実は多い大人のぜんそく
小児ぜんそくという病気があるせいか、ぜんそくは子供の病気のイメージがどことなくあるようだが、実際には大人のぜんそくというのも多くて、10人に1人の割合で患者が存在するとか。つまりは糖尿病や高血圧のような実はかなりありふれた病気であると言うことである。しかしぜんそく患者はコロナなどに感染すると症状が悪化しやすいと言われているので要注意。今回はそんな大人のぜんそくについてであるが、実はここに大きな落とし穴があったらしい。
ぜんそくとは
まずぜんそくとはどういう病気であるかだが、ぜんそくの原因については気管支を直接に観察できる最近になってようやくハッキリしたらしい。要は気管支が炎症を起こす病気であると言う。気管支が炎症を起こしているので、わずかな刺激で咳などの発作が出るようになってしまうのだとのこと。
ぜんそくの原因であるが、実際にぜんそくの患者に聞いてみると、風邪だと思っていたら長引いてぜんそくになったという人が多いという。またホコリ、花粉、カビ、タバコなどさらにはストレスもぜんそくの原因になり得るとのこと。なお小児ぜんそくの寛解率が65%に対し、大人のぜんそくの寛解率は20%に過ぎないという。
ぜんそく薬の落とし穴
ここで実際の患者の証言があるのだが、ぜんそくの吸入薬をもらって苦しい時に使用していたのだが、ある冬の朝、苦しくなったので薬を使ったが全く効かなくてそのまま救急車で運ばれる羽目になったのだという。実はここに落とし穴がある。2019年に出たぜんそくのガイドラインによると「ぜんそく患者の70-80%が正しく吸入器を使えていない」との話である。ではどこが間違っていたのか。
実はぜんそくの吸入薬には2タイプあって、1つは発作時に気管を広げて症状を緩和するもの。こちらがまず最初に出た薬だという。しかしぜんそくが気管支の炎症であることが判明した現在は、この炎症を鎮めるための吸入薬が出ており、現在はこちらが主流であると言う。そしてこちらの薬は「症状があるかどうかに関係なく、毎日定期的に服用する必要がある」のだという。つまり先ほどの患者は症状が出た時にだけ使っていたのが間違いと言うこと。しかし実際には「症状が治まったから」と勝手に服用をやめてしまう患者が多いのだという。そういう患者は今は症状が治まっていても気管支の炎症が残っているので、何かのきっかけでまた発作が出るという可能性が高いという。またぜんそくの発作を繰り返していると気管支の壁が厚くなってしまって空気が取り込めなくなってしまい、そうなってしまうと治らないので適切な治療が重要であるという。
ぜんそく薬の効果を上げる「ホー吸入」
また吸入薬の使い方にもポイントがあるという。へたな使い方をすると、薬が舌で妨げられて気管支まで達しないので効果がなくなってしまう。そこで番組に登場した堀口高彦医師が勧める方法が「ホー吸入」。息を吐きながらホーと言うと、その時に舌が一番下がるので、舌をその状態のまま吸入するのだという。すると気管支に到達する薬の量が増えて治療効果が向上するという話。なお口に残った薬などは洗い流した方が良いので、吸引後にまずクチュクチュと3回口をゆすいでから、ガラガラと3回喉をゆすぐのが良い(吸入薬は喉よりも遥かに先の気管支に働くものなので、喉に残さない方が良い)とのこと。
以上、ぜんそくの話。時節柄無理矢理コロナに絡めてますが、実際にはコロナは関係ありません(笑)。ただ気管に持病があると悪化しやすいのは事実のようですので、キチンと治療しておくに越したことはありません。また喫煙者の方はこの期に禁煙なさるのがよろしいかと思います。亡くなった志村けんも4年前に肺炎を患って禁煙するまでは、かなりヘビースモーカーだったという話もあります。
薬などが実際には正しく使用されていないということが多いというのは盲点です。ちなみに私もぜんそくの薬が2タイプあるのは知りませんでした。私もぜんそくの薬と言えば、発作時に使用する気管支拡張剤のタイプだけしか頭になかったです。だから「ぜんそくの薬は症状を和らげるだけ」という認識でした。どうも医学知識が最新のものに更新されていなかったようです。
なお私も幼少期からアレルギー性鼻炎から始まってぜんそくの傾向があることがずっと言われています。ただあの吸入薬が苦手で、あれを吸うと逆に咳き込んで苦しくなっていたので、ぜんそくの根本的治療はしないまま放置になってしまいました。もし老化が進んで症状が悪くなるようだと、治療を考えた方が良さそうです。
忙しい方のための今回の要点
・大人のぜんそくは実は10人に1人は患者がいる実はかなりありふれた病気である。
・ぜんそくの原因は気管支が炎症を起こして過敏になってしまうこと。原因にはホコリや花粉、たばこなど様々考えられる。
・大人のぜんそくは子供のぜんそくよりも寛解率が低い。盲点となっているのは吸入薬の使い方を間違っている患者が多いということ。
・現在の吸引薬はかつての発作を抑えるためのものだけでなく、気管支の炎症を抑えるタイプの薬が多いので、毎日定期的に使用する必要がある。発作時だけに使用するのは間違い。
・また気管支に確実に薬を送るためにお勧めするのが「ホー吸入」。ホーの音を発する時は舌が一番下がるので、舌をその状態にして薬を吸入すると気管支に到達しやすい。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・今回はコロナの関係でがめんにL字状のコロナ情報が出っぱなし(関西の場合)でしたので、番組が見にくかったです。多分NHKはしばらくこんな状態なんでしょうか。
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