教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/15 NHK ガッテン「腸内パワーを引き出す新成分!あのネバネバ食材で便秘改善SP」

食物繊維に代わる便秘解消に有効な成分

 何か最近は1ヶ月に1回のペースのガッテンだが、今回が新年第1回になる。今日のテーマは便秘改善に良い食材。便秘改善と言えば食物繊維であるが、それに取って代わるような成分を含む食材があるそうな。

 まずは実験から。便秘に苦しむ被験者12人に、その成分を含む食材を1日に100グラム摂ってもらったところ、12人中8人が排便の回数が増えたとのこと(残りの4人の内の1人も、排便回数は減っているが、便の状態は明らかに良くなっているとのこと)。中には1週間1回だった排便が15回になったという人までいる。

 

台湾で人気のナガイモ

 で、その食材であるが、実は日本の輸出野菜のトップだという。主な輸出先は台湾だとのこと。ここでその食材が何かが明かされるのだが、それはナガイモ台湾の人はとにかくナガイモを好むのだそうな。特に日本のナガイモは柔らかくて生でも食べられるので大人気とのこと。台湾ではいろいろな料理にナガイモが使用されている。

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台湾で大人気のナガイモ

 台湾の漢方の専門家に聞いたところ、ナガイモは胃腸の調子を整える漢方薬としての働きがあるとのこと。そしてこのナガイモに含まれるのがレジスタントスターチという成分である。

 

レジスタントスターチの働き

 これの腸内での働きを模型を使った小野文恵劇場で紹介している。まず食物繊維は不溶性食物繊維が便を増量し、水溶性食物繊維が便に水分を与えると共に腸内細菌の餌となって活性化する働きをする。だからこの両者のバランスが大事とのことなんだが、レジスタントスターチの場合は1つで両方の働きをするのだとのこと。

 このレジスタントスターチを和訳すると難消化性デンプンになる(直訳すると抵抗するデンプンだが、要は消化に抵抗するらしい)。デンプンの一種なので加熱すると壊れて消化しやすい形になってしまうのだという。だから生でも食べられるナガイモが良いらしい。ちなみにナガイモと言えばトロロだが、これ以外にもトロロに使われるジネンジョ、ツクネイモ、イチョウイモなどは実はナガイモよりもレジスタントスターチの量が多いらしい。どうやらイモの粘りの元になっているようである。

 

ナガイモの食べ方を紹介

 この後はナガイモを使った料理になっているが、ここで紹介されているのがナガイモジュースナガイモ100グラムにバナナ100グラム、牛乳100グラムを加えてミキサーにかけるだけとのこと。このようなジュースは台湾で人気だという。ちなみに私の場合はトロロにして出し汁に溶けば100グラムぐらいすぐに食べられますが。

 レジスタントスターチの効果としては、糖の吸収を和らげるとというものもあるので、食事の前にナガイモを摂取しておくと、血糖値の上昇が穏やかになって糖尿病予防にも効果がありそうである。なお注意はナガイモはレジスタントスターチだけでなく他のデンプンも含んでいるので、食べ過ぎには要注意とのことで、量は1日に100グラム(小鉢一杯ぐらい)が最適だとのこと。

 最後は宮森君がジネンジョ農家をレポートなんてしてますが、これは完全にどうでも良いコーナー(笑)。結局ポイントはジネンジョもナガイモも皮を剥かずにそのままで食べられますというお話だけ。

 

 以上、ナガイモが胃腸を整えるのに効果がありますとのお話。ただ私の場合は便秘の逆で常に下痢気味なので、ヘタするとさらに腹が緩んでしまいそうだ。なお血糖値の上昇抑制に効果があるということは、やはりトロロ飯は良いと言うことか。何か明日にでもトロロ飯が食いたくなってきた。

 ところで番組冒頭では食材の正体を伏せてましたが、シルエットとサクサクした食感というのでもろばれでしたね。なお梨のようなという言い方をしている人がいましたが、そう言えば大昔に私がガッテンに出た時、ナガイモに甘みをつけると梨のような味になるという問題があった記憶がある。

 まあ食物繊維の主成分であるセルロースも多糖類であり、高分子量のデンプンも多糖類だから食物繊維と同等の働きがあるのは当然とは言える。そう言えば登場した専門家が「レジスタントスターチも食物繊維の一種」という言い方をしていたが、これが科学的には一番正確なんだろう。なおこれらの多糖類は人間は消化できないが、腸内細菌はこれらを分解して餌にするので、腸内環境を整えるのに非常に効果があるという話になる。

 

忙しい方のための今回の要点

・便秘解消と言えば食物繊維だが、さらに最近注目の成分としてレジスタントスターチが浮上している。
・レジスタントスターチとは難消化性デンプンのことで、ナガイモに多く含まれている。
・デンプンは加熱すると消化しやすい形に変化してしまうので、ナガイモは生で食べられるというのが最大のポイントである。
・またレジスタントスターチには糖の吸収を穏やかにする効果があるので、食事前に摂取すると血糖値の急上昇を抑止できる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・個人的にはジネンジョやツクネイモは粘りがありすぎて苦手です。サラッとしたナガイモが一番好みに合っているので、私はトロロをする時にはいつもナガイモです。なおナガイモはサラダにしても食べられる。ただジュースにするというのは知らなかった。

 

前回のガッテン

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