教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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3/22 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「実は怖い!春の感染症 ドクターが教える!予防4原則」

 新型コロナの流行で感染症が注目されているが、一般的にインフルエンザなどの感染症が流行するのは冬のイメージがある。しかし温かくなってくるこれから春のシーズンに要注意の危険な感染症も多数あるという。そこで今回は新型コロナの予防法にも共通するこれらの感染症予防について専門家が紹介。昭和大学病院感染症内科特任教授の二木芳人氏によると、春に気をつけたい感染症には3つあるとのこと。

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国立感染症研究所によるコロナウイルスの電子顕微鏡写真

 

大人も感染する溶連菌感染症

 まず第1は溶連菌感染症。これは子供がかかりやすい病気だが、大人がかかる例も結構あるという。実際の感染経験者(若い女性)の話によると、症状はまずは喉の痛み、そして高熱(38度以上)が出たという。溶連菌は喉の扁桃腺に感染して腫れるのだとか。だから「水を飲むのも痛かった」とのこと。冬と春が感染のピークとのことで、すぐに病院に行ったが喉の痛みと発熱は4日ほど続いたとのこと。しかし今だったらこれで病院に行ったら間違いなくコロナを疑われて診察拒否される可能性大。

 なお大人が感染する場合の原因はほとんどが子供からの感染らしいが、それがない人でも飛沫感染や接触感染の可能性があるという(これもコロナと同じ)。なお彼女が感染したのはその時にボランティアと仕事で多忙でろくに寝られないという状態であったとのこと。つまりは抵抗力が落ちていたので感染してしまったらしい。

 なお溶連菌感染症が悪化した場合、最悪は肺炎や腎炎などの合併症を発症することがあるという。さらに極めてまれなケースであるが、劇症型溶連菌感染症というのがあり、これは何らかの原因で変異して凶悪化し、壊死や皮下出血などの症状を発症するという。あっという間に全身に症状が広がって2日ぐらいで死亡するケースがあることから「人食いバクテリア」として恐れられているとのこと。

 

感染症の予防方法

 さてこの予防法だが、手洗い、うがい、マスク、人混みを避けるの4原則と言うことで、常識レベルで物珍しいものはないですしかし専門家による真のアドバイスとなるとこうなるのは仕方のないところ。こんなところで「ウイルスに対抗できる食材」とか「ウイルス感染をしなくなるようなサプリ」なんて言い出す番組は端っから相手にしてはいけない。実際に今年はコロナを気にして多くの人が上記の対策をとった結果、目に見えてインフルエンザの感染が減少しているらしい。

 

ノロより怖いロタウイルス

 次に上がる感染症はロタウイルス。これは発熱もするがとにかく吐き気や下痢がひどいようだ。感染経験者(若い女性)によると、気持ちが悪くて寝てるしかなく、吐き気を催すと枕元に置いていた袋を取るのがやっとぐらいのひどさとのこと。ロタウイルスの知名度が低いために彼女はノロウイルスを疑ったらしいが(普通はノロを疑うだろう)、ノロとロタは症状はほぼ同じだが、ロタはウイルスの量が桁違いで、便に含まれるウイルスの量がノロの100万倍とのこと。しかもロタはわずか10個のウイルスで感染するぐらい感染力が強いので要注意とのこと。経口感染をするが、特に注意するのは水洗トイレで、蓋をせずに流すと水の飛沫と共にウイルスが壁などに付着することになるので注意とのこと。清掃の際にはアルコールに耐性があるので、次亜塩素酸の漂白剤を薄めて使用するのが良いとのこと。

 

マダニによる感染症

 そして3つめに注意すべきはマダニとのこと。マダニは野外に棲息する数ミリのサイズの大きなダニだが、ウイルスを媒介する場合がある。今特に問題となっている感染症がSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気で、発熱や下痢、嘔吐、内出血などの症状が出て、意識障害や言語障害の神経症状が出て死に至ることもあるという。なおウイルスを持っているダニは西日本に多く、段々と北上してきているという。山から動物が降りてくるようになったのが感染が広がった原因と考えられるとのこと。予防法はマダニに噛まれないようにすることで、山などに登る時には肌を露出しないというのが原則。実際のところ、私も山城跡で藪漕ぎなどをすることがあるので、マダニは蛇に並んで警戒している。

