教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/6 BS-TBS にっぽん!歴史鑑定「戦国の女たち~浅井三姉妹と大坂の陣」

時代に翻弄された浅井三姉妹

 今回の主人公は、長女の茶々は淀君として豊臣家と運命を共にし、三女の江は徳川秀忠の妻となったという数奇な運命を辿った浅井三姉妹について。

 この三姉妹は母は信長の妹であるお市、父は浅井長政である。しかし浅井長政は義兄に当たる信長によって滅ぼされ、母のお市と共に頼った柴田勝家は賤ヶ岳の合戦で秀吉に敗れ、お市もその時に命を絶った。茶々はお市と運命を共にするつもりだったらしいが、妹たちのことと浅井家の血を残して菩提を弔っていくことをお市に託されて逃れることになる。

 

三人それぞれの運命

 その後、茶々は親の敵である秀吉の側室となって寵愛を受けることになるのだが、その茶々の心理について、番組御用達歴史学者の小和田氏は「茶々には当然親の敵という意識もあったろうが、秀吉はあの手この手の贅沢で茶々の関心を引いていたし、茶々の方もこのまま秀吉の世話になっても良いかという気持ちになったのでは」とのこと。秀吉の側室となり、跡継ぎである秀頼を生んだ茶々は淀君として重要性を増し、秀吉に浅井家を弔うための寺を建立することを頼んで許されているという。しかしやがて秀吉が死去、淀君は秀頼の後見人として豊臣家の実権を握ることになるが、この頃から家康の勢力が増していく。

 一方、妹の初は京極高次と結婚、高次は大津を治める大名となっていた。三女の江は三度目の結婚で家康の息子である秀忠と結婚していた。しかし初の夫の京極高次は関ヶ原の合戦で家康の東軍についたことで西軍の猛攻撃を受けることになる。大津城は落城寸前となり、初も高次と共に死ぬ覚悟でいたのだがこの時に淀君が動き、結局は高次は城を明け渡すことを受け入れて初は命を救われる。なお高次は城を明け渡しのは関ヶ原の合戦の日であり、結果として高次は西軍の九州からの精鋭をここで食い止めて関ヶ原に参陣させなかった功績を評価され、若狭の8万5千石を家康から与えられる

 江は秀忠との間に4人の娘を儲けていた。そして淀君と江の間で江の長女の千姫を秀忠に嫁がせる話がまとまることになる。これは対立が強まっていた豊臣家と徳川家の間の関係をなんとか良好にしたいという考えであったという。

 

ついには大坂の陣勃発

 しかし家康が征夷大将軍位を息子の秀忠に譲った(家康が豊臣家に政権を戻さないと明言したことになる)ことで再び対立は激化、そして家康が方広寺の銘文に言いがかりをつけ、結局は大坂の陣へと突入することになる。この時に淀君は豊臣恩顧の大名に書状を送ったのだが、豊臣家の元にはせ参じる者は誰もおらず、結局は集まったのは浪人だけだった。

 家康は圧倒的大軍で簡単に豊臣家を滅ぼすつもりでいたのだが、戦を知り尽くした秀吉が築いた大阪城はそれを許さなかった。結局は戦線は膠着状態になる。しかし家康が撃たせた大砲が淀君の部屋を直撃、巻き込まれた女御が数人死亡する事態に淀君が戦意喪失、和睦が結ばれることになる。

 この時に豊臣方の使者となったのが夫の高次が亡くなって出家していた初、そして徳川方は家康の信頼の篤い側室であるあ茶の局であったという。この時の講和の条件は大阪城の惣堀を埋めるというものであった。淀君は長大な大阪城の惣堀を埋めるのには数年を要するので家康が死ぬまでの時間稼ぎになると考えるが、家康は総動員であっという間に惣堀だけでなく内堀までも埋めてしまう

 

だまし討ちで滅びる豊臣家と運命を共にする淀君

 こうしてだまし討ちの挙げ句に秀頼に大阪城からの退去を要求、初は家康との戦いを止めようと駆けつけるが秀頼の気持ちは既に決まっており、対面することも叶わなかったという。果敢に城外で戦う豊臣方であるが、劣勢に追い込まれてしまう。そして淀君は千姫を助命嘆願に送り出すが、千姫からの使者はこなかった。初は淀君に逃亡を勧めたが、淀君は秀頼と運命を共にする決意を告げ、初は大阪城を脱出、淀君は秀頼と共に自害する

 その後、初は江と面会したという。江は茶々が自分のことを恨んでいるのではないかと、茶々の弔いを欠かせなかったという。そして江の息子である家光が徳川家を継ぎ、さらに江の血は天皇家にまで入る。こうして浅井の血を残すということは叶えられる。


 浅井三姉妹の運命ですが、正直なところ今まで何かかにかで扱われているので、今更新しいことも珍しいことも何もなかったですね。内容的にも今まで総集編のような感があり。このご時世下で番組制作の方にも影響が出てきているのでしょうか。

 

忙しい方のための今回の要点

・浅井三姉妹の長女・茶々は秀吉の側室となって秀頼を生み、秀吉の死後には秀頼の後見として豊臣家の実権を握ることになる。
・次女の初は京極高次に嫁ぐ。高次は大津の大名だったが、関ヶ原の合戦の際に東軍についたことで西軍の猛攻を受ける。初は高次と共に死ぬ覚悟であったが、淀君の仲介で高次が城を明け渡し、初は命を取り止める。
・三女の江は三度目の結婚で家康の息子の秀忠に嫁いだ。そして生まれた長女の千姫を豊臣家と徳川家の対立を治めるため秀頼と結婚させる。
・しかし家康はあくまで豊臣家を滅ぼすために大坂の陣を起こすことになる。一度は講和するものの、その後に講和条件に背いて内堀まで埋め立てた上で再度の攻撃、淀君は秀頼と共に自害して豊臣家は滅亡する。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・まあもっとも時代に翻弄された女性たちと言っても良いでしょうね。この時代の女性と言えば時代に翻弄されるしかない部分もありますから。
・で、番組では扱って欲しい事件などをリクエストとのこと。リクエストと言えば聞こえは良いですが、この手の番組の宿命で、そろそろネタがキツいのでは。

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