教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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1/22 NHK ガッテン「おにぎり・弁当もプロ級に!"冷めたら"おいしいごはんのススメ」

 今回は冷やご飯を美味しく頂くというか、冷えたからこそ美味しいという話。

パックご飯を美味しく頂く一手間

 まずは最近種類が増えているパックご飯を紹介。このパックご飯がどうやって作られているかを工場を訪問して紹介しているが、正直なところこれは今回の本題には全く関係がない蛇足。番組内容が少ないから水増ししたようにしか見えない(不良米を光センサーで感知して、エアガンで排除してるなんてのは面白くはあるが)。

 で、このパックご飯を美味しくする一手間というのがパックにも記載されているというが、まずは大抵の人は気にもとめていないだろうという。それは温めた直後にごはんをほぐすというもの。ご飯から大量に湯気が上がった時に、表面は乾燥するし、下は残った水分が流れてくるので、それを混ぜて水分を均一にするのだとか。まあ確かにこんな表示を気にしたことはなかったですが、これは普通にやってました。そもそもパックご飯をレンジで温めたら、下に水が溜まっているのが普通に気になりませんか?

 

台湾の学生が感じた疑問

 この後に紹介されるのが、台湾の学生が日本に来て驚いたと言う内容の投書(朝日新聞の読者投稿のようだ)。それは日本人が弁当を冷たいままでたべることだとか。台湾では漢方の考え方から、冷たいものを食べるのは良くないとされており、学校などでも弁当を温める機械があってそれを使って熱々の弁当を食べているそうな。

 と、ここでちょうど15分だが、ここまでは前置きでしたと言わんばかりになぜかここで急に今回のタイトルが入ることに。なんか奇妙な構成だが、要は今回の本論は30分と言うことだろうか。

 

冷やご飯こそが美味しい?

 で、本論になった途端に登場するのが高所作業を行っている方。ずっと高所で宙づりで作業をしているために、食事もその状態と言うことになるらしい。そのためによくおにぎりを食べるらしいが、ふわっとしたおにぎりを食べたいのに、いつもベチャッとした固いおにぎりになってしまうのが悩み。と言うわけで、これを解決しましょうというのが今回の本論である。

 そのヒントがあるのが味覚極楽という本に記載されている道重信教上人(増上寺の僧侶だったらしい)が言っている「ご飯は冷たいものが美味しい」という話。この冷たいご飯に水をかけて沢庵で頂くのが一番だというのだ。しかし普通に保温を切って冷めたご飯に水をかけて食べてもらっても、惨憺たる反応しか返ってこない(まあ当たり前だ)。ここには一つのポイントがあるのである。

 というわけでここでここで歴代の炊飯器などが登場するのだが、ポイントはそこに登場しないもの。おひつが重要なのである。炊いたご飯をすぐにおひつに移すことで、余分な水分がおひつに吸収されて美味しい冷やご飯になるというわけ。

 

おひつご飯の威力

 ここで横浜のシューマイ弁当の話が出てくるのだが、あの弁当はシューマイもさることながらご飯が美味しいと評判なんだそうな。その美味しいご飯の秘密は企業機密なので取材NGとのことだが、1つだけポイントを言うと木の折りを使っていることだという。木の折りのせいで余計な水分がのこらずにご飯が美味しいのだとか。そりゃその通りで、最近は安直に発泡スチロールの折りを使用している弁当が多いですが、ああいうのはご飯がベチャベチャしてまずいです。そう言えば私が子供の頃はガス炊飯器が主流でしたが、あそこで炊いてそのまま放置されていたご飯は最悪でした。釜に触れる部分はベチャベチャな上に少し時間が経つと臭ってくる場合さえあり、私はあれが一種のトラウマで冷やご飯は今でもあまり良い印象がありません。

 おにぎりもおひつの中で冷めたご飯を使って握れば、粒立ちの良いふわっとしたおにぎりが出来るとのこと(番組では液体窒素で凍らせたおにぎりをハンマーで砕くなどという派手な実験を披露してました)。なお今は一般家庭ではおひつはほとんどないと思われるので、番組ではそれに代わる方法として、広い器にご飯を広げ、団扇で裏表を扇いで冷ますという方法を紹介している(寿司飯に酢を合わせた後にすることと全く同じ)。体温より少し低いぐらいまで冷めた頃が適温とのこと。そこでおにぎりを握るとふわっとしたおにぎりができるという。またこうしたご飯は「甘い」という人が多いようだが、それはご飯粒の表面が引き締まることで自然に噛む回数が増えるので甘さを感じるようになるのだとか。ちなみにこの冷ましてから握るというのは、おにぎりの店などでも使われている方法だとか。なおこの冷やご飯はふやけないので、丼やお茶漬け、カレーなどの汁掛け系ご飯にもお勧めとのこと。

 最後は先ほどの高所作業の会社の方々にこのおにぎりを紹介、さらに冷たいご飯は食べないという台湾の学生達にこの冷やご飯を食べてもらって、上々の反応で目出度し目出度しというオチ。この番組らしいシメです。

 

 おひつは良いですよという話ですが、これは実際に以前から何度も聞いてますね。海原雄山なんかも「日本のご飯をまずくしたのは電子ジャーだ」と吠えてましたから(笑)。だけど実際に使ってみると、おひつも木の折りも一点だけ大きな問題点があるんですよね。あれは余計な水分を吸ってくれる代わりに、結構ご飯粒が引っ付くのでそれが大変なんです。それがなかなか落ちないし、水につけて放っていたら木が腐るしということで、天然素材ならでは難点もあるので、その辺りが嫌われてしまった理由です。これこそ今のハイテクで解決できないんでしょうか。余計な水分を吸収して放出することが出来ながら、ご飯粒の付着を防ぐ新素材。これで耐熱性があるのがあれば、即炊飯器メーカーで採用だな(笑)。おひつジャーとしてヒット商品間違いなし。

Amazonってこんなもので売ってるんですね。驚きです。

 

忙しい方のための今回の要点

・おにぎりなどがべっちゃりする原因は炊きたてのご飯を握っているから、おひつで冷ました冷やご飯を使用するとそういうことがなくて、ふわっとしたおにぎりを作ることが出来る。
・おひつの良さは余計な水分を吸収してくれること。おひつがない場合の方法としては、ご飯を広げてから団扇で扇ぐ(寿司飯を作る要領)という方法を紹介。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・なんか今回の番組の構成、どことなく変でしたよね。冒頭の15分は前置きですと明言していたに等しい構成。まあ最近のこの番組は45分に編成するのがしんどくて、明らかに引き伸ばしているような回が多いですが。やはりかなりネタが尽きてきているのを感じます。最近は過去ネタの焼き直しも多いような気がしますし。まあ毎週毎週新ネタを出すのも難しいのは分かりますが(最近は放送も毎週ではなくなってきているし)。

 

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