 

花粉症対策が仇となってのレジオネラ感染

 さらにこの時期に花粉症対策が仇になることがある事例。注意すべきはレジオネラ症候群。これはレジオネラ菌は呼吸器に感染して肺炎などを起こす病気。正しく治療しないと致死率70%以上という恐ろしい病気である。レジオネラ菌はたまり水などの中で増殖する。なお番組では触れていなかったが、レジオネラ菌の集団感染が最初に社会問題となったのは、アメリカでの在郷軍人会での集団感染。この時は建物の空調の水冷塔で水中で繁殖したレジオネラ菌が水の飛沫にのって集団感染を起こした。そのためにレジオネラ菌感染症は別名在郷軍人病とも呼ばれる。銭湯やプール、空調の水冷などは今では定期的に検査や殺菌が義務づけられているので感染は減ったが、思わぬ落とし穴として加湿器が感染源になる場合があるのである。給水タンクを良く洗わずに水をつぎ足して利用しているような場合に注意。やはり定期的にタンクを洗って乾かすのが一番の予防。なお番組では触れていなかったが、特に超音波型の加湿器の場合が水を加熱せずに水滴として散布するので特に危険であることが知られている。

 

 以上、このシーズンに気をつけるべきウイルス感染の話。今回の対策はコロナにもそのまま適用できるので実践が良いでしょう。ただ現在はマスクが全く入手で気なので、それが困ったところ。もっともマスクは感染者がウイルスを撒き散らすのを抑えるのには効果があるが、非感染者がコロナ感染を防ぐための効果は少ないとされている(基本的にウイルス自体は素通しだから)。接触感染のことを考えると手洗いであるが(うがいも効果は薄いとする専門家もいる)、あまり神経質になりすぎるとずっと手を洗うという一種の神経症になってしまうので、そこも考えどころ。人混みを避けるということで政府は今、あらゆるイベントを規制している(なぜか政治家の資金集めパーティーとオリンピック関係のイベントだけは例外のようだが)が、決定的に人混みを避けようとすると通勤列車に乗れないことになるのでこれも問題。結局のところ我々一般人が出来る対策は、手洗いに気をつけながらなるべく抵抗力を落とさないように規則正しい生活を心がけるぐらい。万一のことがあった時には結局は自分の免疫力頼りになるので。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナウイルスが話題となっているが、春から注意をすべき感染症がいくつかある。
・一つは溶連菌感染症。子供がなりやすいが大人も接触感染する。飛沫感染などもするので要注意。手洗いなどの対策に、体の抵抗力を落とさない生活が重要。
・二つ目はロタウイルス。下痢や吐き気などノロウイルスと似た症状が出るが、ノロウイルスよりもウイルス数が桁違いに多く感染力が強い。接触感染するので、トイレでの飛沫などに注意。耐アルコール性があるので、清掃時は漂白剤の次亜塩素酸を薄めた液で殺菌するのが良い。
・三つ目はマダニによる感染症。マダニによってはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という最悪は死に至るウイルスを持っている場合がある。西日本が中心だが、徐々に東に向かって拡大中。野生動物が人里に降りてくるようになったのが感染拡大の原因。
・さらにこの季節には加湿器のタンクの中でレジオネラ菌が繁殖することによる感染症に注意。タンクは水をつぎ足すのではなくこまめに洗うことが重要。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・どうやったところでウイルスを完全に防ぐのは無理です。それこそ無人島にでも引き籠もるしかないですが、それでも渡り鳥なんかがウイルス運んでくることもありますから。
結局最後にあてになるのは自分の免疫力。そういうわけで、不規則な生活なんかには注意しましょう。またストレスも大敵ですが、現代社会でストレス持つなと言うのもこれまた無理。特に私なんか、昨今の国会での安倍の支離滅裂な言い訳を聞いてるだけでストレス値が跳ね上がる。

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