊枝に使われているのがクロモジ)というやけにマイナーなものを勧めているが、これなどはその内にトクホで出そうな予感(笑)。

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紅たで JA筑前あさくらHPより

 最後は筧利夫氏から専門家へ「寿司は健康イメージがありますが」という質問。これに対して「魚と酢は良いんですが、斜里に砂糖を使っているのが問題」とのこと。緩和するには海苔とガリを摂った方がよいとのこと。確かにショウガは体に良いというのは今良く言われているところであります。


 以上、体の糖化について。これは最近注目されている老化のことなので一応警告を発しておくのは必要でしょう。要は血糖値が上がることが引き金となるようなので、血糖値の急上昇を避けるようにするということで、これは糖尿病予防にもつながりそうです。

 若干番組構成がバラエティ色の強いやや下品な作りになっているのが懸念事項ではありますが、まあ「あるある」ほどは煽ってないのでまだマシと見ましょう。露骨にサプリなどを勧めないは良心と見てます。

 

忙しい方のための今回の要点

・タンパク質と糖が結びつく糖化が、老化や突然死の引き金になるとして問題視されている。
・食生活としては揚げ物などの食べ過ぎ、糖分の取り過ぎが誘因となる。
・酢などの血糖値の上昇を和らげるものの摂取を勧めている。番組お勧めはとんかつには大根おろしと紅たて。唐揚げにはローズマリーとレモン。さらに甘物にはクロモジ茶である。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・まあ不健康な食生活を見直すことは健康には重要です。ただしくれぐれもあまり極端なことをしないようには注意すること。あらゆる食材において、健康に良い面と悪い面があるというのが真理ですので。例えばまるで諸悪の根源のように言われる砂糖なんかでも、効率的にエネルギーを吸収するという観点では非常に優れた食品で、低栄養下環境ではまさに薬のような働きがあります(実際に昔は薬として使用されてもいた)。ただそれが現在の飽食時代には逆に徒になってしまっただけです。今日血液サラサラ効果があるとしてもてはやされている食材も、かつてのタンパク質不足の日本人にはむしろ出血が止まりにくくなる危険な食材で、脳出血の原因になりかねないなんてこともありました。要はすべてはバランスと言うことです。
・ちなみにこの手の番組でのチェックポイントを一つ挙げておくと、健康を中心に語っている内はまだ無難なんですが、これが美容が絡み出すと急に情報が胡散臭くなるということです。なぜか昔から美容関係は「いくら嘘を言っても構わない」という不文律があるかのようにさえ思えます。そもそもただの蒸留水にわずかな香料と検出限界レベルのごく微量の成分を加えて、高級化粧水として販売しているのが化粧品業界なので。

 

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